異染性白質ジストロフィー

(スルファチドリピドーシス)

執筆者:Matt Demczko, MD, Mitochondrial Medicine, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2020年 4月
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    異染性白質ジストロフィーは,アリルスルファターゼAの欠損に起因するスフィンゴリピドーシス(遺伝性代謝疾患の1つ)である。いくつかの病型があり,最重症病型は,進行性の麻痺および認知障害を引き起こし,10歳までに死に至る。

    詳細については,主なスフィンゴリピドーシスの表を参照のこと。

    遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。

    異染性白質ジストロフィーでは,アリルスルファターゼAの欠損によって中枢神経系の白質,末梢神経,腎臓,脾臓,およびその他の臓器に異染性脂質が蓄積し,神経系への蓄積により中枢および末梢神経系で脱髄が発生する。数多くの遺伝子変異が存在しており,発症年齢および進行速度は患者毎に異なる。

    乳児型は進行性の麻痺および認知障害を特徴とし,通常は4歳までに発症し,症状の出現から約5年で死に至る。

    若年型では,4歳から16歳までの間に発症し,歩行障害,知的障害,および所見として末梢神経障害を伴う。乳児型とは対照的に,通常は深部腱反射が亢進する。

    より軽症の成人型も存在する。

    異染性白質ジストロフィーの診断は臨床所見と神経伝導速度低下の所見によって示唆され,DNA解析および/または白血球もしくは培養皮膚線維芽細胞での酵素欠損の検出によって確定される。(遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。)

    現在のところ,異染性白質ジストロフィーの進行例に効果的な治療法はない。軽症例では,骨髄または造血幹細胞移植が神経認知機能の安定化に役立つ可能性がある。ほかにも遺伝子治療,酵素補充療法,基質合成抑制療法のほか,場合によっては酵素増強療法など,いくつかの治療選択肢が主に乳幼児型の病型を対象に評価中である。

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