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卵巣がん

執筆者:

Pedro T. Ramirez

, MD, Houston Methodist Hospital;


Gloria Salvo

, MD, MD Anderson Cancer Center

レビュー/改訂 2020年 9月
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本ページのリソース

卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。

米国では,卵巣がんは婦人科がんとして2番目に多い(70人に約1人罹患する)。卵巣がんは,女性におけるがん関連死因の第5位であり,米国では2020年に推定21,750例の新規症例および13,940例の死亡が推定されている。発生率は先進国で高い。

病因

卵巣がんは主に閉経期と閉経後女性に生じる。

卵巣がんのリスクの上昇は以下による:

  • 第1度近親者の卵巣がんの既往

  • 未経産

  • 高齢での出産

  • 早い初経

  • 閉経の遅れ

  • 子宮内膜癌(子宮体癌),乳癌,または結腸癌の既往歴または家族歴

リスクの低下は以下による:

  • 経口避妊薬の使用

高異型度漿液性卵巣がんでは,14~18%の患者でBRCA1(breast cancer 1)およびBRCA2(breast cancer 2)遺伝子の生殖細胞系列変異が同定され,3%に体細胞BRCA変異(BRCAm)またはメチル化による不活化が認められる(1 病因論に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む )。高異型度漿液性卵巣がんでは,約半数の患者で相同組換え(DNA損傷の修復と複製に関与する[ 2 病因論に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む ])の欠損が検出される。

常染色体優性BRCA遺伝子の変異は,50~85%の乳癌の生涯発生リスクに関連している。BRCA1変異を有する女性では,卵巣がんの生涯発生リスクが20~40%であるが,BRCA2変異を有する女性のリスクはそれほど高くない。これらの変異の発生率はアシュケナージ系ユダヤ人で一般集団よりも高い。TP53PTENSTK11/LKB1CDH1CHEK2ATMMLH1,およびMSH2を含むいくつかの他の遺伝子の変異は遺伝性乳癌および/または卵巣がんに関連している。

XY性腺形成不全症は卵巣胚細胞腫瘍の素因となる。

病因論に関する参考文献

  • 1.Cancer Genome Atlas Research Network: Integrated genomic analyses of ovarian carcinoma.Nature 474 (7353):609–615, 2011.doi: 10.1038/nature10166

  • 2.Li X, Heyer WD: Homologous recombination in DNA repair and DNA damage tolerance.Cell Res 18 (1):99–113, 2008.doi: 10.1038/cr.2008.1

病理

卵巣がんは組織学的に多様である(卵巣がんの種類 卵巣がんの種類 卵巣がんの種類 の表を参照)。

大部分(90%)の卵巣がんは上皮細胞から発生する;残り(胚細胞腫瘍,性索間質性腫瘍)は他の種類の卵巣細胞から発生する。

上皮性卵巣がんは以下の5つの組織型に分類される:

  • 高異型度漿液性癌

  • 低異型度漿液性癌

  • 類内膜癌

  • 明細胞癌

  • 粘液性癌

高異型度漿液性卵巣がんが上皮性卵巣がんの最も頻度の高い組織型(70%を超える)である。

来院時,I期上皮性卵巣がん患者のうち27%近くが組織学的に粘液性であるが,III期またはIV期では10%未満である。

胚細胞腫瘍は通常30歳未満の女性で生じる。

卵巣がんは以下のように拡がる:

  • 直接進展

  • 腹腔への細胞のばらまき(腹膜への播種)

  • 骨盤と大動脈周辺へのリンパ行性播種

  • 肝や肺への血行性転移(それほど多くはない)

