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成人の黄疸

執筆者:

Steven K. Herrine

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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本ページのリソース

黄疸では、皮膚や白眼が黄色くなります。黄疸は、血中にビリルビン(黄色の色素)が多すぎる場合に起こります。この病態を高ビリルビン血症と呼びます。

ビリルビンは、古くなった赤血球または損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに形成されます。ビリルビンは、血流によって肝臓に運ばれ、そこで胆汁と結合します。ビリルビンは、その後、胆管を通って消化管に移動し、体内から除去されます。大部分のビリルビンは便中に排泄されますが、少量は尿中に排泄されます。ビリルビンが肝臓や胆管をすばやく通過できない場合、ビリルビンは血液中に蓄積し、皮膚に沈着します。その結果が黄疸です。

また、多くの黄疸の患者では、尿の色が濃くなり、便の色が薄くなります。これらの変化は、閉塞などの問題により、便とともにビリルビンが排除されず、尿中に排泄されるビリルビンの量が増えることで起こります。

また、黄疸を引き起こす多くの病気(特に重度の肝疾患)は、他の症状や深刻な問題を引き起こします。肝疾患のある人でみられる具体的な症状としては、吐き気、嘔吐および腹痛、くも状血管腫(皮膚にみられる小さなクモのような形をした血管)などがあります。男性の場合、乳房が大きくなり、精巣が小さくなり、陰毛の生え方が女性のようになることがあります。

肝疾患によって生じる深刻な問題としては、以下のものがありえます。

ベータカロテンが豊富な食物(ニンジン、カボチャ、一部のメロンなど)を大量に食べると、皮膚がわずかに黄色に見えることがありますが、眼は黄色くなりません。この状態は黄疸ではなく、また肝疾患とは無関係です。

知っていますか?

  • ニンジンをたくさん食べると皮膚が黄色くなることがありますが、これは黄疸ではありません。

原因

黄疸には多くの原因があります。原因となる病気や薬のほとんどは、以下のような影響を与えるものです。

  • 肝臓を傷つける

  • 胆汁の流れを阻害する

  • 赤血球の破壊を誘発し(溶血)、肝臓が処理できないほど大量のビリルビンを生産する

肝臓と胆嚢の概観

門脈は腸全体と脾臓、膵臓、胆嚢からの血液を受けて、それを肝臓に送ります。門脈は肝臓に入ったところで左右の枝に分かれ、さらに細かく枝分かれして、肝臓全体に広がります。肝臓から流れ出る血液は、肝静脈を通って体循環に戻ります。

肝臓の概観

黄疸の最も一般的な原因は、以下のものです。

肝炎

肝炎 肝炎の概要 肝炎は肝臓の炎症です。 肝炎は世界中でみられる病気です。 肝炎には以下の種類があります。 急性(経過が短い) さらに読む は肝臓に損傷を与えて、ビリルビンを胆管に運ぶ能力を低下させます。肝炎には、経過が短い急性肝炎と、最低でも6カ月以上持続する慢性肝炎があります。通常、原因はウイルスです。急性ウイルス性肝炎は黄疸の一般的な原因で、特に若者や他の病気がない人に生じる黄疸の原因としてよくみられます。肝炎は、自己免疫疾患または特定の薬の使用によって起こることもあります。自己免疫疾患または薬が原因で生じた肝炎は、人から人に広がることはありません。

アルコール性肝疾患

胆管の閉塞

胆管が閉塞すると、ビリルビンが血液中に蓄積することがあります。ほとんどの閉塞は胆石によって引き起こされますが、がん(膵臓や胆管のがんなど)やまれな肝疾患(原発性胆汁性胆管炎 原発性胆汁性胆管炎(PBC) 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝臓内の胆管が炎症を起こし、進行性の瘢痕化が起こる病気です。最終的には胆管がふさがり(閉塞)、肝臓が瘢痕化して、肝硬変や肝不全を発症します。 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、おそらく自己免疫反応に起因して発生すると考えられています。 通常、この病気は、かゆみ、疲労、口腔乾燥とドライアイ、黄疸を引き起こしますが、症状がみられない患者もいます。 通常は、特定の抗体を測定する血液検査で診断を確定できます。... さらに読む 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、瘢痕化や胆管の狭窄が進行します。最終的には影響を受けた胆管が完全に詰まります。肝硬変、肝不全、またときには胆管がんが発生します。 症状は徐々に現れ、疲労やかゆみの悪化がみられるほか、後に黄疸が生じます。 画像検査で診断を確定します。 治療では、症状の緩和に重点が置かれますが、肝移植によって余命を延長することも可能です。 (胆嚢と胆管の病気の概要も参照のこと。) さらに読む など)によって引き起こされるものもあります。

