高齢者の負傷の予防

執筆者:Magda Lenartowicz, MD, Altais Health Solutions
レビュー/改訂 2020年 10月
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    転倒

    高齢者は転倒により損傷を負いやすい。転倒のリスクが高い場合または転倒歴がある場合は,運動(理学療法の有無を問わない)およびビタミンDの補充を含む転倒予防プログラムを施行すべきである。

    運転時の危険

    全高齢者に,シートベルトの着用を指示するとともに,飲酒時または向精神薬の服用時には運転しないよう指示すべきである。

    高齢者は,高齢者によくみられる加齢に関連する変化および状態のために,運転中に自分および他者に損傷を負わせるリスクが若年成人よりも高い。運転能力は,詳細な問診によって調べるべきであり,適応があれば以下のいずれかの有無について正式な評価を行う:

    • 視力低下

    • 認知症

    • 頸部または体幹運動機能の著しい障害

    • 協調運動の障害

    • 動作緩慢

    また,家族または友人が患者の運転能力に懸念を感じている場合にも詳しい問診および評価を行うべきである。

    正式な運転能力の評価は作業療法士により行うことができる。多くの州では,運動能力の低下が疑われるドライバーについて,医師による報告を義務づける法律がある。医療従事者が運転をやめるよう勧めなければならない場合には,自律性を脅かすことになるため,慎重になる必要がある。

    自宅における危険

    自宅に多くの危険が存在することがある。例えば,末梢神経障害がある場合には,極端に熱い湯で熱傷を負うリスクが高い;湯沸器の温度を49℃未満に設定することで予防できる。認知症がある場合には,電気器具およびガス器具の使用が特に危険である;器具に付属している警報器および自動停止機能の利用が役立つ可能性がある。火災報知器および一酸化炭素検知器を設置し,保守点検すべきである。銃器は安全に保管するか,または自宅に置かないようにすべきである。

    全ての患者またはその介護者は,自宅の安全性チェックリストに記入することで,危険(転倒リスクを高めるものを含む)を同定できる。理学療法士および作業療法士が患者の自宅を訪問し,安全性を評価することがある。

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