腟の先天奇形は大半がまれである。腟の奇形としては,無形成,閉塞,重複,融合などがある。
重複および融合奇形には数多くのパターンが存在する(例,2子宮・2子宮頸・2腟,2子宮・1子宮頸・1腟)。また女児では,尿路と生殖路が同一経路に開口する尿生殖洞奇形や,尿路,生殖路,および肛門直腸路が同一の溝に開口する総排泄腔奇形が発生することもある。
処女膜閉鎖症は,母体エストロゲンによる子宮および腟分泌物の貯留に起因した腟開口部の膨隆として顕在化する。処女膜閉鎖症の治療は外科的ドレナージである。
腟の先天奇形の診断は大抵の場合,身体診察,超音波検査,および逆行性造影検査による。
重複および融合奇形では治療の必要がない場合もある。
(泌尿生殖器系の先天異常の概要 泌尿生殖器系の先天異常の概要 泌尿生殖器における解剖学的先天異常は,臓器系先天異常のなかで最も頻度の高いものである。 尿路奇形は, 尿路感染症や 閉塞,尿うっ滞, 結石形成,腎機能障害など多くの合併症の素因となる。ここでは次のような先天性の尿路奇形を考察する: 膀胱異常 プルーンベリー症候群 腎奇形 さらに読む も参照のこと。)