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シェーグレン症候群

(Sjögren症候群)

執筆者:

Alana M. Nevares

, MD, The University of Vermont Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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本ページのリソース
  • 白血球が、体液を分泌する腺に侵入して損傷を与えることがあり、ときには他の臓器に損傷が及ぶ場合もあります。

  • 診断を助けるために確立された基準が用いられることがあり、検査により涙と唾液の分泌量を測定するとともに、血液中に異常な抗体が存在しないかを評価できます。

  • 通常は、眼や口などの表面を乾燥させないようにする対策を講じるだけで十分です。

  • ときとして、内臓の損傷が重い場合には、コルチコステロイド、または特定の症状に対してリツキシマブが投与されることもあります。

シェーグレン症候群は、自己免疫疾患と考えられていますが、その原因は不明です。中年の女性に最も多くみられます。一部のシェーグレン症候群患者には、他の自己免疫疾患(関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。 発熱、筋力低下、他の臓器の損傷が起こることもあります。... さらに読む 関節リウマチ(RA) 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 血算と自己免疫抗体の有無を調べる検査を行います。 活動性の全身性エリテマトーデスでは、コルチコステロイドやその他の免疫の働きを抑制する薬がしばしば必要となります。 全身性エリテマトーデスの患者の約70~90%は、妊娠可能な年齢の女性ですが、小児(... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性強皮症 全身性強皮症 全身性強皮症は、皮膚、関節、内臓の変性変化と瘢痕化、および血管の異常を特徴とする、まれな慢性自己免疫リウマチ疾患です。 指が腫れる、間欠的に指が冷たくなり青く変色する、関節が永続的に(通常は曲がった状態で)固まる(拘縮)などの症状のほか、消化器系、肺、心臓、腎臓の損傷が発生することがあります。 多くの場合、患者の血液中には自己免疫疾患に特徴的な抗体が認められます。 全身性強皮症に対する根治的な治療法はありませんが、症状と臓器機能障害に対... さらに読む 全身性強皮症 血管炎 血管炎の概要 血管炎疾患は、血管の炎症(血管炎)を原因とする病気です。 血管炎は、特定の感染症や薬によって引き起こされる場合もあれば、原因不明の場合もあります。 発熱や疲労などの全身症状がみられることがあり、その後、侵された臓器に応じて他の症状がみられます。 診断を確定するために、患部の臓器の組織から採取したサンプルの生検を行い、血管の炎症を確認します... さらに読む 血管炎の概要 混合性結合組織病 混合性結合組織病(MCTD) 混合性結合組織病とは、一部の医師が使う用語であり、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎の特徴を合わせもつ病気を指しています。 レイノー現象、関節痛、皮膚の様々な異常、筋力低下、内臓の問題が発生します。 診断は症状や特徴的な抗体の濃度を測定する血液検査の結果に基づきます。 治療は、症状の重症度によって異なり、非ステロイド系抗炎症薬、ヒドロキシクロロキン、コルチコステロイド、免疫抑制薬が使用されることがあります。... さらに読む 混合性結合組織病(MCTD) 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎は、甲状腺に慢性的な自己免疫性の炎症が生じる病気です。 橋本甲状腺炎は、体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生します。 最初、甲状腺は正常に機能していることもあれば、活動が不十分なこともあり(甲状腺機能低下症)、まれですが活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症)もあります。 ほとんどの人が最終的に甲状腺機能低下症になります。 甲状腺機能低下症では通常、疲労を感じ、寒さに耐えられなくなります。 さらに読む 原発性胆汁性肝硬変 原発性胆汁性胆管炎(PBC) 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝臓内の胆管が炎症を起こし、進行性の瘢痕化が起こる病気です。最終的には胆管がふさがり(閉塞)、肝臓が瘢痕化して、肝硬変や肝不全を発症します。 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、おそらく自己免疫反応に起因して発生すると考えられています。 通常、この病気は、かゆみ、疲労、口腔乾燥とドライアイ、黄疸を引き起こしますが、症状がみられない患者もいます。 通常は、特定の抗体を測定する血液検査で診断を確定できます。... さらに読む 慢性自己免疫性肝炎 慢性肝炎の概要 慢性肝炎は、肝臓の炎症が最低6カ月以上持続する病気です。 一般的な原因としては、B型およびC型肝炎ウイルス、特定の薬などがあります。 多くの場合は無症状ですが、全身のだるさ、食欲不振、疲労などの漠然とした症状がみられることもあります。 慢性肝炎の結果、門脈圧亢進症と肝不全を伴う肝硬変が生じることがあります。 さらに読む など)が併存しています。

