(染色体異常症の概要 染色体異常症の概要 染色体異常は様々な疾患の原因となる。性染色体(XおよびY染色体)の異常よりも常染色体(男女とも22対ある相同な染色体)の異常の方が多くみられる。 染色体異常はいくつかのカテゴリーに分けられるが,大きく数的異常と構造異常に分けて考えることができる。 数的異常としては以下のものがある:... さらに読む も参照のこと。)
微小欠失症候群の方が微小重複症候群より明確に定義されており,多くの微小重複の意義は依然として不明である。近年,22q11.2や7q11.23などのよく認識されている微小欠失に対応する重複がより明確に定義されるようになった。
染色体欠失症候群 染色体欠失症候群 染色体欠失症候群は,染色体の一部が欠損することによって生じる。重度の先天奇形と有意な知能および身体障害が生じる可能性がある。特定の染色体欠失症候群が生前から疑われる可能性は比較的低いが,他の理由で実施された核型分析の際に偶然発見されることがある。出生後診断では,臨床的な外観から疑い,核型分析(欠失が比較的大きい場合)またはその他の細胞遺伝学手法(蛍光in situハイブリダイゼーションやマイクロアレイ解析など)によって確定する。... さらに読む では,その大きなサイズ(典型的には500万塩基以上)のため,通常は核型分析でその異常を観察できるが,その一方で微小欠失症候群の異常は比較的小さな分節内(典型的には100万~300万塩基)で発生するため,蛍光プローブ(蛍光in situハイブリダイゼーション)や染色体マイクロアレイ解析によってのみ検出可能であることから,微小欠失症候群は染色体欠失症候群とは異なるものである。ある遺伝子分節は,欠失することと重複すること(相互重複[reciprocal duplication]と呼ばれる)がある。微小重複の臨床的な影響は同じ分節の欠失によるものと類似する傾向があるが,同じ分節の欠失と比べると重症度は低い。隣接遺伝子症候群という用語は,典型的には微小欠失と関連することが多い疾患を指すが,,微小重複(遺伝子がクラスターを形成する)と関連する疾患を指すこともある。(次世代シークエンシング技術 遺伝子診断技術 遺伝子診断技術は急速に発展している。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法でDNAまたはRNAを増幅することで,遺伝子または遺伝子断片のコピーを大量に複製することが可能である。 ( 遺伝学の概要も参照のこと。) 遺伝子プローブを用いれば,特定の正常または変異DNA断片の位置を同定することが可能である。様々な種類のプローブにより,幅広い大きさのDNA配列を検討することができる。既知のDNA分節をクローニングして蛍光分子で標識することもでき(蛍光... さらに読む も参照のこと。)
臨床的に有意な微小欠失および微小重複の大半は散発的に発生したもののように見えるが,実際には児の異常が判明した後に親の検査を行ってみると,親が軽症例と診断されることがありうる。
染色体17p11.2の欠失に対応する微小重複はPotocki-Lupski症候群に関連する。この疾患を有する乳児では筋緊張低下,授乳困難,発育不良,心臓の異常,発達遅滞,および自閉症がみられる。