小児がんの概要

執筆者:Renee Gresh, DO, Nemours A.I. duPont Hospital for Children
レビュー/改訂 2019年 7月
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全体として,小児がんは比較的まれであり,0~14歳の小児における年間発生例数は13,500例未満,年間死亡例数は約1500例である。それに比べて成人では,年間発生例数は140万例,年間死亡例数は575,000例である。しかし,小児ではがんは外傷に次ぐ2番目の死因である。

小児期のがんには成人に発生するものも多く含まれる。白血病が圧倒的に最も多く,小児がんの約33%を占めており,その他は脳腫瘍が約25%,リンパ腫が約8%,一部の骨腫瘍(骨肉腫およびユーイング肉腫―原発性悪性骨腫瘍を参照)が約4%を占める。

小児特有のがんとしては以下のものがある:

現在,米国には小児がんの成人生存者が350,000人いると推定されている。がん生存者の小児では,その後の生存期間が成人の場合より長いため,化学療法および放射線療法による以下のような晩期合併症が発生しやすい:

  • 不妊症

  • 発育不良

  • 心障害

  • 二次がんの発生(生存者の3~12%)

  • 心理社会的影響

晩期合併症のスクリーニングおよび管理に関するコンセンサスガイドラインはChildren's Oncology Groupで入手可能である。

このような重大な影響および治療の複雑性のため,小児がん患者は小児がんに精通したセンターで治療を受けるのが最善である。

小児がんの治療法は,がんの種類と病期に依存する。一般的な治療法としては,化学療法手術放射線療法幹細胞移植などがある。免疫療法は,患児自身の免疫系ががんを攻撃するのを助ける新たな治療法であり,特定の小児がんに対して役立つ可能性がある。免疫療法には様々な種類があり,具体的にはモノクローナル抗体,腫瘍溶解性ウイルス療法(oncolytic virus therapy),がんワクチンキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T療法),二重特異性T細胞誘導抗体(bispecific T-cell engager)などがある。米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は最近,小児前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病に対する抗CD19 CAR-T療法の使用を承認した。

がんと診断される衝撃および治療の強度は児と家族を打ちのめすものである。とりわけ,頻繁な入院および外来受診,ならびにおそらく痛みを伴う処置の必要性から,小児が通常の生活をしていると感じ続けることは困難である。親は仕事を続け,同胞に気を配り,がんに罹患した子どもの多くのニーズにもこたえようとするため,一般的に極度のストレスがかかる。家から離れた専門のセンターで治療を受けている場合は,状況はさらに困難となる。

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