脂漏性角化症の原因は不明であるが,特定の病型では遺伝子変異が同定されている。一般的に病変は中年以降に生じ,体幹および側頭部に好発する。皮膚の色の濃い人々では,1~3mm大の病変が頬骨上に多発することがあり,この病態は黒色丘疹性皮膚症(dermatosis papulosa nigra)と呼ばれている。
脂漏性角化症の病変は大きさが一様でなく,緩徐に増大する。形状は円形または卵円形で,色調は皮膚常色,褐色,または黒色である。通常は皮膚面に張り付いているように見え,表面は疣状,ビロード状,または蝋様であったり,鱗屑や痂皮が付着していたりする。
特定の悪性腫瘍(例, リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫は,網内系およびリンパ系から発生する不均一な一群の腫瘍である。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される( ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の比較の表を参照)。 リンパ腫はかつて, 白血病とは全く異なる疾患と考えられていた。しかし現在では,細胞マーカーとそれらのマーカーを評価するツールについて理解が深まったことで,これら... さらに読む ,消化器癌)を有する患者に生じた脂漏性角化症のうち,病変が大きいもの,多発性のもの,および/または発生が急激なものは, 皮膚の腫瘍随伴症候群 皮膚の腫瘍随伴症候群 腫瘍随伴症候群とは,腫瘍またはその転移巣から離れた部位で生じる症状である。 発生機序は依然として明らかにされていないが,これらの症状は,腫瘍から分泌される物質によって二次的に発生したり,腫瘍を標的とした抗体が他の組織と交差反応した結果として発生したりする場合がある。症状は,いずれの臓器または生理系でも発生する可能性がある。がん患者の最大20%で腫瘍随伴症候群がみられるが,これらの症候群が認識されない場合も多い。... さらに読む (Leser-Trélat徴候)である可能性がある。
脂漏性角化症の診断
臨床的評価
脂漏性角化症の診断は臨床的に行う。
脂漏性角化症の治療
煩わしい場合のみ病変の除去
前がん病変ではないため,刺激感,そう痒,整容上の問題がなければ治療の必要はない。
凍結療法を行うか(色素減少を来すことがある),リドカインの局所注射後に電気乾固および摘除を行うことで,ほとんどまたは全く瘢痕を残すことなく病変を除去できる可能性がある。