症状と徴候

早期卵巣がんは通常無症状である;付属器の腫瘤(しばしば充実性,不整形,固着している)が偶発的に発見されることがある。内診および腟直腸診で,典型的にびまん性の結節が検出される。少数の患者では, 卵巣腫瘤の捻転 付属器の捻転 付属器の捻転とは,卵巣およびときに卵管のねじれであり,動脈の血流を妨げ,虚血を引き起こす。 付属器の捻転はそう多いものではなく,妊娠可能年齢で最も起こりやすい。通常は卵巣の異常を示す。 付属器捻転の危険因子としては以下のものがある: 妊娠 排卵誘発 さらに読む に続発する重度の腹痛が生じる。

進行例では非特異的な症状(例,消化不良,腹部膨満,早期満腹感,gas pain,背部痛)が現れることが多い。末期には,卵巣腫大や腹水により骨盤痛,貧血,悪液質,腹部の腫脹が生じる。

胚細胞腫瘍や性索間質性腫瘍は,機能的影響を及ぼすことがある(例,甲状腺機能亢進症,女性化,男性化)。

診断

  • 超音波検査(早期がんが疑われる場合),CTまたはMRI(進行がんが疑われる場合)

  • 腫瘍マーカー(例,がん抗原[CA]125)

  • 外科的な進行期診断

卵巣がんは以下を認める女性で疑われる:

  • 原因不明の付属器腫瘤

  • 原因不明の腹部膨満

  • 排便習慣の変化

  • 意図しない体重減少

  • 原因不明の腹痛

腹水を伴う骨盤内腫瘤は卵巣がんを示唆するが,Meigs症候群(腹水と右胸水を伴う良性の線維腫)でも認めることがある。

画像検査

早期がんが疑われる場合は,まず超音波検査を行う;以下の所見はがんを示唆する:

  • 充実性成分

  • 表面の突出物

  • 大きさ > 6cm

  • 不整形

  • 経腟ドプラ血流検査における低い血管抵抗

進行がんが疑われる場合(例,腹水,腹部膨隆または身体診察中にみつかる結節または固定)は,CTまたはMRIを術前に通常行い,がんの進展を判断する。

腫瘍マーカー

若年で,非上皮性腫瘍(例,胚細胞腫瘍,性索間質性腫瘍)のリスクがより高い患者では,典型的にはβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピンサブユニット(β-hCG),乳酸脱水素酵素(LDH),α-フェトプロテイン,インヒビン,およびCA125を含む腫瘍マーカーを測定する。閉経期および閉経後の患者の場合は,この年齢層での大部分の卵巣がんが上皮性腫瘍であるため,CA125のみを測定する。CA125は進行上皮性卵巣がんの80%で上昇するが,子宮内膜症,骨盤内炎症性疾患,妊娠,子宮筋腫,腹膜炎,または卵巣がん以外に由来する腹膜癌などでも軽度に上昇することがある。

閉経後女性における,充実性と嚢胞性が混合した骨盤内腫瘤で,特にCA125の上昇がある場合には卵巣がんが示唆される。

生検

生検は,手術適応がない患者を除いてルーチンには推奨されない。手術適応とならないまれな症例では,腫瘤に関しては針生検,腹水に関しては穿刺吸引により検体を採取する。

超音波検査で良性にみえる腫瘍については,組織学的分析は必要なく,6週間後に超音波検査を再度行う。良性に見える腫瘤には,良性嚢胞性奇形腫(類皮嚢胞),卵胞嚢胞,または子宮内膜症性嚢胞がある。

進行期診断

疑わしい卵巣がんや確定された卵巣がんは,外科的に進行期診断を行う(卵巣がん,卵管癌,および腹膜癌のFIGO外科的進行期分類 卵巣がん,卵管がん,および腹膜癌のFIGO外科的進行期分類 卵巣がん,卵管がん,および腹膜癌のFIGO外科的進行期分類 の表を参照)。

