炎症性眼窩疾患

(炎症性眼窩偽腫瘍)

執筆者:James Garrity, MD, Mayo Clinic College of Medicine and Science
レビュー/改訂 2020年 6月
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炎症性眼窩疾患は,眼窩組織を侵す良性で占拠性の炎症である。

眼窩炎性偽腫瘍は眼窩内の一部または全ての組織を侵す可能性がある。炎症反応は非特異的,肉芽腫性,または血管炎性もしくは反応性リンパ組織過形成による場合がある。炎症は基礎疾患(例,IgG4関連眼窩疾患または多発血管炎性肉芽腫症)の一部である場合もあれば,単独で生じている場合もある。全年齢層の患者が罹患しうる。進行は急性のことも慢性のこともあり,再発の可能性もある。

炎症性眼窩疾患の症状と徴候

炎症性眼窩偽腫瘍の典型的な症候として,眼瞼の腫脹および発赤とともに突然発症する疼痛がある。眼球突出,複視,および視力障害も起こりうる。反応性リンパ組織過形成またはIgG4関連眼窩疾患では,眼球突出や腫脹以外には症状は通常ほとんどない。

炎症性眼窩疾患の診断

  • CTまたはMRI

類似の所見は炎症性眼窩偽腫瘍および眼窩感染症でも起こるが,炎症性眼窩偽腫瘍では外傷の既往または近接する感染巣(例,副鼻腔炎)がない。CTまたはMRIによる神経画像検査が必要である。感染と非感染性炎症を鑑別する上で有用な画像上の特徴は,眼窩感染における隣接する副鼻腔病変の存在である。慢性例または再発例に対し,基礎疾患の所見を明らかにするために生検が行われることがある。

炎症性眼窩疾患の治療

  • コルチコステロイド,放射線療法,および/または免疫調節薬

炎症性眼窩偽腫瘍の治療は炎症反応の種類によって変わり,コルチコステロイドの経口投与,放射線療法,いずれかの免疫調節薬の投与などがありうる。炎症性眼窩偽腫瘍の難しい症例,特に肉芽腫性炎症を伴う症例では,炎症が主に血管炎であれば,腫瘍壊死因子(TNF)αに対するモノクローナル抗体を用いた治療,またはリツキシマブを用いたリンパ球枯渇により,初期にある程度の成功が得られている。

炎症性眼窩疾患についてのより詳細な情報

  1. Ronquillo Y, Patel BC: Nonspecific orbital inflammation (NSOI).StatPearls Publishing, Treasure Island, FL, 2020.

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