骨形成不全症

執筆者:Frank Pessler, MD, PhD, Helmholtz Centre for Infection Research
レビュー/改訂 2020年 10月
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骨形成不全症は,骨のびまん性の異常な脆弱性を生じる遺伝性のコラーゲンの障害であり,ときに感音難聴,青色強膜,象牙質形成不全,関節の過可動性を伴う。診断は,通常,臨床的に行う。治療には,一部の病型に対して成長ホルモン,およびビスホスホネートが含まれる。

骨形成不全症には4つの主な病型がある:

主な病型のうちの1つがみられる患者の90%で,I型プロコラーゲン(骨,靱帯,および腱の構造成分)のプロα鎖であるCOL1A1またはCOL1A2をコードする遺伝子に突然変異がある。その他の病型はまれであり,別の遺伝子の変異により起こる。

症状と徴候

難聴が骨形成不全症の全症例の50~65%にみられ,4つの病型のいずれにおいても起こりうる。

I型は最も軽度である。一部の患者の症状と徴候は,青色強膜(結合組織の欠損により下にある血管が透けてみえる)および関節の過可動性による筋骨格痛に限られる。小児期に頻回の骨折が起こる可能性がある。

II型(新生児致死性または先天性骨形成不全症)は最も重度で致死的である。多発性の先天性骨折により,四肢の短縮を来す。強膜は青色を呈する。頭蓋骨が軟らかく,触診すると骨の袋のような感触がある。頭蓋骨が軟らかいために,分娩時の外傷が頭蓋内出血および死産を引き起こすことがある他,新生児が生後数日間または数週間で突然死することもある。

骨形成不全症(青色強膜)
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この写真は,青色強膜(通常は白色)を認める眼の拡大像である。
JAMES STEVENSON/SCIENCE PHOTO LIBRARY

III型は骨形成不全症の最も重度の非致死的な病型である。III型患者では低身長,脊柱弯曲,および多発性で反復性の骨折がみられる。三角形の顔貌を伴う大頭症および胸郭変形がよくみられる。強膜の色は多様である。

骨形成不全症(骨格所見)
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この写真には,樽状胸,脊柱弯曲,重度の骨変形,関節弛緩,および重度の筋発達不良を伴う,重度の骨形成不全症患者が写っている。
R M.A.ANSARY/SCIENCE PHOTO LIBRARY

IV型の重症度は中等度である。生存率は高い。青年期になる前の小児期に容易に骨折する。強膜の色は典型的には正常である。身長は中等度の低身長である。この型の患者では治療が有益である可能性があるため,正確な診断が重要である。

診断

  • 臨床的評価

  • ときにI型プロコラーゲンの解析または遺伝子検査

骨形成不全症の診断は通常臨床的に行うが,標準化された診断基準はない。

臨床的な診断が不明確な場合,培養線維芽細胞(皮膚生検由来)から採取するI型プロコラーゲンの解析,またはCOL1A1およびCOL1A2遺伝子の配列解析が使用できる。

重度の骨形成不全症はレベル2の超音波検査によって子宮内で検出できる。

治療

  • 成長ホルモン

  • ビスホスホネート

成長ホルモン反応性の小児(I型およびIV型)に成長ホルモンが有用である。

ビスホスホネートによる治療は,骨密度の増加ならびに骨痛および骨折リスクの低減を目的とする(1)。パミドロン酸の静脈内投与(0.5~3mg/kg,1日1回を3日間,必要に応じて4~6カ月毎に繰り返す)またはアレンドロン酸の経口投与(1mg/kg,最大量20mg,1日1回)を用いる。

整形外科的手術,理学療法,および作業療法が骨折予防および機能改善に有用である。

選択された難聴症例で人工内耳移植が適応となる。

治療に関する参考文献

  1. 1.Dwan K, Phillipi CA, Steiner RD, Basel D: Bisphosphonate therapy for osteogenesis imperfecta.Cochrane Database Syst Rev CD005088, 2016.10.1002/14651858.CD005088.pub4

より詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. Osteogenesis Imperfecta (OI) Foundation: An organization providing support, education, and research information about OI

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