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尿路結石

(腎結石、腎臓結石、腎結石症、尿路結石症)

執筆者:

Glenn M. Preminger

, MD, Duke Comprehensive Kidney Stone Center

レビュー/改訂 2021年 6月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。

最初は腎臓で形成された尿路結石が尿管や膀胱の中で増大することもあります。結石は、それがある位置に応じて、腎結石、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれます。一方、結石ができる病気のことを尿路結石症や腎結石症と呼びます。

尿路にょうろ

尿路にょうろ

米国では毎年、成人のおよそ1000人に1人が尿路結石のために入院します。結石は中年以上の成人で比較的多くみられます。結石の大きさは、肉眼では見えないほど小さいものから、直径2.5センチメートル以上のものまで様々です。サンゴ状結石と呼ばれる種類の大きな結石の中には、腎盂(腎臓にある多数の細い管が集合する部分)と腎杯(腎盂につながる管)のほぼ全体をふさぐほどのものもあります。

腎臓の内部

腎臓の内部

結石の種類

結石の成分は、尿中で結晶を作る鉱物です。ときに、結石の中に結晶ができることもあります。約85%の結石がカルシウムから成るもので、残りの結石は尿酸、シスチン、ストルバイトなどの様々な物質で構成されています。ストルバイト結石は、マグネシウム、アンモニウム、リン酸塩で構成され、感染がある場合にのみ尿中に形成されるため、感染結石とも呼ばれています。

尿路結石の原因

結石の材料となる塩類で尿が過飽和状態になったり、結石の形成を阻害する物質が尿中で不足したりすると、結石が形成されます。クエン酸は、しばしば結石の形成に関与するカルシウムと結合する性質があるため、結石の形成を阻害する物質といえます。

結石は、特定の病気(副甲状腺機能亢進症 副甲状腺機能亢進症 高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に高い状態をいいます。 カルシウム濃度の上昇は、副甲状腺の問題や、食事、がん、骨に影響を及ぼす病気が原因で発生します。 最初に消化管の不調、のどの渇き、多尿がみられ、重症化すると錯乱、やがて昏睡に至ることがあります。発見と治療が遅れると、生命を脅かすことがあります。... さらに読む 副甲状腺機能亢進症 脱水 脱水 脱水は体内の水分が不足している状態です。 嘔吐、下痢、大量発汗、熱傷(やけど)、腎不全、利尿薬の使用により、脱水になる場合があります。 脱水が進むとのどの渇きを感じ、発汗や排尿も少なくなります。 脱水がひどくなると、錯乱やめまいを感じるようになります。 水を飲むか、場合によっては水分を静脈内投与して、失われた水分と血液中に溶けているナトリ... さらに読む 尿細管性アシドーシス 尿細管性アシドーシス(RTA) 尿細管性アシドーシスでは、腎臓の尿細管の機能障害により、血液の酸性度が異常に高くなります。 特定の薬の使用や腎臓を侵す別の病気があると、血液中から酸を除去している尿細管が損傷を受けます。 この状態が長期間続くと、しばしば筋力低下と反射の低下がみられるようになります。 血液検査では、酸性度の上昇と... さらに読む など)がある人、食事による動物性タンパク質またはビタミンCの摂取量が非常に多い人、水分やカルシウムの摂取が不十分な人などの間で比較的多くみられます。家族内に結石の病歴がある人では、カルシウム結石が発生する可能性が増し、その頻度も高くなります。減量手術(肥満外科手術)を受けた人でも、結石形成のリスクが高まります。

まれに、薬剤(インジナビルなど)や食事中の物質(メラミンなど)が結石の原因となることもあります。

尿路結石の症状

結石が形成されても、特にごく小さなものであれば、何の症状も現れない場合もあります。膀胱に結石が存在する場合には、下腹部に痛みが生じることがあります。尿管や腎盂など、尿を排出する腎臓の管が結石でふさがれると、背部痛や腎仙痛が生じます。腎仙痛は、間欠的で激しい痛みが普通は片側の肋骨から腰にかけて生じるのが特徴で、この痛みは腹部からしばしば陰部にまで広がります。痛みは波のように強弱を繰り返すような傾向があり、徐々に強くなってピークに達し、軽快するというパターンが約20~60分間かけてみられます。この痛みは、下腹部から鼠径部(そけいぶ)、精巣、外陰部などに放散する場合があります。

