膝蓋骨外側脱臼の整復

• 膝蓋骨の外側脱臼

膝蓋骨脱臼は，ほぼ常に外側脱臼である。

膝蓋骨外側脱臼の整復に禁忌はない。ただし，関連する脛骨近位部または大腿骨遠位端骨折（骨軟骨骨折を含む）がある場合は，整復前に整形外科医へのコンサルテーションを行うべきである。

• 整復が愛護的に行われた場合，合併症はまれである。

• 膝関節固定具または副子固定の材料

• 松葉杖

• 併存する膝蓋骨骨折，その他の骨異常，または異物を同定するために，処置前のX線検査が推奨される。

• 膝蓋骨はしばしば自然に（例，病院到着前）または膝関節が偶発的に伸展されたときに整復する。

• ストレッチャーの上で患者を仰臥位にする。

• 後脛骨動脈および足背動脈の脈拍，毛細血管再充満時間（正常は2秒未満）など，処置前の神経血管系の診察を行う。

• 通常，鎮痛は不要である。顕著な痛みまたは不安がある患者には，処置時の鎮静・鎮痛（PSA）を行ってもよい。

• 片腕で患側の下腿を抱える。

• 股関節をわずかに屈曲させる（大腿四頭筋の緊張を弛緩させる）。

• 下腿を愛護的に伸展させる。膝蓋骨が自然に整復する場合がある。

• 膝蓋骨が整復されていなければ，もう一方の手で，転位した膝蓋骨の最も外側の縁に愛護的な力を加え，膝蓋骨を大腿骨顆間の正常な位置に押し戻す。

• 整復が成功すると，知覚可能なクリックが伴うことがある。

• 正常な膝の輪郭の回復および痛みの軽減により，整復が成功したことを予備的に確認する。

• 膝関節固定具または副子を用いて，直ちに膝関節を完全伸展位で固定する。固定具は3週間装着すべきである。

• 神経血管系の診察を再度行う。

• 適切に整復されたことを確認し，併存する骨折を同定するために，処置後のX線検査を施行する。

• 整形外科医によるフォローアップを手配する。

• 膝蓋骨は評価前に自然に整復することがある。損傷が実際には膝関節脱臼ではなかったことを確認する。