小児および青年における社交不安症

(社交恐怖症)

執筆者:Josephine Elia, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2019年 5月
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社交不安症は,社会的状況における困惑,冷笑,屈辱などに対する恐怖が遷延する状態である。典型的には,患児は社会的注視を招く可能性のある状況(例,学校)を回避しようとする。診断は病歴に基づいて行う。治療は行動療法であるが,重症例ではSSRIが使用される。

小児および青年における不安症の概要および社交恐怖症も参照のこと。)

症状と徴候

青年期では,社会的イベントに出席する前の過度の心配や教室発表に対する過剰な準備が社交不安症の最初の症状となることがある。小児での最初の症状は,社会的状況でのかんしゃく,啼泣,すくみ,しがみつき,または引きこもりのことがある。回避行動(例,登校拒否,パーティーに行かない,他人の前では食事をしない)が続いてみられることがある。愁訴はしばしば身体的なものが中心となる(例,「お腹が痛い」「頭が痛い」)。症例によっては,それらの身体的愁訴のために多くの医師の診察や医学的評価を受けている。

患児は,間違った回答をすること,不適切なことを言うこと,当惑すること,さらには嘔吐することなどによって,友人の前で恥をかくことを恐れる。一部では,社交不安症が不運で厄介な出来事の後に現れる症例もある。重症例では,患児は電話で話すことも,さらには外出することすらも拒否する場合がある。

診断

  • 臨床的評価

社交不安症の診断を下すには,不安の持続期間が6カ月以上で,同様の状況では一貫してみられる(例,時折の教室発表のみまたは特定の学級での発表ではなく,全ての教室発表に対して不安を感じる)必要がある。不安は成人との相互交渉時だけでなく,友人同士の状況でも起こらなければならない。

治療

  • 行動療法

  • ときに抗不安薬

行動療法が社交不安症の治療の要となる。学校の欠席を許すべきではない。欠席しても,より登校が難しくなるだけである。

小児および青年が積極的に行動療法に参加しない場合または十分な反応が得られない場合には,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗不安薬が役立つことがある(不安症および関連症群の長期治療に使用される薬剤の表を参照)。SSRIによる治療により,行動療法への患児の参加を容易にするのに十分なだけの不安の軽減が得られることがある。

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