黄疸のその他の原因

黄疸のあまり一般的でない原因には、体内でのビリルビンの処理を妨げる遺伝性疾患などがあります。こういった疾患には、ジルベール症候群や、より頻度の低いデュビン-ジョンソン症候群などの病気があります。ジルベール症候群では、ビリルビンの値がわずかに上昇しますが、通常は黄疸が生じるほどではありません。この病気は、若年成人の定期的なスクリーニング検査で見つかることが、最も一般的です。ほかに症状はなく、治療しなくても問題はありません。

評価

警戒すべき徴候

黄疸がみられる場合は、以下の症状に注意が必要です。

  • 重度の腹痛および圧痛

  • 眠気、興奮、錯乱などの精神機能の変化

  • 血液が混じった便、またはタール状の黒い便

  • 血液が混じった嘔吐物

  • 発熱

  • 皮下出血や出血が起きやすい傾向(ときに小さな点状や、比較的大きな斑点状の赤紫色の発疹が生じることがありますが、これは皮膚の出血を示唆します)

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる場合は、できるだけ早く医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がみられない人は、数日中に医師の診察を受ける必要があります。

医師が行うこと

医師は、いつ黄疸が始まったのか、それがどれくらいの間続いているのかを尋ねます。さらに、いつから尿が濃くなったか(通常は、黄疸が出る前に起こる)も尋ねます。かゆみ、疲労、便の変化、腹痛など、他の症状についても尋ねられます。医師は、深刻な原因を示唆する症状に特に注意します。例えば、突然の食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、発熱は肝炎を示唆し、若者や肝炎の危険因子をもつ患者では、特にその疑いが強くなります。発熱および右上腹部に持続する重度の痛みは、急性胆管炎(胆管の感染症)を示唆し、通常は胆管が閉塞している患者にみられます。急性胆管炎は、緊急を要する病気です。

医師は問診の際、肝疾患にかかったことがないか、胆管に及ぶ手術を受けたことがないか、黄疸を引き起こす可能性のある薬(例えば、処方薬[アモキシシリン/クラブラン酸、クロルプロマジン、アザチオプリン、経口避妊薬]、アルコール、市販薬、薬用ハーブ、お茶などその他のハーブ製品を含む)を服用していないか尋ねます。家族に黄疸やその他の肝疾患がないか把握することは、遺伝性肝疾患を特定する上で役立ちます。

肝炎 肝炎の概要 肝炎は肝臓の炎症です。 肝炎は世界中でみられる病気です。 肝炎には以下の種類があります。 急性(経過が短い) さらに読む は、一般的な原因であるため、医師は特に肝炎のリスクを高めるような以下の条件について尋ねます。

  • デイケア施設で働いている

  • メンタルヘルスケア施設、刑務所、長期療養施設など、長期滞在者がいる施設に居住または勤務している

  • 肝炎がまん延している地域に住んでいるか旅行している

  • 肛門性交をしている

  • 生貝を食べている

  • 違法薬物またはレクリエーショナルドラッグを注射している

  • 血液透析を受けている

  • カミソリの刃や歯ブラシを他の人と共有している

  • 刺青を入れたり、ボディーピアスをつけたりしている

  • 医療施設で働いているにもかかわらず、肝炎の予防接種を受けていない

  • 1992年以前に輸血を受けたことがある

  • 肝炎の人と性交している

  • 1945年から1965年までに生まれた(米国の場合)

身体診察では、重篤な疾患の徴候(発熱、極度の低血圧、頻脈など)や肝機能が著しく損なわれている徴候(あざができやすい、小さな点状または斑状の発疹、精神機能の変化など)を探します。医師は腹部をやさしく押して、しこり、圧痛、腫れ、肝臓や脾臓の腫大などの異常がないか確認します。

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検査

以下のような検査が行われます。

  • 血液検査により、肝臓がどの程度機能しているかと、肝臓に損傷が起きているかどうかを評価する(肝機能検査)