早期がんが疑われる場合,進行期診断は腹腔鏡下またはロボット補助下腹腔鏡手術で行われることがある。それ以外では,上腹部へ十分に到達可能な腹部正中切開が必要である。全ての腹膜面,横隔膜,腹腔内および骨盤内臓器を視診し,触診する。骨盤内,傍結腸溝,横隔膜洞からの洗浄液を採取し,中央と外側の骨盤部および腹部の腹膜について複数の生検を行う。早期例では,大網部分切除を行うとともに,骨盤および傍大動脈リンパ節の組織検体を採取する。

がんは組織学的にも1(侵襲性が最も低い)~3(侵襲性が最も高い)のグレードに分類される。最新の分類では上皮性卵巣がんを低異型度(グレード1)と高異型度(グレード2または3)に区別している。

スクリーニング

卵巣がんに対するスクリーニング検査は存在しない。しかしながら,BRCA変異などの既知の遺伝的なリスクがある女性は,注意深く経過観察すべきである。

大規模試験のデータはCA125が高い特異度(ある研究では最大99.9%)をもつことを示しているが,感度は中程度(ある研究では71%)に過ぎず,陽性適中率は低い;したがって,無症状で平均的なリスクの女性へのスクリーニング検査としてはCA125は推奨されない。超音波検査と血清中CA125測定の両方により無症状の女性をスクリーニングすることで,一部の卵巣がん症例を検出できるが,高リスクのサブグループ(BRCA変異をもつ女性を含む)においてさえ,転帰を改善することは示されていない。

卵巣がん,卵管癌,または腹膜癌と診断された全ての女性で遺伝性がん症候群の評価を考慮すべきであり,そのような女性には遺伝学的リスクの評価を行うべきである。ほとんどの乳癌および卵巣がんは散発性である;乳癌の約6%および卵巣がんの15%のみがBRCA遺伝子の突然変異に起因する。BRCA1またはBRCA2の生殖細胞系列または体細胞変異は,主治療や維持療法に影響を及ぼす可能性がある。遺伝性がん症候群(例,BRCA1またはBRCA2変異が関与するもの,遺伝性非ポリポーシス大腸癌[リンチ症候群])を有する可能性が高い女性を同定するため,他のがんの詳細な既往歴および家族歴を聴取すべきである。

家族歴に以下のいずれかがある場合には,BRCA遺伝子の異常をスクリーニングすべきである:

  • 第1度近親者が40歳前に卵巣がんと診断される。

  • 1人の第1度近親者が乳癌および卵巣がんと診断され,そのいずれかが50歳前に診断される。

  • 同家系の第1度および第2度近親者に卵巣がん2症例を認める。

  • 同家系の第1度または第2度近親者に乳癌2症例および卵巣がん1症例を認める。

  • 同家系の第1度または第2度近親者に乳癌1症例と卵巣がん1症例を認め,乳癌が40歳前に診断または卵巣がんが50歳前に診断される。

  • 同家系の第1度または第2度近親者に乳癌2症例を認め,両方とも50歳前に診断される。

  • 同家系の第1度または第2度近親者に乳癌2症例を認め,一方が40歳前に診断される。

また,アシュケナージ系ユダヤ人の女性が家系員の中に1人でも50歳前に診断された乳癌または卵巣がんを認める場合,BRCA遺伝子異常のスクリーニングを考慮すべきである。

予後

治療を行った場合の5年生存率

  • I期:85~95%

  • II期:70~78%

  • III期:40~60%

  • IV期:15~20%

腫瘍の悪性度が高い場合,または手術で明らかに浸潤している組織を全て切除できない場合,予後は不良となる;これらの症例では,浸潤組織を直径1cm未満または理想的には顕微鏡的残存にまで減少させることができれば(腫瘍減量手術),予後は最良となる。

III期およびIV期では,再発率は約70%である。

治療

  • 通常,子宮摘出術および両側卵管卵巣摘出術

  • 腫瘍減量手術

  • 通常,術後化学療法,しばしばカルボプラチンおよびパクリタキセルを用いる

National Comprehensive Cancer Network (NCCN): NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology: Ovarian Cancer[NCCN腫瘍学臨床診療ガイドライン:卵巣がん]も参照のこと。)

