カモミール

カモミール茶は炎症および発熱を軽減し，軽い鎮静薬として作用し，抗うつ活性をもたらし，胃痙攣および消化不良を和らげ，胃潰瘍の治癒を促進すると言われている。カモミールエキスは湿布にして局所にあてがえば皮膚の炎症を鎮めると言われている。その機序は，ビサボロール成分を含む精油およびアピゲニンやルテオリンというフラボノイドによるものである。

カモミールの使用を支持する臨床試験のエビデンスはわずかである。しかしながら，軽度から中等度の不安がある患者に対するカモミール経口カプセル（アピゲニンの含有量が1.2％に規格化されたもの）の投与を評価したランダム化二重盲検プラセボ対照試験(1)および中等度から重度の全般不安症のオープンラベル試験(2)では，軽度の抗不安活性を有する可能性が示された。カモミールは抗うつ活性も有する(3)。さらに，カモミールは睡眠の質を改善する可能性がある(4)。

カモミールは一般に安全である；しかし，過敏反応が報告されており，特にキク科の植物（例，ヒマワリ，ブタクサ）や何らかの植物の花粉にアレルギーがある人によくみられる。典型的な症状としては，流涙，くしゃみ，消化管障害，皮膚炎，アナフィラキシーがある。

カモミールは経口薬の吸収を低下させることがある。また，カモミールは抗凝固薬や鎮静薬（バルビツール酸系薬剤とアルコールを含む）の作用を増強したり，鉄サプリメントの吸収を低下させたりすることもある。

1. Amsterdam JD, Li Y, Soeller I, et al: A randomized, double-blind, placebo-controlled trial of oral Matricaria recutita (chamomile) extract therapy for generalized anxiety disorder.J Clin Psychopharmacol 29(4):378-382, 2009. doi: 10.1097/JCP.0b013e3181ac935c.

2. Keefe JR, Mao JJ, et al: Short-term open-label chamomile (Matricaria chamomilla L.)therapy of moderate to severe generalized anxiety disorder.Phytomedicine 23(14):1699-1705, 2016.doi: 10.1016/j.phymed.2016.10.013. 

3. Amsterdam JD, Li QS, Xie SX, et al: Putative antidepressant effect of chamomile (Matricaria chamomilla L.)oral extract in subjects with comorbid generalized anxiety disorder and depression.J Altern Complement Med doi: 10.1089/acm.2019.0252.[Epub ahead of print]

4. Hieu TH, Dibas M, Dila KAS, et al: Therapeutic efficacy and safety of chamomile for state anxiety, generalized anxiety disorder, insomnia, and sleep quality: a systematic review and meta-analysis of randomized trials and quasi-randomized trials.Phytother Res 33:1604-1615, 2019.doi: 10.1002/ptr.6349.