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高齢者の運動

執筆者:

Brian D. Johnston

, Exercise Specialist, International Association of Resistance Training

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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次のような健康上の有益性が知られているにもかかわらず、65歳以上の人の75%は推奨されるレベルの運動を行っていません。

  • 寿命が延びる

  • 生活の質が向上する(例、持久力、筋力、気分、柔軟性、睡眠の質、精神機能)

これに加えて、多くの高齢者はどのくらいの強さの運動を行うかを意識しておらず、自分に可能な運動量についても把握していません。

運動は極めて安全に健康を改善できる手段です。身体機能の低下は加齢や病気が原因で起こりますが、いずれも高齢者には一般的な要因であるため、若い人より年輩の人の方が運動の恩恵を多く受けることができます。年齢を重ねてから運動を始めても、利益が得られることが証明されています。高齢者の日常生活動作には、基本的な中程度の強さのトレーニングが役立ちます。

健康に対する利益は、活発に体を動かしていない人が運動を始めた場合が最も大きく、特に有酸素運動ではその傾向が顕著です。

筋力は加齢に伴って低下し、筋力が低下すると機能が損なわれることがあります。筋力トレーニングは筋肉量を増やし、機能を大きく向上させます。筋肉量が増えると、同じように筋肉を動かしても、心血管系の負担が少なくて済みます。脚の筋力が増すと、速く歩けて、階段を楽に上れるようになります。運動をしている高齢者は、重病を患っても予後(経過の見通し)が良い傾向があります。

しかし、すべての高齢者が安全に運動できるわけではありません。一部の心疾患の患者や、管理されていない高血圧または糖尿病の患者は、運動を行うと危険な場合があります。また、関節炎などの病気を患うと、運動が困難になります。しかしほとんどの高齢者は、心疾患を抱える人でさえも、運動することができます。その際には、特別に組まれた運動プログラムに従うか、医師、理学療法士、または資格をもつトレーナーの監督下で取り組みます。運動中に胸痛や、ふらつき、不規則な心拍や速い心拍(動悸)が起きたら、運動を中止し、医療的な支援を求めてください。

高齢者は運動プログラムを始める前に、心疾患や運動を控えるべき身体的な要因がないか、担当医に評価してもらう必要があります。病歴や身体診察の結果に問題がなければ、通常、心電図検査 心電図検査 心電図検査は心臓の電気刺激を増幅して記録する検査法で、手早く簡単に行える痛みのない方法です。心電図による記録では、毎回拍動を誘発する心臓の生体ペースメーカー部(洞房結節、洞結節)、心臓の神経伝導経路、心拍数や心拍リズムについての情報が得られます。心電図では、心臓が拡大していること(通常の原因は高血圧)や、心臓に血液を供給する冠動脈の1つが閉塞しているために心臓に十分な酸素が行き届いていないことが示されることがあります。... さらに読む 心電図検査 は不要です。運動負荷試験 負荷試験 心臓に(運動や心拍を速く強くする薬剤で)負荷をかけると、冠動脈疾患を特定しやすくなります。冠動脈疾患では、心筋に血液を供給する冠動脈の血流が、部分的に、または完全に遮断されます。冠動脈の一部だけがふさがっている場合、安静時には心臓に十分な量の血液が供給されていても、心臓が激しく働いているときには供給が不足することがあります。したがって、運動中に心臓の検査を行うことで、冠動脈疾患の特定に役立ちます。... さらに読む 負荷試験 も、高齢者がゆっくり運動を開始し、徐々に強度を上げていくように計画しているのであれば、一般的に不要です。負荷試験は、活発な運動習慣のない人が強い運動を始める場合に行われることがあり、その人に糖尿病や肺疾患または心疾患が疑われる場合は、さらにその必要性が高まります。

運動プログラム

高齢者向けの包括的な運動プログラムには、若い人と同じく、次のものがあります。

  • 有酸素運動

  • 筋力トレーニング

  • 柔軟性とバランスのトレーニング

多くの場合、高齢者がすべての運動の目標を達成できるように、医師や運動の専門家がプログラムを1つ作成します。筋力トレーニングは筋肉量、持久力、筋力を向上させます。可動域全体を使って筋力トレーニングを行うと、多くの運動により柔軟性が向上し、筋力が増大して、関節の安定性が増した結果、体のバランスがよくなります。さらに、運動のセット間の休息を最小限にすると有酸素運動になり、心血管機能の改善にもつながります。

有酸素運動 有酸素運動 競技スポーツや運動プログラムを始めるときには、その前に医師に相談した方がよいでしょう。医師は、本人や家族の病気、そして本人の症状について質問を行います。次いで、聴診器で心音を聞くなどの身体診察を行います。これらの評価で、それまで心疾患の疑いがなかった人が、激しい運動で深刻な不整脈や予期せぬ突然死を起こしかねない心疾患を抱えていないかどうかを調べます。また、運動を制限しなければならない健康状態がみつかる場合もあります。例えば過体重であれば... さらに読む 有酸素運動 の持続時間は、高齢者の場合でも若い成人と同様ですが、運動の強さは下げる必要があります。通常は、運動しながら問題なく会話できるくらいの強さで取り組むようにします。運動を制限する病気がない高齢者は、年齢ベースの公式で算出した目標心拍数( 一般的な最大心拍数と目標心拍数 一般的な最大心拍数と目標心拍数 競技スポーツや運動プログラムを始めるときには、その前に医師に相談した方がよいでしょう。医師は、本人や家族の病気、そして本人の症状について質問を行います。次いで、聴診器で心音を聞くなどの身体診察を行います。これらの評価で、それまで心疾患の疑いがなかった人が、激しい運動で深刻な不整脈や予期せぬ突然死を起こしかねない心疾患を抱えていないかどうかを調べます。また、運動を制限しなければならない健康状態がみつかる場合もあります。例えば過体重であれば... さらに読む 一般的な最大心拍数と目標心拍数 )を徐々に上げていくことができます。

あまり運動をしていない高齢者は、筋力トレーニングで身体機能を改善しないと、有酸素運動を行うことができない場合があります。

バランストレーニングは、片脚で立ったりバランスボードに乗ったりして、不安定な環境で運動しながら重心を維持するトレーニングです。このトレーニングは高齢者の転倒防止策として行われ、とりわけ高齢者が自らの体勢を把握する感覚を喪失している場合によく用いられます。しかし、常に有効とは限りません。なぜならバランスをとる運動は、それぞれの活動に固有のものだからです(ゆえにバランスボードの上で立ってバランスを鍛えても、異なる状況でバランスをとる能力は向上しません)。さらに、そうしたバランスのトレーニングで転倒することもあります。ほとんどの高齢者では、柔軟性と筋力のトレーニングで転倒を効果的に予防できます。そうしたプログラムに取り組んだ方が、関節の周りの筋力が向上し安定性が増すため、立っているときや歩いているときの姿勢を保つのにも効果的です。

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