若年患者におけるI期の非上皮性卵巣がんや低悪性度で片側性の上皮性卵巣がんを除き,子宮摘出術および両側卵管卵巣摘出術が通常適応となる;罹患していない卵巣および子宮を温存することにより,妊孕性が保持できる。

III期またはIV期の卵巣がん患者では,一次的な腫瘍減量手術を施行し,その後に全身化学療法を行うことが望ましい初期治療である。がんの部位および体積または併存症のために外科的切除の適応がないと考えられる患者は,術前補助化学療法で治療する。

進展が広範である患者では手術は非適応となるか,以下の1つ以上を認める場合は延期することができる:

  • 複数の肝転移

  • 肝門部リンパ節腫脹

  • 腎上部傍大動脈リンパ節転移

  • びまん性腸間膜疾患

  • 胸膜または肺実質疾患の所見

これらの患者では術前補助化学療法により治療する(例,カルボプラチン + パクリタキセル)。ときに初回化学療法後に手術を施行できることがある。

子宮摘出術および両側卵管卵巣摘出術が行われる場合は,可能であれば明らかに浸潤している組織は全て外科的に切除する(腫瘍減量手術)。腫瘍減量手術は生存期間の延長と関連し,腫瘍減量手術後の残存病変の体積は生存期間と逆相関する。腫瘍減量手術としては以下のものがある:

  • complete surgery:腫瘍減量手術により肉眼で確認できる病変がなくなった場合

  • optimal surgery:Gynecologic Oncology Groupの定義では,腫瘍減量手術により残存病変の最大径が1cm以下になった場合

  • Suboptimal surgery:腫瘍減量手術後に1cmを超える目視可能な腫瘍結節が残存している場合

卵巣がんに対する腫瘍減量手術には通常,以下が含まれる:

  • 大網亜全切除とときに直腸S状結腸の切除(通常は一次再吻合を伴う)

  • 根治的腹膜剥離

  • 横隔膜腹膜切除または脾臓摘出

腫瘍減量手術の実行可能性予測

腫瘍減量手術は生存期間の延長と関連することから,肉眼で確認できる病変を全て切除する腫瘍減量手術を行える時期を予測できることが重要であるが,これは困難である;統一された基準は存在しない。

以下が認められる患者では,optimal surgeryが行える可能性は低い:

  • PS(performance status)不良

  • 年齢 > 60歳

  • American Society of AnesthesiologistsのPhysical Statusの3または4に相当する

  • 併存症

  • 栄養状態不良

  • 腹腔外疾患

  • 大きな腫瘍

  • 大腸への進展

  • 腎動静脈より上の最大径 > 1cmの後腹膜リンパ節転移

  • 肝実質転移

  • 手術前CA125 > 500U/mL

手術前の画像検査結果(例,CT,MRI,PET[陽電子放出断層撮影]/CT)に基づいてoptimal surgeryの実施可能性を評価するためのアルゴリズムは,再現性が十分ではない。

開腹手術前の診断的腹腔鏡検査により,患者にとって不必要な,suboptimal surgeryとなる開腹を避けることができる。腹腔鏡検査により,医師は組織生検を行い,確定診断を下し,生検検体を分析することができる。そのため,腫瘍減量手術の対象にならない患者は,化学療法を早期に開始できる。optimal surgeryを実施できる可能性が低い腹腔鏡検査所見としては以下のものがある:

  • omental cake

  • 広範にわたる腹膜播種または横隔膜播種

  • 腸間膜の引きつれ

  • 腸管および胃への浸潤

  • 脾臓および/または肝臓の表面への転移

術後治療

卵巣がんの術後の治療は進行期と悪性度により異なる(進行期と組織型に応じた卵巣がんの術後治療 進行期と組織型に応じた卵巣がんの術後治療 進行期と組織型に応じた卵巣がんの術後治療 の表を参照)。

