化膿性内耳炎

執筆者:Lawrence R. Lustig, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital
レビュー/改訂 2020年 4月
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化膿性(膿状)内耳炎は,内耳の細菌感染症であり,しばしば聾および前庭機能の喪失を引き起こす。

通常,化膿性内耳炎は重度の急性中耳炎,化膿性髄膜炎,迷路骨折を伴う外傷に続発する感染症,または真珠腫増大の過程で,細菌が内耳に広がったときに起こる。

化膿性内耳炎の症状と徴候

化膿性内耳炎の症状としては,以下のものがある:

  • 重度の回転性めまいおよび眼振

  • 悪心および嘔吐

  • 耳鳴

  • 様々な程度の難聴

疼痛および発熱が一般的である。

化膿性内耳炎の診断

  • 側頭骨CT

  • 場合によりMRI

急性中耳炎の発症中に回転性めまい眼振感音難聴,またはそれらの併発が起こった場合,化膿性内耳炎が疑われる。側頭骨のCTを施行し,迷路骨包の骨びらん,または癒着性の乳様突起炎などの急性中耳炎のその他の合併症を同定する。精神状態の変化,髄膜症,または高熱などの,髄膜炎または脳膿瘍の症状がある場合,MRIが適応となることもある;このような場合には,腰椎穿刺および血液培養も行う。

化膿性内耳炎の治療

  • 抗菌薬の静脈内投与

  • 鼓膜切開術

  • ときに鼓膜チューブの留置

化膿性内耳炎の治療は,髄膜炎に適した抗菌薬の静注(例,セフトリアキソン50~100mg/kg,静注にて1日1回投与,最大2gまで)による。院内感染に対してはP. aeruginosaをカバーするためにしばしばセフトリアキソンに代わってセフタジジムが使用される。抗菌薬は,後に培養および感受性試験の結果に応じて調整する。中耳の排膿のために,鼓膜切開術(および,ときに鼓膜チューブの留置)を行う。乳様突起削開術が必要なことがある。

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