コレステロールエステル蓄積症およびウォルマン病

(ウォルマン病)

執筆者:Matt Demczko, MD, Mitochondrial Medicine, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2020年 4月
意見 同じトピックページ はこちら

    コレステロールエステル蓄積症とウォルマン病は,ライソゾームの酸性リパーゼの欠損に起因するスフィンゴリピドーシス(遺伝性代謝疾患の1つ)であり,高脂血症および肝腫大を引き起こす。

    詳細については,主なスフィンゴリピドーシスおよびその他のリピドーシスの表を参照のこと。

    遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。

    これらの疾患は,まれな常染色体劣性遺伝疾患であり,主に組織球のライソゾームにコレステロールエステルおよびトリグリセリドが蓄積され,肝臓,脾臓,リンパ節,およびその他の組織に泡沫細胞が形成される。血清中低比重リポタンパク質(LDL)は通常上昇している。

    ウォルマン病はより重症の病型であり,生後数週間で発症し,哺乳不良および嘔吐と肝脾腫に続発する腹部膨隆がみられ,無治療ならば通常は生後6カ月までに死に至る。

    コレステロールエステル蓄積症は,より軽症型で,発症は遅く,成人期まで症状が現れないこともあるが,発症すると肝腫大が検出され,早発性動脈硬化症(しばしば重度)を来すこともある。

    診断は,臨床的特徴に加えて,DNA解析および/または肝生検検体もしくは培養皮膚線維芽細胞,リンパ球,あるいはその他の組織における酸性リパーゼ欠損の検出に基づく。出生前診断は,培養絨毛膜絨毛における酸性リパーゼの活性消失に基づく。(遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。)

    2015年までは治療法がなく,生後1年以上生存できた患児はごく少数であった。現在,ライソゾームの酸性リパーゼの欠損は,欠損している酵素の組換え型であるセベリパーゼ アルファで治療できるようになった。

    quizzes_lightbulb_red
    Test your KnowledgeTake a Quiz!
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS