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日光による影響の概要

執筆者:

Julia Benedetti

, MD, Harvard Medical School

レビュー/改訂 2019年 9月
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日光に対する皮膚の反応としては,慢性の変化(例, 光老化 光老化 日光の慢性効果としては光老化,日光角化症,皮膚悪性腫瘍などがある。( 日光による影響の概要も参照のこと。) 慢性的な日光曝露は皮膚の老化(光老化,外因性老化)を引き起こすが,これは主に,様々な生化学的異常やDNA損傷により皮膚コラーゲンが破壊されることで起きる。皮膚の変化としては,細かいしわと粗いしわ,ゴワゴワした皮革様の質感,斑状の色素... さらに読む 光老化 日光角化症 日光角化症 日光の慢性効果としては光老化,日光角化症,皮膚悪性腫瘍などがある。( 日光による影響の概要も参照のこと。) 慢性的な日光曝露は皮膚の老化(光老化,外因性老化)を引き起こすが,これは主に,様々な生化学的異常やDNA損傷により皮膚コラーゲンが破壊されることで起きる。皮膚の変化としては,細かいしわと粗いしわ,ゴワゴワした皮革様の質感,斑状の色素... さらに読む  日光角化症 )と急性の変化(例, 光線過敏症 光線過敏症 光線過敏症は,皮膚が日光に対して過剰に反応する病態である。特発性に生じることもあれば,毒性またはアレルゲン性を有する特定の薬物または化学物質に曝露した後に生じることもあり,ときに全身性疾患(例,全身性エリテマトーデス,ポルフィリン症,ペラグラ,色素性乾皮症)の特徴の1つである場合もある。診断は臨床的に行う。治療は病型によって異なる。... さらに読む 光線過敏症 サンバーン サンバーン サンバーンは,太陽の紫外線に過度に曝露することで生じる紅斑を特徴とし,ときに疼痛や水疱もみられる。治療は温熱による熱傷に対するものと同様であり,具体的には冷罨法や非ステロイド系抗炎症薬などがあるが,重症例には滅菌ドレッシングや抗菌薬の外用も行われる。日光の回避とサンスクリーン剤の使用による予防が極めて重要である。... さらに読む サンバーン )がある。

紫外線

太陽は幅広い波長の電磁放射線を放出している。日光が皮膚に及ぼす影響の大半は紫外線によるものであるが,紫外線はUVA(320~400nm),UVB(280~320nm),UVC(100~280nm)の3つの波長帯に分けられる。光線の一部は大気に遮断されるため,地表に到達するのはUVAとUVBのみである。地表に到達してサンバーンを引き起こす光線(主に波長320nm未満のもの)の特徴および量は,以下の因子によって大きく変動する:

  • 大気および地表の状態

  • 緯度

  • 季節

  • 時刻

  • 高度

  • オゾン層

皮膚の日光曝露量は,生活習慣上の複数の因子(例,衣類,職業,レジャー活動)にも依存する。

サンバーンを引き起こす光線は,ガラスのほか,かなりの程度まで厚い雲,煙,スモッグによって除去されるが,薄い雲,霧,30cmの透明な水の層は通過することができ,重度のサンバーンを引き起こす可能性がある。雪,砂,および水は,光線を反射することによって曝露量を増大させる。曝露量は低緯度(赤道に近い)地域,夏季,および真昼(午前10時~午後3時)に増大するが,これは,これらの状況では日光が大気をより直接的に(すなわち,より垂直に近い角度で)通過するためである。曝露量は標高の高い場所でも増大するが,これは主に大気が薄いことによる。成層圏のオゾンは紫外線(特に短波長)を遮断するが,人工のフロンガス(例,冷蔵庫やエアロゾルに含まれる)のために減少してきている。オゾン層が減少すると,地表に到達するUVAおよびUVBの量が増加する。

