息止め発作

執筆者:Stephen Brian Sulkes, MD, Golisano Children’s Hospital at Strong, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 2019年 12月
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    息止め発作とは,恐怖や動揺を引き起こす出来事の直後または痛みを伴う経験の後に,小児が不随意的に呼吸を停止し,短時間意識を喪失するエピソードである。

    小児における行動上の問題の概要も参照のこと。)

    息止め発作は,それ以外では健康な小児の約5%に発生する。通常は1歳までに始まり,2歳にピークがある。4歳までに50%が,8歳までには83%が消失する。残りは成人期まで発作が発生し続ける場合もある。息止め発作は真のてんかんの危険因子とはみられていないが,成人期の失神発作のリスク増大と関連している可能性がある。

    息止め発作には2つの病型がある:

    • チアノーゼ型:この病型は最も頻度が高く,しばしばかんしゃくの一部として,または叱責をはじめとする動揺を引き起こす出来事への反応として発生する。

    • 蒼白型:この病型は,典型的には転倒や頭部打撲などの痛みを伴う経験に引き続いて発生するが,恐ろしい出来事や衝撃的な出来事に続いて発生することもある。

    両型とも不随意的であり,頑固な小児にまれにみられる短時間の意図的な息止め(欲しかったものが手に入った後やその入手に失敗して不快になった後に生じ,例外なく正常な呼吸を再開する)との鑑別は容易である。

    チアノーゼ型息止め発作が発生すると,意識を失うまで呼吸停止が持続する(本人は必ずしも気づいているわけではない)。典型的には,まず泣き出して,息を吐き出した後に,呼吸が停止する。程なくして蒼白になり始め,続いて意識を失う。短い痙攣発作が起こることもある。数秒後には呼吸が再開され,皮膚の色は正常に戻り,意識も回復する。発作開始とともに冷やした布を顔の上に当てることによって,発作を停止できることがある。このエピソードには驚かされるが,親はそれにひるんで発作開始時の行動が強化されないように努めなければならない。親は児が回復してからも家庭内ルールの適用を継続すべきである。児の注意を逸らし,かんしゃくを引き起こす状況を避けることが良い方略である。チアノーゼ型息止め発作については,たとえ貧血がなくとも鉄剤投与治療が奏効すること(1),閉塞性睡眠時無呼吸症候群を伴う場合はその治療にも反応することが報告されている。

    蒼白型息止め発作が発生すると,迷走神経刺激により心拍数が大幅に低下する。呼吸が停止して急速に意識を失い,青ざめてぐったりとする。発作が数秒以上続くと,筋緊張が亢進し,痙攣や失禁を起こすことがある。発作後には,無治療でも心拍数は上昇し,呼吸も再開し,意識も回復する。この病型はまれであるため,発作が頻回に発生する場合には,さらなる診断評価と治療が必要になることがある。原因が心臓と神経系のどちらにあるかを鑑別する上で,心電図と脳波の同時測定が役立つ可能性がある。

    治療に関する参考文献

    1. 1.Hamed SA, Gad EF, Sherif TK: Iron deficiency and cyanotic breath-holding spells: The effectiveness of iron therapy.Pediatr Hematol Oncol 35(3):186–195, 2018.doi: 10.1080/08880018.2018.1491659.

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