このほかにも、吐き気や嘔吐、落ちつきがない、発汗、血尿といった症状がみられるほか、尿中に結石やその破片が現れることもあります。頻繁に強い尿意(尿意切迫)を覚えることもあり、特に結石が尿管を通過するときに顕著となります。ときに悪寒、発熱、排尿時の灼熱感や痛み、尿の濁りと悪臭、腹部の腫れなどもみられます。

尿路結石の診断

  • 症状

  • CT検査

腎仙痛がみられる人では、通常は結石が疑われます。はっきりした原因もなく背部から鼠径部にかけて圧痛がみられるか陰部に痛みがみられる場合にも、結石が疑われることがあります。血尿は診断を支持しますが、すべての結石が血尿を引き起こすわけではありません。ときに、症状と診察の結果が非常に特徴的であるために、ほかに検査が不要なこともあり、過去に尿路結石と診断されたことのある人では、特にこの傾向がよくみられます。しかしながら、大半の患者では痛みが非常に激しく、結石以外の原因による痛みと思わせる症状や所見も認められるため、他の原因の可能性を否定するための検査が必要になります。以下に挙げるものなど、重度の腹痛を引き起こす他の病気と結石を鑑別する必要があります。

通常は、造影剤を使用しないヘリカル CT CT検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。... さらに読む 検査が最善の診断法になります。CT検査では、結石の位置を特定でき、結石による尿路の閉塞の程度を評価することも可能です。CT検査ではさらに、結石に似た痛みを引き起こす他の多くの病態も検出することができます。CT検査の主な短所は、患者が放射線にさらされることです。それでも、 大動脈瘤 大動脈分枝の動脈瘤 大動脈分枝の動脈瘤とは、大動脈から直接枝分かれした主要な動脈の壁に膨らみ(拡張)が生じた状態のことです。 ( 大動脈瘤と大動脈解離の概要も参照のこと。) 大動脈は全身で最も太い動脈です。酸素を豊富に含む血液を心臓から受け取り、枝分かれする動脈を介して全身に血液を送り出しています。動脈瘤は大動脈のどの主要分枝にも起こる可能性がありますが、そ... さらに読む 虫垂炎 虫垂炎 虫垂炎とは、虫垂に感染と炎症が起きた状態です。 しばしば虫垂の内部に閉塞が生じることで虫垂が炎症を起こし、感染症が生じます。 腹痛、吐き気、発熱がよくみられます。 試験開腹または画像検査(CT検査や超音波検査など)が行われます。 治療としては、虫垂を切除する手術と感染症に対する抗菌薬の投与が行われます。 さらに読む などのようにCTで診断可能な深刻な病気も原因の候補に含まれる場合には、このリスクをとるのが賢明でしょう。現在では一般に、放射線への被曝を抑える新しいCT装置や技法が使用されています。

超音波検査 超音波検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。... さらに読む は、CT検査の代わりになる方法で、放射線にさらされることがありません。しかし超音波検査では、CT検査に比べて、小さな結石(特に尿管内にある場合)、尿路の閉塞の正確な位置、症状を引き起こしうる他の深刻な病気を見逃しやすくなります。

知っていますか?

  • 腎結石を繰り返す人では、過剰な放射線被曝を回避するためにCT検査の実施回数について制限を考慮する必要があります。

腹部 X線検査 単純X線検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。... さらに読む では、CT検査に比べて放射線への被曝量ははるかに低いのですが、結石の診断精度は劣る上、カルシウム結石以外は検出できません。カルシウム結石が疑われる場合には、結石の存在を確認し、尿管のどこにあるかを確認する目的で、CT検査の代わりにX線検査が行われることがあります。

