先天性白内障

(乳児白内障)

執筆者:Leila M. Khazaeni, MD, Loma Linda University School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 6月
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    先天性白内障は,出生時または出生後早期から存在する水晶体の混濁である。

    (成人における白内障も参照のこと。)

    先天性白内障は散発例のこともあれば,染色体異常,代謝性疾患(例,ガラクトース血症),子宮内感染症(例,風疹),またはその他の妊娠中の母体疾患などによって引き起こされることもある。先天性白内障は,一般的に常染色体優性で遺伝する孤発性の家族性先天異常の場合もある。

    白内障は水晶体の中心に発生する場合(核白内障)も,水晶体前嚢下または後嚢下の水晶体質に及ぶ場合(嚢下白内障または皮質白内障)もある。片眼性または両眼性のいずれもある。出生時に赤色反射の検査をしたり,眼底検査を行ったりしない限り,見逃されることがある。他の白内障と同様に,水晶体の混濁によって視覚が不明瞭になる。白内障では視神経乳頭および血管の観察像が不明瞭になることがあるため,必ず眼科医が評価すべきである。

    白内障は小切開から(水晶体を)吸引することによって除去される。多くの小児で眼内レンズが埋め込まれることがある。良好な転帰を獲得するためには,眼鏡,コンタクトレンズ,またはその両方による術後の視力矯正が通常必要となる。

    片眼性白内障を除去した後,術眼の像の質は対眼より劣る(対眼が正常であると仮定した場合)。ここでよい方の眼が好んで使用されるため,脳によって低質な方の像が抑制されることにより弱視が発生する。そのため,術眼で正常な像が生じるには,効果的な弱視治療を行う必要がある。構造異常の合併のため,良好な視力が得られない小児もいる。対照的に,両眼性白内障を除去し,左右眼で像の質が同等な患児では,左右眼で等しい視力の発達がより高頻度に認められる。

    一部の白内障は限局性(後部円錐水晶体)で,生後10歳まで混濁がみられる。白内障が限局性の眼では,視力転帰が良好である。

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