先天性筋骨格異常とは,筋,軟部組織,および/または骨が異常に発育・発生することで生じる一群の異常のことである。
先天異常は以下のように分類することができる。
変形
形成異常
変形(deformation)は,異常な圧迫および/または胎位(例,一部の内反足)もしくは出生後の体位(例,体位性斜頭症—同じ体位で長時間横になっていることに起因する頭部の平坦化)に起因する形状変化である。数日以内に自然に消失する変形もあれば,消失せず治療を要するものもある。
形成異常は,正常な臓器または組織の発生過程でエラーが生じたことによる異常である。その原因としては,染色体異常,単一遺伝子の異常,催奇形性物質,遺伝因子と環境因子の複合などが挙げられ,診断手法や遺伝子解析法が改良されたことで,特発性とみなされる症例は減ってきている。
先天性筋骨格異常の病因としては遺伝的なものと出生前の環境因子(例,サリドマイドの使用,ビタミンA)によるものがある。
先天性筋骨格異常はよくみられる異常である。特定の部位のみに異常がみられる場合(例,内反足)と,複数の先天異常を合併する症候群(例,脳,筋肉,および眼が侵されるWalker-Warburg症候群)の一部である場合がある。孤発性の先天異常を非定型あるいは徴候が軽微な症候群と鑑別するために,慎重な臨床的評価が必要になる場合もある。
該当する症候群は数多くあるため,この章では具体的な構造的異常に焦点を絞ることとする。具体的な症候群の多くに関する詳細な情報は,Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)の遺伝性疾患リストを参照のこと。
以下の異常について考察する:
一般に,先天性筋骨格異常がある小児では,合併する他の先天異常と発達遅滞について評価を行うべきである。基礎にある症候群を同定することが予後予測と家族カウンセリングに重要である。ある先天異常が単独でみられる場合も含めて,臨床遺伝専門医が診断確定のために罹患者の評価を行うべきである。先天性筋骨格異常がみられる患者の評価では,染色体マイクロアレイ解析,特異的遺伝子検査,または広範な遺伝子パネル検査を考慮すべきである。これらの検査で診断に至らない場合には,全エクソーム配列決定が推奨されることがある。何らかの診断を下すことが,至適な治療計画の設定,予備的ガイダンス(anticipatory guidance)および遺伝カウンセリングの提供,ならびに同様の異常のリスクがある近親者の同定に不可欠である。