排泄性尿路造影検査 排泄性尿路造影検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。... さらに読む (静脈性尿路造影検査、静脈性腎盂造影検査と呼ばれることもあります)は、造影剤を静脈内に注射してからX線画像を連続撮影する検査です。この検査では、結石を検出して尿路閉塞の程度を正確に判定できますが、時間がかかる上、造影剤による副作用のリスク(例えば、アレルギー反応や 腎不全 腎不全の概要 この章には、 COVID-19および急性腎障害(AKI)に関する新しいセクションが含まれています。 腎不全とは、血液をろ過して老廃物を取り除く腎臓の機能が十分に働かなくなった状態のことです。 腎不全の原因としては、様々なものが考えられます。腎機能が急激に低下する場合( 急性腎障害、急性腎不全とも呼ばれます)もあれば、ゆっくりと低下していく... さらに読む の悪化など)を伴います。そのため、CTまたは超音波検査が利用できる場合、結石の診断のために排泄性尿路造影検査が行われることはまれです。

結石の種類を判定する

結石と診断された人には、しばしば結石の種類を調べるための検査が行われます。尿と一緒に排出された結石は回収すべきです。紙や網のフィルターで尿を濾すことで、結石を回収できます。見つかった結石は分析のため検査に出されます。結石の種類によっては、尿検査と血液検査を行って、カルシウム、尿酸、ホルモン、結石のリスクを高めるその他の物質の濃度を測定しなければならないこともあります。

尿路結石の予防

初めてカルシウム結石が出た人では、その後1年以内に結石が再発する可能性が15%あり、この確率は5年以内で40%、10年以内で80%に高まります。結石の再発を予防する方法は、それまでに生じた結石の組成によって異なります。

大量の水分(約300ミリリットルのコップで1日8~10杯)を摂取することは、すべての種類の結石に対する予防法として推奨されています。1日に約2リットル以上の尿が作られるように十分な量の水分を摂取する必要があります。その他の予防法は、結石の種類などによって異なります。

カルシウム結石

カルシウム結石がみられる人の多くでは、尿に過剰な量のカルシウムが排出される高カルシウム尿症と呼ばれる状態が認められます。高カルシウム尿症の人では、尿中のカルシウム濃度を下げることが、新たな結石形成の予防につながります。その方法の1つとして、ナトリウムが少なく、カリウムを多く含む食事をとることが挙げられます。 カルシウム 体内でのカルシウムの役割の概要 カルシウムは体内に存在する 電解質の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びる ミネラルですが、体内のほとんどのカルシウムは電荷を帯びていません。( 電解質の概要も参照のこと。) 体のカルシウムの99%は骨に蓄えられていますが、細胞(特に筋肉細胞)や血液中にもあります。カルシウムは以下の働きや過程に不可欠です。... さらに読む の摂取量は、ほぼ普段通りの量(1日当たり1000~1500ミリグラム、または乳製品2~3サービング)にする必要があります。食事中に含まれるカルシウムが少なすぎると、実際には新たな結石が生じるリスクが高まるため、食事からカルシウムを排除しようとしてはいけません。とはいえ、カルシウムを含む制酸薬など、過量のカルシウム源は避ける必要があります。

高カルシウム尿症の人では、クロルタリドンやインダパミドなどのサイアザイド系利尿薬でも、尿中のカルシウム濃度を下げることができます。クエン酸カリウムを摂取することで、カルシウム結石の形成を阻害するクエン酸の尿中濃度を引き上げる方法もあります。カルシウム結石のある人の多くでは、動物性タンパク質の摂取量を制限することが、尿中カルシウム濃度を下げ、結石の再発リスクを減らすのに役立つ可能性があります。

尿中のシュウ酸塩の濃度の上昇は、カルシウム結石の形成を促します。シュウ酸塩の濃度の上昇は、シュウ酸塩を多く含む食べもの(ダイオウ、ホウレンソウ、ココア、ナッツ、コショウ、お茶など)の過剰摂取か腸管の病気、またはある種の減量手術が原因で起こります。尿中のシュウ酸塩の濃度を下げるには、クエン酸カルシウムやコレスチラミンの摂取や、シュウ酸塩と脂肪分を制限した食事が有効な場合があります。また、ピリドキシン(ビタミンB6)は体内で作られるシュウ酸塩の量を減少させます。

