外耳道の皮膚炎(慢性外耳炎)

執筆者:Bradley W. Kesser, MD, University of Virginia School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 9月
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外耳道の皮膚炎は,外耳道の皮膚のそう痒,鱗屑,落屑,および紅斑を特徴とする。皮膚炎は,アレルゲンへの曝露(接触皮膚炎)により引き起こされたり,自然に発生(慢性外耳炎,外耳道湿疹性皮膚炎)したりする可能性がある。

一般的な接触アレルゲンには,ニッケルを含有したイヤリングおよび多数の美容製品(例,ヘアスプレー,ローション,毛髪用染料)などがある。外耳道湿疹による皮膚炎は,アトピーの素因をもつ人,およびその他の同様の皮膚炎(例,脂漏乾癬)のある患者においてより一般的である。

接触皮膚炎と外耳道湿疹による皮膚炎はともに,そう痒,発赤,透明(漿液性)の分泌物漏出,落屑,色素沈着を引き起こし,ときには裂瘡を生じる。二次的な細菌感染が生じる場合があり(急性外耳炎),そう痒よりも疼痛の方が強い傾向がある。

慢性外耳炎の治療

  • 誘因物質および/または刺激物質(水,綿棒など)の回避

  • 通常,外用コルチコステロイド

耳の接触皮膚炎では,アレルギーを誘発する物質を回避または中止する必要がある(特にイヤリングの装用)。原因物質の同定には,試行錯誤が必要となりうる。外用コルチコステロイド(例,1%ヒドロコルチゾンクリームまたはより強力な0.1%ベタメタゾンクリーム)により,炎症およびそう痒が軽減しうる。綿棒,水,およびその他の可能性のある刺激物質は,炎症を悪化させるため,患者はこれらを耳に使用することを避けるべきである。難治例は短期間の経口コルチコステロイド(例,プレドニゾン)により治療できる。

外耳道湿疹による皮膚炎は,酢酸アルミニウムの希釈液(ブロー液)で治療可能であり,これは不快感を取り除くため必要に応じて何回でも使用できる。そう痒および炎症は,外用コルチコステロイド(例,0.1%ベタメタゾンクリーム)で軽減しうる。急性外耳炎が続発した場合は,外耳道の感染組織などの慎重な除去および外用の抗菌薬療法(例,シプロフロキサシン0.3%/デキサメタゾン0.1%)が必要になることがある。水,綿棒など,可能性のある刺激物質を避けるべきである。

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