軟骨膜炎の原因としては以下のものがある:
昆虫刺咬
軟骨を貫通する耳のピアス
全身性の炎症性疾患(例, 多発血管炎性肉芽腫症 多発血管炎性肉芽腫症(GPA) 多発血管炎性肉芽腫症は,壊死性肉芽腫性炎症,小型および中型血管の血管炎,およびしばしば半月体形成を伴う巣状壊死性糸球体腎炎を特徴とする。典型的には,上気道と下気道および腎臓が侵されるが,どの臓器も侵される可能性がある。症状は,侵された臓器や器官系によって異なる。患者は上下気道症状(例,繰り返す鼻漏または鼻出血,咳嗽)とそれに続いて高血圧および浮腫,または多臓器障害を反映した症状を呈することがある。診断には通常,生検を必要とする。治療はコ... さらに読む , 再発性多発軟骨炎 再発性多発軟骨炎 再発性多発軟骨炎は,主として耳介および鼻の軟骨を侵すまれで突発性かつ炎症性の破壊的な疾患であるが,眼,気管気管支,心臓弁,腎臓,関節,皮膚,および血管を侵す可能性もある。診断は,臨床所見,検査所見,画像所見のほか,まれに生検所見の組合せによる。治療には通常,プレドニゾンおよび他の免疫抑制薬を必要とする。 再発性多発軟骨炎は男性と女性を均等に侵す;通常,発症は中年期である。 関節リウマチ,... さらに読む などの血管炎)
耳介の表在感染部の切開
軟骨の血液供給は軟骨膜により行われるため,軟骨膜が軟骨の両面から剥離すると,数週間で虚血性骨壊死が生じ耳介が変形することがある(カリフラワー耳と呼ばれる)。感染性の骨壊死が続発することもあり,しばしばグラム陰性桿菌の感染がみられる。
症状としては,発赤,疼痛,腫脹などがある。軟骨膜炎の経過は無痛性,再発性で長期にわたり,破壊的となる場合がある。
耳の軟骨膜炎の治療
迅速な経口抗菌薬療法(通常はフルオロキノロン系薬剤,ときにアミノグリコシド系薬剤と半合成ペニシリンを併用)
膿瘍に対して,迅速な切開および排膿
耳介全体にびまん性炎症がみられる患者には,経験的に抗菌薬投与(例,軟骨に良好に浸透するフルオロキノロン系薬剤)および,しばしば抗炎症作用を得るために,コルチコステロイドの全身投与を行う。異物(例,イヤリング,棘)を除去すべきである。病因が明らかに感染性(例,ピアスによる感染症)でない場合は,炎症性疾患( Professional.see page 血管炎の概要 血管炎の概要 血管炎は血管の炎症であり,しばしば虚血,壊死,および臓器の炎症を伴う。血管炎は,あらゆる血管,すなわち動脈,細動脈,静脈,細静脈,または毛細血管を侵すことがある。具体的な血管炎疾患の臨床像は多彩であり,侵された血管の太さおよび部位,臓器病変の範囲,ならびに血管外の炎症の程度およびパターンによって異なる。... さらに読む )がないか患者を評価すべきである。
軟骨膜の膿瘍を切開し,ドレーンを24~72時間留置する。フルオロキノロン系薬剤,またはアミノグリコシド系薬剤と半合成ペニシリン併用による抗菌薬の全身投与を開始する。その後の抗菌薬の選択は,培養と感受性を参考にして行う。温罨法が有用なこともある。軟骨への血液供給を維持し,壊死を予防するため,軟骨膜を軟骨に確実に再接触(reapproximation)させることが重要である。このためには,耳介全層を通したマットレス縫合を1カ所または2カ所行うことにより,確実に行う(耳介の両側に歯科用コットンロールをはさむのが望ましい)(1 治療に関する参考文献 耳の軟骨膜炎はびまん性炎症性である場合があるが,必ずしも,感染性である,耳介のびまん性腫脹,発赤,および疼痛に至るプロセスである,または軟骨と軟骨膜の間の膿瘍であるとは限らない。 軟骨膜炎の原因としては以下のものがある: 外傷 昆虫刺咬 軟骨を貫通する耳のピアス さらに読む )。
治療に関する参考文献
1.Kesser BW: Assessment and management of chronic otitis externa.Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg 19(5):341-347, 2011.doi: 10.1097/MOO.0b013e328349a125