副甲状腺機能亢進症 副甲状腺機能亢進症 高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に高い状態をいいます。 カルシウム濃度の上昇は、副甲状腺の問題や、食事、がん、骨に影響を及ぼす病気が原因で発生します。 最初に消化管の不調、のどの渇き、多尿がみられ、重症化すると錯乱、やがて昏睡に至ることがあります。発見と治療が遅れると、生命を脅かすことがあります。... さらに読む 副甲状腺機能亢進症 サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスとは、体の多くの器官に炎症細胞の異常な集積(肉芽腫[にくげしゅ])がみられる病気です。 サルコイドーシスは、一般に20~40歳で発生し、欧州系の人やアフリカ系アメリカ人に最も多くみられます。 多くの器官が侵される可能性がありますが、肺に最もよくみられます。 典型的な症状はせきや呼吸困難ですが、侵される器官に応じて様々な症状... さらに読む サルコイドーシス ビタミンD中毒 ビタミンD過剰 ビタミンDのサプリメントを非常に大量に摂取すると、ビタミンD中毒が発生することがあります。 ビタミンD中毒は血液中のカルシウム濃度の上昇を引き起こします。 ビタミンD中毒の場合、食欲減退、吐き気、嘔吐、脱力感、神経質などの症状がみられる場合があります。 医師は、血液中のカルシウムとビタミンDの値を測定することにより、この中毒の診断を下しま... さらに読む 尿細管性アシドーシス 尿細管性アシドーシス(RTA) 尿細管性アシドーシスでは、腎臓の尿細管の機能障害により、血液の酸性度が異常に高くなります。 特定の薬の使用や腎臓を侵す別の病気があると、血液中から酸を除去している尿細管が損傷を受けます。 この状態が長期間続くと、しばしば筋力低下と反射の低下がみられるようになります。 血液検査では、酸性度の上昇と... さらに読む 、がんなどが原因でカルシウム結石が形成されるまれなケースでは、基礎にあるこれらの病気を治療しなければなりません。

知っていますか?

  • カルシウム結石のある人では、食事中に含まれるカルシウムが少なすぎても多すぎても、新たな結石が形成される確率が同程度に高くなります。

尿酸結石

尿酸結石は、ほぼ常に尿の酸性度が過剰に高くなることで発生します。尿酸結石のみられるすべての人は、クエン酸カリウムを服用して尿をアルカリ性にし、尿酸結石の原因になっている高い酸性度を中和する必要があります。ときに、尿酸の濃度を下げるために、動物性タンパク質を減らす食事療法やアロプリノールを用いることもあります。大量の水分摂取を継続することも非常に重要です。

シスチン結石

シスチンから成る結石には、大量の水分摂取を継続するとともに、ときにアルファ-メルカプトプロピオニルグリシン(チオプロニン)やペニシラミンを服用する必要があります。

ストルバイト結石

尿路結石の治療

  • 必要に応じて、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)またはオピオイドによる痛みの緩和

  • ときに結石の除去

症状、 尿路の閉塞 尿路閉塞 尿路閉塞とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道など、尿が通過する経路(尿路)のどこかが詰まり、尿の流れが遮断された状態のことです。 完全な閉塞(完全閉塞)と部分的な閉塞(部分閉塞)があります。 閉塞が起きると、腎傷害、腎結石、感染症などの原因になる可能性があります。 症状としては、側腹部痛、尿量の減少または増加、夜間頻尿などがあります。... さらに読む 、感染症を伴わない小さな結石は、一般に治療は必要なく、しばしば自然に出てきます。大きめの結石(5mm以上のもの)や腎臓の近くにある結石は、自然に出てくる可能性は低くなります。特定の薬(タムスロシンまたはカルシウム拮抗薬)を使用することで、結石が自然に排出される可能性を高めることができます。

痛みの緩和

腎仙痛は非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)で軽減できます。痛みがひどい場合は、オピオイドが必要になることもあります。