口の唾液腺や眼の涙腺など、体液を分泌する腺に白血球が侵入します。侵入した白血球が腺を傷つける結果、この症候群の特徴的な症状である口腔や眼の乾燥が発生します。

症状

一部の患者では、口または眼の乾燥だけがみられます(乾燥症候群と呼ばれる状態)。眼が乾燥すると、角膜がひどく傷つくことで、眼にヒリヒリとした感覚や刺激感が生じることがあるほか、涙の分泌量が不足することで、永続的な眼の損傷の原因となることもあります。唾液の分泌が不足すると、味覚や嗅覚が鈍くなり、ものを食べたり飲み込んだりする際に痛みが生じるほか、う蝕や唾液腺の結石(唾石)原因にもなります。患者の約3分の1では、頬にある唾液腺(耳下腺)が大きくなり、弱い圧痛がみられるようになります。口の中に焼けつくような感覚を覚える場合もあり、この症状は、ときに真菌感染症の合併を示していることもあります。

多数の臓器が侵される場合もあります。シェーグレン症候群では、皮膚や、鼻、咽頭、消化管、喉頭、気管、気管支、外陰部、腟の表面を覆っている粘膜が乾燥することがあります。外陰部や腟が乾燥すると、性交に痛みを伴うことがあります。気管が乾燥すると、せきが出ます。神経、肺、その他の組織が炎症によって損傷を受けることもあります。

患者の約3分の1で、関節の炎症(関節炎)が起こり、関節リウマチの場合と同じ関節が侵されますが、シェーグレン症候群の関節炎は、より軽い傾向があり、通常は破壊的な関節炎ではありません。全身のリンパ節が腫れることがあります。シェーグレン症候群の患者では、一般の人と比べてリンパ系のがんであるリンパ腫が多くみられ、非ホジキンリンパ腫の発生率が、正常な人の40倍になります。発疹、腎障害、肺の病気、膵炎、末梢神経を損傷する血管炎などが、シェーグレン症候群の一般的ではないものの重度の症状です。シェーグレン症候群患者の約3分の1でレイノー現象 レイノー症候群 レイノー症候群は、機能性の末梢動脈疾患の一種で、寒さに対する反応として起きる細い動脈(細動脈)の狭窄(収縮)が正常時より強くなる状態であり、通常は手足の指の細動脈が侵されます。 (機能性の末梢動脈疾患の概要も参照のこと。) 細い動脈の収縮によって、手足の指が青白くなったり、しびれやチクチクした感覚が生じたりします。 多くの場合、診断は症状に基づいて下されます。 体を温かく保つことや禁煙、ときには薬剤を服用することが助けになります。 さらに読む レイノー症候群 が起こります。

診断

  • 確立された基準

  • 涙と唾液の検査

  • 血液検査

口腔や眼が乾燥している感覚は一般的なものですが、これに関節炎、唾液腺の腫れ、神経の損傷、特定の発疹、または腎臓の問題が伴っていれば、患者はシェーグレン症候群であることが示唆されます。シェーグレン症候群の診断や、似た症状がみられる他の病気との判別には、確立された基準と様々な検査が役立ちます。

確立された基準

確立された基準を用いてシェーグレン症候群の診断に役立てることができます。基準を適用する前に、医師はまず問診と身体診察を行って患者に目または口の症状があるかどうか判定します。次のうち1つ以上の乾燥症状が目または口にある人に基準を適用することができます。

  • 目の症状:持続的で厄介なドライアイが3カ月以上毎日あるか、砂や砂利が目の中に入っているかのような感覚が頻繁にあるか、涙の代わりとなるものを1日につき3回以上使用している。

  • 口の症状:口腔乾燥の感覚が3カ月以上毎日あるか、乾燥した食べものを飲み込むのを補助するために毎日液体を使用している。

目または口の症状の診断がつくと、医師は基準を用いてシェーグレン症候群の診断を裏付ける他の症状がないか判断します。医師は、患者がもっているかもしれない他の病気を否定するためにも基準を用います。

涙と唾液の検査

涙の分泌量は、細長い濾紙(ろし)を両眼の下まぶたにハサミ、濾紙がどの程度濡れるかを観察することで推定できます(シルマー試験)。シェーグレン症候群の患者では、涙の分泌量が正常な場合の3分の1未満の場合があります。眼科では、眼球の表面に傷がないかを調べます。

