プリンの異化障害

執筆者:Matt Demczko, MD, Mitochondrial Medicine, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2020年 4月
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    プリンは,細胞のエネルギー系(例,ATP,NAD),信号伝達(例,GTP,cAMP,cGMP),およびピリミジンとともにRNAおよびDNA産生に重要な成分である。

    プリンおよびピリミジンは,de novo合成される場合と,正常な異化からのサルベージ経路によって再利用される場合がある。

    完全なプリン異化の最終産物は尿酸である。

    プリンの異化障害に加えて,プリン代謝異常症には以下の疾患も含まれる(プリン代謝異常症の表も参照):

    診断は臨床的に疑われ,一般にDNA解析により確定される。遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチおよび遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。

    ミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症(または筋アデノシン一リン酸デアミナーゼ欠損症)

    ミオアデニル酸デアミナーゼは,AMPをイノシンとアンモニアに変換する。その欠損症は無症状の場合もあれば,運動誘発性の筋肉痛または筋痙攣を引き起こす場合もある;変異アレルの頻度が高い(10~14%)にもかかわらず,変異アレルのホモ接合体患者における筋表現型の頻度が低いことから,多様な発現様式があると考えられている。症状のある患者が運動を行うと,健常者で起こるようなアンモニアおよびイノシン一リン酸の蓄積がみられないが,本疾患はこの所見により診断する。

    ミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症の治療は必要に応じた運動の調節である。

    アデノシンデアミナーゼ欠損症

    アデノシンデアミナーゼは,アデノシンおよびデオキシアデノシンをイノシンおよびデオキシイノシンに変換し,これらはさらに分解されて排泄される。この酵素が欠損すると(その原因となる遺伝子変異が60以上知られている),アデノシンが蓄積し,それが細胞内のキナーゼによってリボヌクレオチド型およびデオキシリボヌクレオチド型(dATP)に変換される。dATPの増加によりリボヌクレオチド還元酵素が阻害され,他のデオキシリボヌクレオチドの産生不足が生じる。その結果,DNAの複製が障害される。免疫細胞はこの異常の影響を特に受けやすく,アデノシンデアミナーゼの欠損は重症複合免疫不全症のある病型の原因となる。

    アデノシンデアミナーゼ欠損症の診断は,DNA解析による。

    アデノシンデアミナーゼ欠損症の治療は骨髄または造血幹細胞移植および酵素補充療法による。体細胞遺伝子治療も現在評価が行われている。

    プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症

    この常染色体劣性のまれな欠損症は,重度のT細胞機能不全を伴う免疫不全およびしばしばみられる神経症状を特徴とする。臨床像は,リンパ球減少,胸腺欠損,反復性感染症,および低尿酸血症である。多くの患者で,発達遅滞,運動失調,または痙性がみられる。

    プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症の診断は,DNA解析による。

    プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症の治療は骨髄または造血幹細胞移植による。

    キサンチンオキシダーゼ欠損症

    キサンチンオキシダーゼは,キサンチンおよびヒポキサンチンからの尿酸産生を触媒する酵素である。この欠損症では,キサンチンが蓄積し,これが尿中で析出することにより,血尿,尿管仙痛,尿路感染を伴う症候性の結石形成を引き起こすことがある。

    キサンチンオキシダーゼ欠損症の診断は,DNA解析による。酵素の測定には,肝または腸粘膜生検が必要となるため,めったに適応となることはない。

    キサンチンオキシダーゼ欠損症の治療は,結石形成の可能性を最小限に抑えるための大量の水分摂取と,一部の患者に対するアロプリノール投与である。

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