IA期またはIB期の卵巣腫瘍(卵巣に限局)および/またはグレード1腫瘍の患者では,手術単独後の予後は極めて良好である(生存率90%)。IC期,II期,グレード3,または明細胞癌の患者には,術後補助化学療法(例,カルボプラチンとパクリタキセルによる)が推奨される。

III期またはIV期では,一次的な腫瘍減量手術に続いて全身化学療法を行うのが標準治療である。

再発リスクがより高い特定の患者(例,胸水または腹水がみられ,BRCA変異がない患者)では,化学療法にベバシズマブを追加し,それを維持療法として継続することが選択肢の1つである。

PARP(ポリアデノシン二リン酸-リボースポリメラーゼ)は,DNAの一本鎖切断の修復に不可欠な酵素である。PARP酵素を阻害すると,一本鎖切断の状態が持続し,それによりDNA複製中に二本鎖切断が蓄積し,最終的に腫瘍細胞死に至る。

いくつかの臨床試験では,漿液性癌または高異型度類内膜癌の卵巣がんで一次化学療法を完了していた患者において,BRCA1変異とBRCA2変異のいずれも有していない患者も含めて,化学療法後のPARP阻害薬(PARPi)の投与により無増悪生存期間が改善した(2 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む , 3 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む , 4 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む , 5 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む )。

2つのプラセボ対照第Ⅲ相試験では,一次治療としてプラチナ製剤による治療に反応した患者を対象として,PARPiによる維持療法が評価された。SOLO1試験では,体細胞および生殖細胞系のBRCAmを有する患者を対象としてオラパリブによる維持療法が評価され(5 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む ),PRIMA/ENGOT-Ov26試験では,新たに進行卵巣がんと診断された患者(BRCAmキャリアに限定しない[ 3 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む ])を対象としてニラパリブが評価された。

VELIA試験には,未治療のIII期またはIV期高異型度漿液性卵巣がん患者が組み入れられた。この3群プラセボ対照第III相試験では,標準化学療法薬単独,標準化学療法 + ベリパリブ,および標準化学療法 + ベリパリブとその後のベリパリブによる維持療法の3つが比較された(2 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む )。無増悪生存期間は,化学療法 + ベリパリブ + ベリパリブ維持療法群が最も長かった。

化学療法により臨床的完全奏効が得られても(すなわち,身体診察が正常,血清CA125が正常,腹部と骨盤のCTが陰性),III期やIV期の患者のうち約50%に腫瘍が残存する。CA125が持続的に上昇している患者のうち,90~95%に腫瘍残存がある。

再発がん

卵巣がんの再発は,血清学的に腫瘍マーカー(例,CA125)によって,および/または放射線学的な進行の徴候によって検出可能である。再発例の治療法は,プラチナ製剤を含む治療が完了してから再発が検出されるまでの期間(platinum-free interval[PFI])に依存する。

  • PFIが6カ月以上の患者は,プラチナ製剤感受性と考えられる。

  • PFIが6カ月未満の患者は,プラチナ製剤抵抗性と考えられる。

化学療法が効果を示した後に再発または進行した場合は,化学療法を再開する。有用な薬剤としては,リポソーム化ドキソルビシン,ドセタキセル,パクリタキセル,ゲムシタビン,ベバシズマブや,シクロホスファミド + ベバシズマブまたはゲムシタビン + シスプラチンの併用などがある。生物学的製剤による分子標的療法は研究中である。

プラチナ製剤感受性の卵巣がんが再発した場合は,PARP阻害薬(オラパリブ,ニラパリブ,またはルカパリブ[rucaparib])を維持療法に使用する(6 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む , 7 治療に関する参考文献 卵巣がんは通常,診断時には進行しているため,致死的となることが多い。通常,症状は早期にはなく,進行期にも非特異的である。評価として通常,超音波検査,CTまたはMRI,および腫瘍マーカー(例,CA125)の測定を行う。診断は組織学的分析による。進行期診断は外科的に行う。治療として,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,浸潤病変の可能な限りの切除(腫瘍減量手術)が必要であり,がんが限局性である場合を除き,化学療法が必要である。... さらに読む )。