日焼けランプには,UVBよりもUVAを多く含んだ人工光が使用される。このようなUVAの使用は,しばしば「より安全な」日焼けの方法として喧伝されるが, 光老化 光老化 日光の慢性効果としては光老化,日光角化症,皮膚悪性腫瘍などがある。( 日光による影響の概要も参照のこと。) 慢性的な日光曝露は皮膚の老化(光老化,外因性老化)を引き起こすが,これは主に,様々な生化学的異常やDNA損傷により皮膚コラーゲンが破壊されることで起きる。皮膚の変化としては,細かいしわと粗いしわ,ゴワゴワした皮革様の質感,斑状の色素... さらに読む 光老化 皮膚悪性腫瘍 皮膚悪性腫瘍の概要 皮膚悪性腫瘍は最も頻度の高い悪性腫瘍であり,一般的には露光部の皮膚に生じる。その発生率は戸外労働者,スポーツ愛好者,および日光浴愛好者で高く,皮膚のメラニン色素量と反比例し,皮膚の色の薄い人々が最も罹患しやすい。皮膚悪性腫瘍はまた,治療目的のX線照射または発がん物質への曝露(例,ヒ素の摂取)から何年も経過して発生することもある。... さらに読む など,UVB曝露でみられる長期的な有害作用の多くが発生する。日焼けマシーンから照射される紫外光はヒト発がん因子に分類されており,屋内でのタンニングは 黒色腫 黒色腫 悪性黒色腫は,色素のある部位(例,皮膚,粘膜,眼,中枢神経系)のメラノサイトから発生する。転移は真皮浸潤の深さと相関する。進展した場合の予後は不良である。診断は生検による。手術可能な腫瘍には広範な外科的切除を行うのが原則である。転移例には全身療法が必要であるが,治癒は困難である。... さらに読む 黒色腫 のリスクを高めることが示されている。端的に言って,「安全な」日焼けなど存在しない。

日光による影響の病態生理

紫外線曝露の有害作用には,急性変化としての サンバーン サンバーン サンバーンは,太陽の紫外線に過度に曝露することで生じる紅斑を特徴とし,ときに疼痛や水疱もみられる。治療は温熱による熱傷に対するものと同様であり,具体的には冷罨法や非ステロイド系抗炎症薬などがあるが,重症例には滅菌ドレッシングや抗菌薬の外用も行われる。日光の回避とサンスクリーン剤の使用による予防が極めて重要である。... さらに読む サンバーン と,いくつかの 慢性変化 日光による慢性的影響 日光の慢性効果としては光老化,日光角化症,皮膚悪性腫瘍などがある。( 日光による影響の概要も参照のこと。) 慢性的な日光曝露は皮膚の老化(光老化,外因性老化)を引き起こすが,これは主に,様々な生化学的異常やDNA損傷により皮膚コラーゲンが破壊されることで起きる。皮膚の変化としては,細かいしわと粗いしわ,ゴワゴワした皮革様の質感,斑状の色素... さらに読む 日光による慢性的影響 がある。慢性変化としては,皮膚の肥厚,皺, 日光角化症 日光角化症 日光の慢性効果としては光老化,日光角化症,皮膚悪性腫瘍などがある。( 日光による影響の概要も参照のこと。) 慢性的な日光曝露は皮膚の老化(光老化,外因性老化)を引き起こすが,これは主に,様々な生化学的異常やDNA損傷により皮膚コラーゲンが破壊されることで起きる。皮膚の変化としては,細かいしわと粗いしわ,ゴワゴワした皮革様の質感,斑状の色素... さらに読む  日光角化症 がん 皮膚悪性腫瘍の概要 皮膚悪性腫瘍は最も頻度の高い悪性腫瘍であり,一般的には露光部の皮膚に生じる。その発生率は戸外労働者,スポーツ愛好者,および日光浴愛好者で高く,皮膚のメラニン色素量と反比例し,皮膚の色の薄い人々が最も罹患しやすい。皮膚悪性腫瘍はまた,治療目的のX線照射または発がん物質への曝露(例,ヒ素の摂取)から何年も経過して発生することもある。... さらに読む といった特定の病変などがある。日光曝露は,皮膚の免疫系で重要な役割を果たしている表皮ランゲルハンス細胞の不活化および消失につながる。

