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人獣共通感染症

執筆者:

James G. H. Dinulos

, MD, Geisel School of Medicine at Dartmouth

レビュー/改訂 2019年 12月
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Contagious ecthymaおよび搾乳者結節(milker’s nodule)は,まれに動物からヒトに伝播するウイルス性皮膚疾患である。

Contagious ecthyma

Contagious ecthymaは,反芻動物(ヒツジおよびヤギが最も多い)に感染するポックスウイルスの一種であるオルフウイルスによって引き起こされる。農業従事者,獣医,動物園の飼育係など,動物と直接接触する人々でリスクがある。皮膚所見は6つの段階を経て進行し,全体としては約1週間で経過する:

  • 1期(丘疹期):手指(右手示指が最も多い)に浮腫を伴う単一の紅色丘疹が生じる

  • 2期(標的期):大きな結節が形成され,その中心部は紅色で,それを白色の輪状部分が取り囲み,その辺縁に発赤を伴う

  • 3期(急性期):感染を思わせる急速に増大する腫瘍となる

  • 4期(再生期):薄い透明な痂皮に覆われた,黒点を伴う結節となる

  • 5期(乳頭腫期):表面に小さな隆起が点在する結節となる

  • 6期(消退期):結節が平坦化し,厚い痂皮に覆われる

所属リンパ節腫脹,リンパ管炎,および発熱を来すことがある。

Contagious ecthymaの診断は接触歴による;鑑別診断には,病期に応じた非常に多くの病態が含まれる。急性期の病変では, 搾乳者結節 搾乳者結節 Contagious ecthymaおよび搾乳者結節(milker’s nodule)は,まれに動物からヒトに伝播するウイルス性皮膚疾患である。 Contagious ecthymaは,反芻動物(ヒツジおよびヤギが最も多い)に感染するポックスウイルスの一種であるオルフウイルスによって引き起こされる。農業従事者,獣医,動物園の飼育係など,動物と直接接触する人々でリスクがある。皮膚所見は6つの段階を経て進行し,全体としては約1週間で経過する... さらに読む  搾乳者結節 Mycobacterium marinum感染症(皮膚疾患 皮膚疾患 ときに結核菌以外の抗酸菌がヒトに感染することがある。それらの菌(非結核性抗酸菌と呼ばれる)は一般的に土壌中や水中に存在し,ヒトにおいては結核菌(Mycobacterium tuberculosis)よりもはるかに病原性が低い。これらの菌による感染症は,非定型環境性非結核性抗酸菌感染症と呼ばれてきた。 これらの菌に曝露して感染しても疾患の発症につがなることはほとんどなく,疾患の発生には通常局所または全身性の宿主防御機構の障害... さらに読む を参照),その他の細菌感染症との鑑別が必要であり,消退期の病変では, ボーエン病 ボーエン病 ボーエン病は,表在性の表皮内有棘細胞癌である。 ( 皮膚悪性腫瘍の概要も参照のこと。) ボーエン病は露光部に好発するが,あらゆる部位で発生する可能性がある。 病変は単発性の場合も多発性の場合もある。病変は赤褐色で鱗屑または痂皮を伴い,硬結はほとんどなく,乾癬または皮膚炎や皮膚糸状菌感染症による限局性の薄い局面に類似することが多い。 この写真には,ボーエン病に一致する赤褐色の鱗屑性病変が写っている。 さらに読む ボーエン病 有棘細胞癌 有棘細胞癌 有棘細胞癌は,真皮に浸潤する表皮角化細胞の悪性腫瘍であり,通常は露光部に生じる。局所破壊が強いことがあり,進行期には転移を生じる。診断は生検による。治療法は腫瘍の特徴に応じて異なり,具体的には掻爬・電気乾固術,外科的切除,凍結療法,ときに放射線療法などを行う。 ( 皮膚悪性腫瘍の概要も参照のこと。) 有棘細胞癌は 基底細胞癌に次いで2番目に頻度の高い皮膚悪性腫瘍であり,米国では毎年100万例以上が発生し,2500人が死亡している。正常組... さらに読む 有棘細胞癌 などの皮膚腫瘍との鑑別が必要である。

病変は自然に治癒し,治療は不要である。

搾乳者結節

この結節は,ウシの乳房に病変を形成するパラポックスウイルスの一種であるパラワクシニアウイルスが原因である。感染には直接接触が必要で,まず斑が生じ,それが丘疹,小水疱,結節へと進行する。この感染症には, contagious ecthyma Contagious ecthyma Contagious ecthymaおよび搾乳者結節(milker’s nodule)は,まれに動物からヒトに伝播するウイルス性皮膚疾患である。 Contagious ecthymaは,反芻動物(ヒツジおよびヤギが最も多い)に感染するポックスウイルスの一種であるオルフウイルスによって引き起こされる。農業従事者,獣医,動物園の飼育係など,動物と直接接触する人々でリスクがある。皮膚所見は6つの段階を経て進行し,全体としては約1週間で経過する... さらに読む Contagious ecthyma のそれと似た6段階の病期がある。発熱やリンパ節腫脹が生じることはまれである。

搾乳者結節の診断は接触歴と皮膚所見による。鑑別診断は病変の形態によって異なるが,初回感染の結核(結核菌の接種部位に生じうる下疳), スポロトリクム症 スポロトリクム症 スポロトリクム症は,腐生性の糸状菌であるSporothrix schenckiiにより引き起こされる皮膚感染症である。肺病変および血行性播種はまれである。症状は皮膚結節で,リンパ行性に拡大し,自壊して膿瘍や潰瘍になる。診断は培養により行う。治療はイトラコナゾールまたはアムホテリシンBによる。 ( 真菌感染症の概要も参照のこと。) Sporothrix schenckiiはバラまたはメギの茂み,ミズゴケ,および... さらに読む スポロトリクム症 炭疽 炭疽 炭疽の原因菌である炭疽菌(Bacillus anthracis)は,毒素産生能と莢膜を有するグラム陽性通性嫌気性細菌である。炭疽は動物でしばしば致死的な疾患となり,感染動物またはその加工品との接触によってヒトに伝播する。ヒトへの感染は,典型的には皮膚を介して起きる。肺感染は比較的まれであり,口腔咽頭,髄膜,および消化管への感... さらに読む 炭疽 野兎病 野兎病 野兎病は,グラム陰性細菌である野兎病菌(Francisella tularensis)により引き起こされる熱性疾患で, 腸チフスに類似することがある。症状は初期の限局性潰瘍性病変,所属リンパ節腫脹,著明な全身症状,ときに非定型肺炎である。診断は主として疫学的および臨床的に行い,血清学的検査によって裏付けを得る。治療はストレプトマイシン,ゲンタマイシン,クロラムフェニコール,シプロフロキサシン,またはドキシサイクリンによる。... さらに読む 野兎病 などが考えられる。

病変は自然に治癒し,治療は不要である。

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