カイロプラクティック

執筆者:Denise Millstine, MD, Mayo Clinic
レビュー/改訂 2018年 9月
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カイロプラクティック(マニピュレーションや身体をベースにした実践の1つ)では,脊椎および他の関節面の構造の関係と,それらと神経系の相互作用が健康の維持や回復への鍵と考えられている。この関係を回復する主な方法は脊椎,他の関節および軟部組織のマニピュレーションである。カイロプラクティックの施術者は,理学療法(例,温熱療法,寒冷療法,電気刺激療法,リハビリテーション),マッサージや指圧を行ったり,運動,人間工学的手段,または生活習慣の改善を勧めたりすることがある。(統合,補完,代替医療の概要も参照のこと。)

ストレートカイロプラクターと呼ばれる一部の施術者は,生気論的な医療の一種を実施する。彼らは,生命力(イネイトと呼ばれる)の流れを回復しようとして,アライメント異常があると仮定した椎骨を矯正するためにマニピュレーションを用いる。彼らはこの方法によりほとんどの疾患が治癒すると考えている。他の施術者は,この概念を様々な程度で否定する;その一部は自らをエビデンスに基づいた筋骨格系の治療に制限している。

カイロプラクティックの用法

カイロプラクティックのマニピュレーションについてのエビデンスは,以下のものについて十分なものがある:

  • 腰痛(1)

カイロプラクティックは,頭痛,特に片頭痛と頸原性頭痛(ただしデータは一貫していない)の治療に有用なこともあり,また,頸部痛の治療にも用いられている(2)。マニピュレーション療法(カイロプラクティックのほか,オステオパシーを含む)は,仙痛または過度の啼泣を呈する乳児において有益で安全であった;ただし,これらの研究にはいくつかの方法論的な限界があった(3)。

一部の施術者は,その他の疾患(例,小児の喘息,遺尿症,斜頸,中耳炎)を治療するが,そのような疾患に対する治療としてのカイロプラクティックに関する質の高い研究はほとんどなく,それらは効力を支持していない。

生じうる有害作用

脊椎マニピュレーションに起因する重篤な合併症(例,腰痛,頸部神経損傷,頸動脈損傷)はまれである。骨粗鬆症患者や神経障害の症状(例,錯感覚,四肢の脱力)を有する患者には,脊椎マニピュレーションは推奨されない。脊椎手術を受けたことのある患者や脳卒中の病歴がある患者,血管疾患の患者における脊椎マニピュレーションの安全性は不明である。

参考文献

  1. 1.Coulter ID, Crawford C, Hurwitz EL, et al: Manipulation and mobilization for treating chronic low back pain: a systematic review and meta-analysis.Spine J18(5):866-879, 2018.doi: 10.1016/j.spinee.2018.01.013.

  2. 2.Bryans R, Descarreaux M, Duranleau M, et al: Evidence-based guidelines for the chiropractic treatment of adults with headache.J Manipulative Physiol Ther 34(5):274-89, 2011.doi: 10.1016/j.jmpt.2011.04.008.

  3. 3.Dobson D, Lucassen PL, Miller JJ, et al: Manipulative therapies for infantile colic.Cochrane Database Syst Rev 12:CD004796, 2012.doi: 10.1002/14651858.CD004796.pub2.

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