日光曝露後の防御反応として,表皮が肥厚し,メラノサイトがメラニン色素を急速に産生して,一般に「日焼け(サンタン)」と呼ばれる状態を引き起こす。サンタンは紫外線に対する若干の自然の防御作用をもたらすが,それ以外に健康上の有益性はない。

日光に対する感受性や反応には,主に皮膚内のメラニンの量により,大きな個人差がみられる。皮膚は日光による損傷を受けやすい順に6つの型(I~VI)に分類されてきた。この分類は,皮膚色,紫外線への感受性,および日光曝露に対する反応という,相互に関連する複数の変数に基づくものである(Fitzpatrickのスキンタイプ分類 Fitzpatrickのスキンタイプ分類 Fitzpatrickのスキンタイプ分類 の表を参照)。スキンタイプI型では,皮膚色が白いかごくわずかに色素があり,紫外線に対する感受性が非常に高く,即時黒化を起こすことがなく,常にサンバーンが生じやすく,サンタンは決して生じない。スキンタイプVI型の皮膚は,皮膚色が暗褐色または黒色で,紫外線に対する防御能が最も高く,日光曝露の有無にかかわらず濃く暗黒褐色である。しかしながら,皮膚の色が濃い人々でも日光による影響に対して完全な耐性があるわけではなく,色の黒い皮膚でも強い曝露や長期の曝露が生じれば日光傷害を起こすことがある。皮膚の色が濃い人々で生じる紫外線曝露の長期的作用は,皮膚の色が薄い人々でのそれと同じであるが,皮膚のメラニンが本来の紫外線防御効果を発揮するため,その作用は遅延して,重症度が低くなる場合が多い。

金髪または赤毛の人々は,特に紫外線による急性および慢性的影響を受けやすい。そのような毛髪の色が薄い人々では,メラノサイトが不均一に活性化され,そばかすを生じることが多い。

日光による影響の予防

日光を避け,保護用の衣類を着用し,サンスクリーン剤を塗布することが,紫外線曝露を最小限に抑える上で役立つ。

日光を避ける

簡単な対策を講じることがサンバーンおよび日光による慢性の影響を防ぐのに役立つ。それらの対策は,あらゆるスキンタイプの人々に推奨されるが,皮膚の色が薄く,サンバーンが生じやすい人々には特に強く推奨される。皮膚の色の濃い人々であっても,明るい真昼の太陽など紫外線照射量の多い環境( Professional.see page 紫外線 紫外線 日光に対する皮膚の反応としては,慢性の変化(例, 光老化, 日光角化症)と急性の変化(例, 光線過敏症, サンバーン)がある。 太陽は幅広い波長の電磁放射線を放出している。日光が皮膚に及ぼす影響の大半は紫外線によるものであるが,紫外線はUVA(320~400nm),UVB(280~320nm),UVC(100~280nm)の3つの波長帯に... さらに読む )への曝露は最小限(30分以下)に抑えるべきである。温帯地域の場合,午前10時より前と午後3時より後の時間帯は,サンバーンを引き起こす波長の光線があまり地表に到達しないため,紫外線の強さは比較的弱い。霧や雲はリスクを大きく減らすことはなく,標高の高い場所と緯度の低い地域(例,赤道)ではリスクが高くなる。

日光曝露はビタミンDの産生に役立つが,多くの専門家が,意図的に日光曝露を増やすよりも,必要であればサプリメントを摂取して十分なビタミンDの量を維持することを推奨している。

紫外線防御用の衣服を着用する

皮膚の紫外線曝露は,帽子,シャツ,ズボン,サングラスなどを遮蔽として使用することで最小限に抑えることが可能である。目の細かい布地は目の粗い布地よりも多くの日光を遮断する。皮膚を日光から強力に防御する特殊な衣類も市販されている。この種の衣類には,紫外線保護指数(UPF)の表示に続いて保護レベルを示す数値を記載したラベルが貼付されている(サンスクリーン剤の表示と似ている)。つばの広い帽子は,顔面,耳介,および頸部を保護するのに役立つが,これらの部位には,それでも外用サンスクリーン剤による補助的な防御が必要である。紫外線防御を目的としたラップアラウンド型サングラス(顔を覆うように横幅の広いサングラス)を常時着用すれば,眼および眼瞼の保護に役立つ。

