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小児におけるコミュニケーション障害

執筆者:

Udayan K. Shah

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2020年 9月
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小児のコミュニケーションは,音声,聴覚,発話,および言語の問題,またはそれらの組合せのために損なわれることがある。診断ではこれらの各要素を評価する。

音声障害

6%を超える学齢期の小児に発声障害があり,嗄声が最もよくみられる。原因はしばしば,長期にわたり過度に声を使用することおよび/または大きすぎる声で話すことである。対応する解剖学的異常で最も高頻度にみられるものは, 声帯結節 声帯ポリープ,声帯結節,および声帯肉芽腫 急性外傷または慢性刺激により,ポリープ,結節,または肉芽腫に至ることがある声帯の変化が生じる。いずれも嗄声および気息声を引き起こす。これらの症状が3週間を超えて持続する場合は,声帯の観察を行う。診断は,喉頭鏡検査および選択された症例でがんを除外するための生検に基づく。慎重な外科的切除により音声を回復し,刺激源の除去により再発を予防する。 ポリープおよび結節は,声帯の固有層への損傷により発生する。肉芽腫は,披裂軟骨の声帯突起を覆う軟骨膜へ... さらに読む 声帯ポリープ,声帯結節,および声帯肉芽腫 である。他の喉頭病変または内分泌異常も一因となる可能性がある。難聴が,声量を感じて声の強さを変える能力を阻害することによって一因となりうる。結節は通常は音声治療で解消し,手術が必要になることはまれである。

聴覚障害

発話障害

小学校第1学年の小児の約5%に発話障害がある。発話障害では,音声の産出が障害される。発話障害としては,以下のものがある:

言語障害

他の点では健康な小児の約5%で,言語理解または言語表現の困難が認められる(特異的言語障害と呼ばれる)。男児でより高頻度にみられ,おそらく遺伝因子が一因となっている。あるいは,言語の問題は他の疾患(例, 外傷性脳損傷 外傷性脳損傷(TBI) 外傷性脳損傷(TBI)は,脳機能を一時的または恒久的に障害する脳組織の物理的損傷である。診断は臨床的に疑い,画像検査(主にCT)により確定する。初期治療は確実な気道確保,十分な換気,酸素化,および血圧の維持で構成される。損傷が重度の患者では,しばしば外科手術が必要となり,頭蓋内圧亢進の追跡および治療のためにモニターを設置し,頭蓋内圧亢進に... さらに読む 外傷性脳損傷(TBI) 知的障害 知的能力障害 知的能力障害は,平均を著しく下回る知的機能(しばしば知能指数で70~75未満と表現される)に加えて,適応機能(すなわち,コミュニケーション,自己主導,社会的技能,自己管理,社会資源の利用,自身の安全の維持)において制限がみられるとともに,支援の必要性が実証されていることが特徴である。管理は教育,家族カウンセリング,および社会的支援から構成される。 知的能力障害は,神経発達障害の1つと考えられている。神経発達障害とは,小児期早期,典型的に... さらに読む 難聴 小児の聴覚障害 難聴の一般的な原因は,新生児では遺伝子異常,小児では耳の感染症および耳垢である。多くの症例がスクリーニングにより検出されるが,小児が音に反応しない場合または言語発達の遅滞がみられる場合は,難聴を疑うべきである。診断は通常,新生児では電気診断検査(誘発耳音響放射検査および聴性脳幹反応)により,小児では診察およびティンパノメトリーによる。不可... さらに読む 小児の聴覚障害 ネグレクトまたは虐待 小児虐待の概要 小児虐待は,小児に対する常軌を逸した行動であり,身体的または情緒的な危害を与える多大なリスクを伴う。一般的に4種の虐待が認識されている;身体的虐待,性的虐待,情緒的虐待(心理的虐待)【訳注:米国では"emotional abuse"と"psychological abuse"が同義で使用されている[参考:NATIONAL... さらに読む 小児虐待の概要 自閉症 自閉スペクトラム症 自閉スペクトラム症とは,社会的交流およびコミュニケーションの障害,反復常同的な行動様式,ならびにしばしば知的能力障害を伴う不均一な知的発達を特徴とする,神経発達障害の1つである。症状は小児期早期に始まる。患児の大部分においてその原因は不明であるが,エビデンスから遺伝的要素の存在が支持されており,また一部の患者では,何らかの内科的病態によって自閉症が引き起こされることもある。診断は発達歴および観察に基づく。治療は行動管理であり,ときに薬物... さらに読む 注意欠如・多動症 注意欠如・多動症(ADD,ADHD) 注意欠如・多動症(ADHD)は,不注意,多動性,および衝動性から構成される症候群である。不注意優勢型,多動性・衝動性優勢型,混合型の3つの病型に分類される。診断は臨床的な基準により下される。治療では通常,精神刺激薬による薬物療法,行動療法,教育的介入などが行われる。 注意欠如・多動症(ADHD)は,神経発達障害と考えられている。神経発達障... さらに読む )に続発して生じることもある。

言語療法が有益なことがある。特異的言語障害を有する小児の一部は自然に回復する。

診断

小児にコミュニケーション障害がある場合(例,1歳の誕生日までに2語以上話せない),親に医療機関への受診を指導することがある。評価には神経学的および耳鼻咽喉科学的診察を含めるべきである。聴覚および言語を評価する。

音声障害(例,嗄声,気息声[息もれ声])が疑われる場合,喉頭鏡検査を考慮すべきである。

要点

  • 音声,聴覚,発話,および/または言語の問題(コミュニケーション障害)は一般的であり,学業および社会生活に影響する。

  • コミュニケーションが遅れていると思われる(例,1歳の誕生日までに2語以上話せない)小児を評価する。

  • 聴覚および言語発達を評価し,コミュニケーション障害のある小児には喉頭鏡検査を考慮する。

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