  • 通常は、超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像検査

  • ときに生検または腹腔鏡検査

その他の血液検査は、医師が疑っている病気と、診察および初期検査の結果に基づいて行われます。例えば、以下のような検査があります。

  • 血液の凝固能(プロトロンビン時間および部分トロンボプラスチン時間)を調べる

  • 肝炎ウイルスまたは異常な抗体(自己免疫疾患によるもの)を調べる

  • 血算

  • 血液培養により血液の感染を調べる

  • 血液サンプルを顕微鏡下で観察し、赤血球の大量破壊がないかを調べる

画像検査が必要な場合、たいていは最初に腹部の超音波検査が行われます。通常は、これで胆管の閉塞を検出できます。代わりに、CT検査やMRI検査が行われることもあります。

超音波検査で胆管の閉塞が認められたら、その原因を特定するために他の検査が必要になることがあります。一般的には、磁気共鳴胆道膵管造影(MRCP 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、経皮経肝胆道造影、術中胆道造影、単純X線検査などがあります。 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)や脂肪肝(肝臓に過剰な脂肪が蓄積している状態)など肝臓全体を一様に侵す異常よりも、腫瘍など肝臓の特定の部分だけを侵す構造的な異常の検出に優れています。これは、胆... さらに読む )検査、または内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP 内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、経皮経肝胆道造影、術中胆道造影、単純X線検査などがあります。 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)や脂肪肝(肝臓に過剰な脂肪が蓄積している状態)など肝臓全体を一様に侵す異常よりも、腫瘍など肝臓の特定の部分だけを侵す構造的な異常の検出に優れています。これは、胆... さらに読む )検査が行われます。MRCPは、胆管および膵管のMRI検査であり、管内の液体を明るく見せ、周囲の組織を暗く見せる特殊な技術を使用します。したがって、MRCPでは、従来のMRI検査よりも良好な管の画像が得られます。ERCPでは、内視鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を口から小腸に挿入し、その内視鏡を介して胆管と膵管に造影剤を注入します。その後、X線撮影を行います。MRCPは正確で、より安全性が高いため、これが利用できる場合は、通常、優先的に使用されます。しかし、ERCPでは、生検サンプルの採取、胆石の除去その他の処置ができるため、こちらが用いられることもあります。

治療

  • 原因疾患の治療

  • かゆみには、コレスチラミン

  • 胆管閉塞には、それを解除する処置(内視鏡的逆行性胆道膵管造影など)

通常、かゆみは肝臓の状態が改善するにつれて徐々に消失します。かゆみが気になる場合は、コレスチラミンの服用が有用なことがあります。しかし、コレスチラミンは、胆管が完全に閉塞している場合には効果がありません。

高齢者での重要事項:黄疸

高齢者では、黄疸の原因となる病気があっても、若者にみられるような典型的な症状がみられないことがあり、また症状が軽かったり、認識しにくかったりすることもあります。例えば、高齢者が急性ウイルス性肝炎にかかった場合、若者に比べて腹痛はあまりみられません。高齢者が錯乱を起こすと、医師は間違って認知症と診断し、原因が肝性脳症 肝性脳症 肝性脳症は、重度の肝疾患がある人において、正常なら肝臓で除去されるはずの有害物質が血液中に蓄積して脳に達することで、脳機能が低下する病気です。 肝性脳症は、長期にわたる(慢性の)肝疾患がある患者に発生します。 肝性脳症は、消化管での出血、感染症、処方薬を正しく服用しないこと、その他のストレスによって誘発されます。 錯乱、見当識障害、眠気が起こるとともに、性格、行動、気分の変化がみられます。... さらに読む であることに気づかないことがあります。つまり、肝臓が血液から(通常のように)有害物質を除去することができず、その結果、有害物質が脳に到達して脳機能が低下していることに、医師が気づかないことがあります。

高齢者の黄疸の原因は通常、胆管の閉塞であり、若者に比べて、がんによる閉塞の可能性が高くなります。高齢者で体重が減少し、軽いかゆみがあり、腹痛がなく、腹部にかたまりがある場合、がんが閉塞の原因であることが疑われます。

要点

  • 肝臓の損傷がひどい場合には、脳機能の異常や出血や皮下出血が起きやすい傾向といった深刻な問題を伴うことがあります。

  • 急性ウイルス性肝炎は黄疸の一般的な原因で、特に若者や他の病気がない人に生じる黄疸の原因としてよくみられます。

  • 黄疸がみられたら、速やかに医師の診察を受けて、原因が深刻なものでないか調べてもらう必要があります。

  • コレスチラミンはかゆみを和らげるのに役立つことがあります。

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