結石を排出させる

従来から経口で大量の水分を摂取したり静脈内に大量の輸液を投与したりすることが結石の排出に役立つと推奨されてきましたが、この手法が本当に有効かどうかは不明です。アルファ遮断薬(タムスロシンなど)は、結石を排出されやすくします。結石が排出された場合は、それ以上の緊急治療は必要ありません。

結石を迂回させる

閉塞がひどい場合は、ときに尿管に一時的にチューブ(ステント)を挿入し、結石を迂回させる方法がとられます。医師は、膀胱鏡(内視鏡の一種)という観察用の機器を膀胱に挿入し、膀胱鏡を介してステントを通し、これを尿管の開口部に留置します。そこでステントを押し上げて、結石による閉塞部の横をくぐらせます。このステントは、手術などにより結石が除去されるまで留置しておきます。

あるいは、背中から腎臓内に腎瘻(じんろう)チューブという管を挿入し、閉塞部より上流から尿を排出することもあります。

結石の除去

体外衝撃波砕石術は、尿管の最上部や腎盂に位置する直径1センチメートル以下の結石を破砕するのによく用いられます。この処置では、音波を発生する装置によって体に衝撃波を与え、結石を破砕します。割れた結石の破片は尿とともに体外に排出されます。このほかにも、皮膚の小さな切開創から内視鏡を通して鉗子(かんし)で結石を取り出す方法や、砕石用の装置に付いたプローブを使って結石を粉々に砕く方法(破片は尿中に排出されます)がときに用いられます。結石の破砕にはときにレーザーも用いられます。レーザーを使用する手技は、ホルミウムレーザー砕石術と呼ばれます。

下部尿管の小さな結石で除去する必要のあるものについては、尿道から膀胱を経て尿管まで挿入する尿管鏡(内視鏡の一種)が用いられます。尿管鏡と一緒に砕石用の装置を使用する治療法もあり、結石の破片は尿管鏡で取り除くか尿とともに排出させます(この方法は経尿道的尿管砕石術と呼ばれています)。砕石の手段としては、ホルミウムレーザー砕石術が最もよく用いられます。この手技では、レーザーを使用して結石が破砕されます。

一部の大きめの腎結石は、経皮的腎砕石術を用いて除去することもあります。経皮的腎砕石術では、まず背中に小さな切開を入れ、そこから観察用の機器(腎盂鏡という内視鏡の一種)を挿入します。医師は腎盂鏡を介してプローブを挿入し、結石を砕いて破片を回収します(腎尿管結石摘出術)。

尿のアルカリ化(例えば、クエン酸カリウムを4~6カ月間にわたって経口摂取するなど)を行うことで、ときに尿酸結石が徐々に溶けることがあります。他の種類の結石はこの方法で溶かして除去することはできません。

尿管を閉塞している大きな結石には、手術による除去が必要になる場合もあります。

ストルバイト結石の除去には通常、内視鏡手術が用いられます。感染結石を完全に取り除いてからでないと、 尿路感染症 尿路感染症 (UTI) に対する抗菌薬の治療効果は期待できません。

尿管ステント留置術は、腎臓から膀胱までの尿の流れを助けるために、尿管に軟らかいチューブを留置する手術です。尿管ステントは、結石を除去する処置を行ってから1~2週間、留置しておく必要があります。結石による刺激や結石を除去する処置による刺激のために、尿管に炎症が起きる可能性がありますが、ステントは炎症の解消に役立ちます。

音波による結石の除去

腎結石は、砕石装置で発生させた衝撃波と呼ばれる一種の音波で粉砕できることがあり、この治療法は体外衝撃波砕石術(ESWL)と呼ばれています。

まず超音波装置かX線透視装置で結石の位置を確認した後、砕石装置を背中にあてて、音波を結石に集中させて照射することによって粉砕します。砕石術の実施後は、結石の破片を腎臓から尿とともに排出させるため、大量の水分を摂取します。

術後に血尿がみられたり、腹部に皮下出血ができたりすることもありますが、深刻な問題はめったに起こりません。

音波による結石の除去
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