治療に関する参考文献

  • 1.Petrillo M, Vizzielli G, Fanfani F, et al: Definition of a dynamic laparoscopic model for the prediction of incomplete cytoreduction in advanced epithelial ovarian cancer: Proof of a concept.Gynecol Oncol.139 (1):5–9, 2015.doi:10.1016/j.ygyno.2015.07.095. Epub 2015 Jul 18.

  • 2.Coleman RL, Fleming GF, Brady MF, et al: Veliparib with first-line chemotherapy and as maintenance therapy in ovarian cancer.N Engl J Med 381 (25):2403–2415, 2019.doi: 10.1056/NEJMoa1909707.Epub 2019 Sep 28.

  • 3.González-Martín A, Pothuri B, Vergote I, et al: Niraparib in patients with newly diagnosed advanced ovarian cancer.N Engl J Med 381 (25):2391–2402, 2019.doi: 10.1056/NEJMoa1910962.Epub 2019 Sep 28.

  • 4.Ray-Coquard I, Pautier P, Pignata S, et al: Olaparib plus bevacizumab as first-line maintenance in ovarian cancer.N Engl J Med 381 (25):2416–2428, 2019.doi: 10.1056/NEJMoa1911361

  • 5.Moore K, Colombo N, Scambia G, et al: Maintenance olaparib in patients with newly diagnosed advanced ovarian cancer. N Engl J Med 379 (26):2495–2505, 2018.doi: 10.1056/NEJMoa1810858.Epub 2018 Oct 21.

  • 6.Ledermann J, Harter P, Gourley C, et al: Olaparib maintenance therapy in platinum-sensitive relapsed ovarian cancer. N Engl J Med 366 (15):1382–1392, 2012.doi: 10.1056/NEJMoa1105535.Epub 2012 Mar 27.

  • 7.Pujade-Lauraine E, Ledermann JA, Selle F, et al: Olaparib tablets as maintenance therapy in patients with platinum-sensitive, relapsed ovarian cancer and a BRCA1/2 mutation (SOLO2/ENGOT-Ov21): A double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Oncol 18 (9):1274–1284, 2017.doi: 10.1016/S1470-2045(17)30469-2.Epub 2017 Jul 25.

予防

BRCA1またはBRCA2遺伝子変異をもつ患者で,挙児希望が無い場合には,予防的両側卵管卵巣摘出術を行うことで,卵巣がんのリスクおよび程度は低いが乳癌のリスクが低下する。サーベイランスよりもこのアプローチを用いることで,がんのリスクは低くなるようである。BRCA1またはBRCA2遺伝子変異をもつ患者ではカウンセリングのため婦人科腫瘍医に紹介すべきである。

要点

  • 卵巣がんは大部分は閉経後および閉経期の女性にみられる;未経産,高齢での出産,早い初経,閉経の遅れ,および特定の遺伝子マーカーによりリスクが上昇する。

  • 初期の症状(例,消化不良,腹部膨満,早期満腹感,gas pain,背部痛)は非特異的である。

  • がんが疑われる場合,まず超音波検査を行い(ときに続いてCTまたはMRIを行う),腫瘍マーカー(例,CA125)を測定し,外科的に腫瘍の進行期診断を行う。

  • BRCA変異のリスクが高い場合を除き,超音波検査および/またはCA125による無症状の女性のスクリーニングは有用ではない。

  • 開腹手術前の診断的腹腔鏡検査により,一部の患者において,不必要なsuboptimal surgeryとなる開腹を避けることができる。

  • 典型的には治療は子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術,および腫瘍減量手術の後,化学療法(例,カルボプラチン,パクリタキセル,およびベバシズマブ)である。

より詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

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