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小児における身体症状症および関連症群

執筆者:

Josephine Elia

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2019年 5月
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身体症状症および関連症群は,その症状および関係する健康上の懸念に対する過剰または不適応な思考,感情,および行動に関連した持続的な身体症状により特徴づけられる。これらの障害は苦痛を伴い,しばしば機能を障害する。

身体症状症および関連症群には以下のものがある:

身体症状症および関連症群は男児と女児で等しく認められるが,青年期では男子より女子の方が多い。

診断

  • 通常は臨床基準

  • ときに検査による他の疾患の除外

身体症状症または関連症の診断は,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition(DSM-5)の基準に基づいて行う。一般に,これらの疾患のいずれかと診断するには,症状のために著しい苦痛または日常機能の支障が生じており,また自分の健康および/または症状についての過度の心配が思考や行動に現れる必要がある。

初診時には,医師は身体疾患が原因であるかどうかを判断するため,広範に病歴を聴取する(ときに家族と面談する)とともに,徹底的な診察およびしばしば検査を行う。身体症状症の患児がその後身体疾患を発症することもあるため,症状が著しく変化する場合,または他覚徴候がみられた場合には,必ず適切な診察および検査を行うべきである。しかしながら,検査をすることで患児が身体的問題があるとさらに強く信じこんでしまったり,不必要な診断検査自体が患児の心を傷つけたりする可能性があるため,通常は過度の臨床検査は行わないようにする。

身体的問題が確認できない場合は,医師は症状が身体症状症または関連症によるものかどうかを判断する一助として標準的な精神状態に関する検査を行うことがある。また,医師は患児や家族と話し,基礎に心理的問題や家族関係のトラブルがないかを探る必要がある。

治療

  • 精神療法

  • ときに症状緩和のための薬剤

たとえプライマリケア医と良好な関係が構築されている場合でも,患児を精神療法士(psychotherapist)に紹介するのが一般的である。患児は自分の症状を純粋に身体的なものと考えているため,精神療法士の診察を受けるという考えに対して尻込みすることがある。しかしながら,個人精神療法および家族精神療法(しばしば認知行動療法を用いる)は,症状を持続させている思考や行動のパターンを患児や家族に認識させるのに役立つ可能性がある。精神療法士は 催眠法 催眠療法 心身医療の一種である催眠療法は,西洋の精神療法に由来する。患者は深い弛緩状態と集中状態に置かれ,行動変容を助けることで健康状態を改善する。患者は没頭し,完全に意識を失うことなく,周囲の状況や現在の自分の体験には比較的注意が向かなくなる。中には自己催眠が行えるようになる患者もいる。 ( 統合,補完,代替医療の概要も参照のこと。) 催眠療法は疼痛症候群,更年期症状,恐怖症や変換症の治療に用いられており,また禁煙および減量の管理で多少の効果が... さらに読む バイオフィードバック バイオフィードバック 心身医療の一種であるバイオフィードバックでは,電子機器を用いて患者に生物学的な機能(例,心拍数,血圧,筋肉活動,皮膚温,皮膚抵抗,脳表面の電気的活動)に関する情報を提供し,患者にそれらの機能のコントロール法を頭の訓練を通して教育する。 ( 統合,補完,代替医療の概要も参照のこと。) 療法士の助けを借りて,または訓練により,患者はバイオフィードバックの情報を用いて生物学的な機能を修正したり,リラックスしたりすることができ,結果的に疼痛,ス... さらに読む リラクゼーション療法 リラクゼーション法 心身医療の一種であるリラクゼーション法は,ストレスや緊張を緩和するために特別にデザインされたものである。この療法は特に,以下を目的としている: 交感神経系活動の抑制 血圧の降下 筋肉の緊張の弛緩 代謝速度の低下 さらに読む を使用することがある。

精神療法は,通常,患児を正常な日常生活に戻すことを目的としたリハビリテーションプログラムと組み合わせて行われる。これには理学療法が含まれる場合があり,以下のような便益がある:

  • 身体症状症または関連症により引き起こされる可動性の低下や筋量減少などの実際の身体的影響を治療する。

  • 患児が,あたかも具体的な施術がなされて治療されたかのように感じる。

  • 患児が治療に積極的に参加できるようになる。

併存する精神障害(例,うつ病,不安)の治療のための薬剤が有用となる場合があるが,一次的な介入は精神療法である。

プライマリケア医(患者が受ける全てのケアを調整し,症状を緩和するケアを勧め,定期的に診察を行い,不必要な検査や処置から患者を保護する)との間で支持的な関係をもつことも患児にとって有益となる。

要点

  • 患児は自分の健康,身体症状,または重篤な疾患に罹患しているもしくは罹患しつつあるという可能性を過度に心配する。

  • 患児は複数の症状(例,協調運動障害または平衡障害,脱力,麻痺または感覚喪失,発作,失明,複視,難聴)を呈することもあれば,重度の症状(典型的には疼痛)を1つ呈することもある。

  • まず適切な診察および検査を行って症状の原因としての身体疾患を除外し,症状が著しく変化する場合または他覚徴候がみられる場合は,新たな身体疾患の有無を確認する。

  • 治療では精神療法を行い,通常は患児を正常な日常生活に戻すことを目的としたリハビリテーションプログラムと組み合わせる。

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