一人暮らしの高齢者

執筆者:Daniel B. Kaplan, PhD, LICSW, Adelphi University School of Social Work;
Barbara J. Berkman, DSW, PhD, Columbia University School of Social Work
レビュー/改訂 2021年 3月
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米国では,地域社会に暮らす高齢者の約28%(1470万人)が一人暮らしをしており,高齢男性の21%,高齢女性の34%が一人暮らしである。一人暮らしの人の割合は年齢とともに増加する(すなわち,75歳以上の女性では約44%が一人暮らしである)。男性は妻よりも先に死亡する可能性が高く,妻を亡くした男性または離婚した男性は,夫を亡くした女性または離婚した女性よりも再婚する可能性が高い。高齢男性の約69%が既婚者であるのに対し,高齢女性では47%であり,2019年には高齢女性の31%が未亡人であった。

一人暮らしの高齢者は,特に加齢とともに,貧困となる傾向が高まる。高齢者の多くが孤独感(75歳以上の60%)および社会的孤立感を報告している。健康上の問題または感覚障害がある場合は,新しい症状または症状の悪化が見逃されることがある。高齢者の多くは,処方された治療レジメンの遵守が困難である。高齢者は身体動作が制限されており,食事は他人と関わる社会的な活動であるため,一人暮らしの高齢者の一部は,十分な,バランスのとれた食事を用意せず,低栄養が懸念となる。

こういった問題があるにもかかわらず,一人暮らしの高齢者のほぼ90%が自立を維持したいという強い思いを口にする。多くの人は他者に依存しすぎることを恐れ,孤独感を覚えていても一人暮らしを続けたいと考えている。自立の維持を助けるため,医師は,定期的に運動すること,および社会的交流をもつことを勧め,それを支援するためのソーシャルワークを紹介すべきである。

一人暮らしの患者において,回復期にサービスの調整を図り,サービスを提供することは困難である。医師は在宅ケアが利用できるよう取り計らい,必要に応じて追加のサービスを勧めるべきである。受動的または個別通報型の緊急通報装置は,必要になれば支援を得られるという安心感を患者に与えるであろう。COVID-19のパンデミックが発生して以来,多くの地域ベースの精神医療提供者および社会的ケア提供者は,テクノロジーを活用した支援活動やサービスを提供する能力を高めてきた。

より詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. 2019 Profile of Older Americans: Prepared by the Administration on Aging (AoA), provides data on the American population age ≥ 65

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