サンスクリーン剤

サンスクリーン剤は,太陽の紫外線を吸収または反射することにより,皮膚をサンバーンや慢性日光障害から保護するのに役立つ。古いタイプのサンスクリーン剤にはUVBのみを遮断するものが多いが,新しいタイプのサンスクリーン剤の大半はUVAも効果的に防ぎ,「Broad Spectrum」と表示されている。米国では,FDAがサンスクリーン剤を紫外線防御指数(SPF)でランク付けしており,SPFは数字が大きいほど防御力が高い。SPFはUVB曝露に対する防御力を数字で表したものに過ぎず,米国ではUVAに対する防御力を示す尺度はない。典型的には,SPFが30以上である広域のサンスクリーン剤を使用すべきである。

サンスクリーン剤は,クリーム,ゲル,フォーム,スプレー,パウダー,スティックなど幅広い剤形で入手可能である。サンスクリーン剤の成分は,光を吸収および/または反射することで機能する。着色するだけのセルフタンニング製品には紫外線曝露から皮膚を防御する有意な効果はない。

化学的サンスクリーン剤には紫外線を吸収する成分が含まれている。桂皮酸,サリチル酸系薬剤,およびパラアミノ安息香酸(PABA)誘導体はUVB防御効果を示す。UVBおよび短波長側のUVAの防御には,ベンゾフェノン類が一般的に使用される。アボベンゾン(avobenzone)とエカムスル(ecamsule)はUVAを遮断することから,UVAに対する防御効果を高めるために追加されることがある。

物理的遮断(ミネラルサンスクリーン剤)では光を反射または散乱し,成分として,UVBとUVAの両方を物理的に反射する酸化亜鉛や二酸化チタンを含有する。この種の製品の製剤は,以前は塗布したときに非常に白く泥膏状に見えたが,微粉化とナノテクノロジーにより,広域の防御作用を備えながらより透明な層を形成することが可能になっている。

化学的サンスクリーン剤の成分はいずれも,全身からある程度吸収されると考えられている。ほとんどの成分はごくわずかな有害作用しかないと考えられるが,潜在的なリスクを有することが明らかにされているものもあれば,現在研究中のものもある。微粉化されていないミネラルサンスクリーン剤は,分子が大きく皮膚を通して吸収されないため,全身からの吸収を懸念する人々に好まれることがある。

サンスクリーン剤は本来の機能を発揮しないことがよくあり,その理由は通常,塗布する量が不十分である,塗布するタイミングが遅すぎる(日光曝露の30分前に塗布するのが最適),水泳や運動の後に塗布しなおさない,日光曝露中に2~3時間毎に塗布しないなどである。

化学的フィルター成分を含有するサンスクリーン剤を使用すると,アレルギーまたは光アレルギー反応が起きる可能性があり,他の 光線過敏性皮疹 光線過敏症 光線過敏症は,皮膚が日光に対して過剰に反応する病態である。特発性に生じることもあれば,毒性またはアレルゲン性を有する特定の薬物または化学物質に曝露した後に生じることもあり,ときに全身性疾患(例,全身性エリテマトーデス,ポルフィリン症,ペラグラ,色素性乾皮症)の特徴の1つである場合もある。診断は臨床的に行う。治療は病型によって異なる。... さらに読む 光線過敏症 と鑑別する必要がある。その診断には,サンスクリーン剤の成分を用いたパッチテストまたは光パッチテストが必要となることがある。このパッチテストは通常,アレルギー性 接触皮膚炎 接触皮膚炎 接触皮膚炎は,刺激物(刺激性接触皮膚炎)またはアレルゲン(アレルギー性接触皮膚炎)との直接接触によって皮膚の炎症が生じる疾患である。症状としては,そう痒のほか,ときに灼熱痛などがみられる。皮膚の変化としては,紅斑,鱗屑,皮膚の腫脹のほか,ときに水疱形成や潰瘍形成などがみられる。局在は接触部位に依存する。診断には曝露歴と診察所見のほか,とき... さらに読む 接触皮膚炎 に精通した皮膚科医によって行われる。

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