糖原病

執筆者:Matt Demczko, MD, Mitochondrial Medicine, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2020年 4月
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    糖原病は糖代謝異常症である。数字や名前が付けられた多くの病型があるが,その全てがグリコーゲンの合成または分解に関与する酵素の欠損によって引き起こされる;そうした欠損が肝臓または筋で発生することにより,低血糖が生じたり,異常な量または種類のグリコーゲン(もしくはその中間代謝物)が組織に沈着したりする。

    糖原病(GSD)の遺伝形式は,糖原病VIII/IX型がX連鎖性である以外,常染色体劣性である。発生率は出生25,000人当たり約1例と推定されているが,より軽度の無症状型が診断できていないために,過小評価されている可能性がある。糖原病のより完全な一覧については,糖原病および糖新生異常症の表を参照のこと。

    発症年齢,臨床像,および重症度は病型によって異なるが,症状と徴候としては低血糖およびミオパチーによるものが最も多い。

    糖原病の診断は,病歴,診察,MRIまたは生検による組織内のグリコーゲンおよび中間代謝物の検出によって疑われる。診断は,DNA解析,またはより頻度は下がるが肝臓(I型,III型,VI型,VIII/IX型),筋(IIb型,III型,VII型,VIII/IX型),皮膚線維芽細胞(IIa型,IV型),もしくは赤血球(VII型)における酵素活性の有意な低下,あるいは前腕の運動/虚血に伴う静脈血中の乳酸増加の欠如(VおよびVII型)を検出することにより確定される。(遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。)

    糖原病の予後および治療法は病型によって異なるが,治療の典型的なものとしては,肝型糖原病に対するグルコース源の維持を目的としたコーンスターチによる食事補給や筋型に対する運動回避などが挙げられる。

    解糖系の欠陥(まれ)は,糖原病に類似する症候群を引き起こすことがある。ホスホグリセリン酸キナーゼ,ホスホグリセリン酸ムターゼ,および乳酸脱水素酵素の欠損症は,糖原病V型およびVII型によるミオパチーと類似し,グルコース輸送タンパク質2欠損症(Fanconi-Bickel症候群)は,糖原病の他の病型(例,I,III,IV,VI型)による肝障害と類似する。

    表&コラム
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