唾液の分泌を評価するためにより高度な検査を行うことがあり、唾液腺の画像検査や唾液腺組織の一部を採取して調べる検査(生検)を医師が指示することがあります。

血液検査

血液検査では、シェーグレン症候群患者で認められる抗SS-A抗体など、異常な抗体を検出できます。全身性エリテマトーデスの患者で認められる抗核抗体(ANA)や関節リウマチの患者で認められるリウマトイド因子が、シェーグレン症候群の患者でも検出されることがあります。70%の患者では、赤血球沈降速度(赤沈:試験管に入った血液中で赤血球が沈澱する速さを測定する検査)の値が高くなります。およそ33%で赤血球の減少(貧血)がみられ、最大25%で特定の白血球の減少(白血球減少症)がみられます。

血液検査の結果はシェーグレン症候群の診断を下すのに役立ちますが、そこで検出される異常がときとして健康な人や別の病気の人でみられることがあるため、それだけではシェーグレン症候群の診断を確定することはできません。シェーグレン症候群の診断は、症状、身体診察の結果、すべての検査結果など、医師が集めたすべての情報に基づいて下されます。

予後(経過の見通し)

一般的に、予後は良好です。しかし、抗体によって肺、腎臓、またはリンパ節が損傷を受けると、肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む 肺炎の概要 腎不全 腎不全の概要 腎不全とは、血液をろ過して老廃物を取り除く腎臓の機能が十分に働かなくなった状態のことです。 腎不全の原因としては、様々なものが考えられます。腎機能が急激に低下する場合(急性腎障害、急性腎不全とも呼ばれます)もあれば、ゆっくりと低下していく場合(慢性腎臓病、慢性腎不全とも呼ばれます)もあります。腎不全になると、腎臓は血液をろ過して老廃物(ク... さらに読む 、またはリンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫とは、リンパ系および造血器官に存在するリンパ球のがんです。 リンパ腫は、リンパ球と呼ばれる特定の白血球から発生するがんです。この種の細胞は感染を防ぐ役割を担っています。リンパ腫は、Bリンパ球やTリンパ球のいずれの細胞からも発生する可能性があります。Tリンパ球は免疫系の調節やウイルス感染に対する防御に重要です。Bリンパ球は抗体を産生... さらに読む リンパ腫の概要 が発生する場合があります。シェーグレン症候群の患者は、シェーグレン症候群でない人と比較して、リンパ腫を発症するリスクがわずかに高まります(およそ10人に1人から20人に1人)。

治療

  • 乾燥を緩和する対策

  • 関節と皮膚の症状に対してヒドロキシクロロキン、メトトレキサート、またはその両方

  • 重度の症状に対してコルチコステロイドまたはリツキシマブ

シェーグレン症候群を治癒させる方法はありませんが、症状の軽減は可能です。

眼の乾燥(ドライアイ)は、日中は人工涙液を点眼し、夜間は潤滑用の軟膏を使用することで治療可能です。シクロスポリンを含有する処方点眼薬を使用することもあります。眼鏡の横にカバーをつけることで、眼を空気や風から保護するのを助け、涙の蒸発を減らすこともできます。涙点閉鎖術と呼ばれる簡単な手術を行うこともあります。この手術では、眼科医が下側のまぶたの端にある涙管に小さな栓を挿入し、涙が眼球上により長くとどまるようにします。

口腔乾燥(口の中の乾燥)には、水分を少量ずつ持続的に補給したり、シュガーレスのガムをかんだり、唾液の代用となる洗口液を使用したりすることで対処できます。鼻閉改善薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬など唾液の分泌量を減少させる薬は、乾燥を悪化させる可能性があるため、使用を避けるべきです。唾液腺の異常がそれほど重くない場合は、ピロカルピン、またはセビメリンが唾液の分泌を刺激するのに役立つことがあります。口の中の衛生に細心の注意を払い、歯科に頻繁に通うことで、う蝕や歯の喪失を予防することができます。

唾液腺の痛みや腫れは、鎮痛薬の使用や患部を温めることで治療できます。唾液腺の結石は除去します。

性交による痛みは、腟潤滑剤を用いることで非常に効果的に軽減できます。皮膚の乾燥を緩和するために保湿剤を用いることができます。

関節の症状は、通常は軽いため、多くの場合、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を使用して安静にしておくだけで十分な治療となります。抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキンなど)は、関節痛、リンパ節の腫れ、皮膚の症状を軽減することができます。メトトレキサートという薬が投与されることもあります。

内臓の損傷に起因した重い症状の場合は、コルチコステロイド(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]など)またはリツキシマブが投与されることがあります。

他の自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、全身性強皮症など)に伴って起こるシェーグレン症候群は、二次性シェーグレン症候群と呼ばれます。二次性シェーグレン症候群では、上述の治療に加えて、併発した病気に対する治療も行われます。

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