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顕微鏡検査

執筆者:

Maria T. Vazquez-Pertejo

, MD, FACP, Wellington Regional Medical Center

レビュー/改訂 2020年 6月
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顕微鏡検査は迅速に行えるが,その精度は鏡検者の経験と装置の品質に依存する。臨床医が認定検査室以外の場所で診断を目的に鏡検を行うことは,しばしば規制によって制限される。

侵襲性の感染か表層部での定着かを見分けるために組織の鏡検が必要になる場合があり,培養法でこれらを鑑別することは容易ではない。

臨床医は可能性の高い病原体に応じた染色法を依頼するが,100%特異的な染色法は存在しない。ほとんどの検体は グラム染色 グラム染色 顕微鏡検査は迅速に行えるが,その精度は鏡検者の経験と装置の品質に依存する。臨床医が認定検査室以外の場所で診断を目的に鏡検を行うことは,しばしば規制によって制限される。 侵襲性の感染か表層部での定着かを見分けるために組織の鏡検が必要になる場合があり,培養法でこれらを鑑別することは容易ではない。 ほとんどの標本は,病原体を着色する染色液で処理することで,病原体を背景から際立たせるが,真菌およびその他の特定の病原体を検出するには,非染色検体の... さらに読む で処理されるが,抗酸菌が疑われる場合は 抗酸菌染色 抗酸菌染色と抗酸菌染色変法 顕微鏡検査は迅速に行えるが,その精度は鏡検者の経験と装置の品質に依存する。臨床医が認定検査室以外の場所で診断を目的に鏡検を行うことは,しばしば規制によって制限される。 侵襲性の感染か表層部での定着かを見分けるために組織の鏡検が必要になる場合があり,培養法でこれらを鑑別することは容易ではない。 ほとんどの標本は,病原体を着色する染色液で処理することで,病原体を背景から際立たせるが,真菌およびその他の特定の病原体を検出するには,非染色検体の... さらに読む が用いられる。しかしながら,これらの染色法では容易に視認できない病原体もあり,それらの病原体が疑われる場合は,別の染色法や他の同定法が必要となる。

通常,顕微鏡による検出には少なくとも約1 × 104-5/mLの菌体濃度が必要であるため,ほとんどの液状検体(例,髄液)は濃縮(例,遠心分離法による)してから観察を行うことになる。

グラム染色

グラム染色では以下が可能である:

  • 菌体にクリスタルバイオレット染色液が保持されるか(グラム陽性―青)保持されないか(グラム陰性―赤)に基づいて細菌を分類する

  • 細胞形態(例,桿菌,球菌)と細胞配列(例,集塊,連鎖状,2個の菌体の対)を強調する

  • 細菌の定着よりも細菌感染を示唆する多形核白血球を同定する

このような特徴は,同定の最終結果を待つ間の抗菌薬療法の指針となりうる。グラム染色により,異なる形態や染色特性を示す微生物の混在が認められた場合は,検体のコンタミネーションか複数菌感染症が示唆される。喀痰検体中に多数の扁平上皮細胞を認める場合は,検体が唾液で汚染されており,ゆえに診断的有用性は限定的であることが示唆される。

グラム染色を行うには,検体材料をスライドガラス上に熱固定した後,グラムクリスタルバイオレット,ヨウ素,脱色液,および対比染色液(典型的にはサフラニン)で順次処理して染色する。

抗酸菌染色と抗酸菌染色変法

これらの染色法は以下の同定に用いられる:

喀痰中の抗酸菌の検出には10,000/mL以上の菌量が必要であるが,抗酸菌はこれより低い濃度で存在する場合が多く,そのために感度面に限界がある。通常は数mLの喀痰を水酸化ナトリウムで除染し,遠心分離により濃縮してから抗酸菌染色を行う。特異度は良好であるが,一部の弱抗酸性微生物は抗酸菌との鑑別が困難である。

蛍光染色

蛍光染色では,より低濃度(1×104/mL未満)での検出が可能である。具体例を以下に示す:

  • アクリジンオレンジ(細菌および真菌)

  • オーラミン-ローダミンおよびオーラミンO(抗酸菌)

  • カルコフロールホワイト(真菌,特に皮膚糸状菌)

病原体に対する抗体に蛍光色素を結合させて用いるため(直接または間接蛍光抗体法),理論的には感度および特異性が向上するはずである。しかしながら,これらの検査法は結果の判読と解釈が難しく,市販されて広く使用されている検査法はごく少数である(例,PneumocystisおよびLegionellaに対する直接蛍光抗体検査)。

ウェットマウント

暗視野顕微鏡下での鏡検では,以下の検出に非染色検体のウェットマウントを用いることができる:

10%水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて周囲の組織と真菌以外の微生物を溶解させることにより,真菌の視認性を向上させることができる。

墨汁(炭素コロイド)染色

墨汁染色は,細胞懸濁液(例,髄液沈渣)中の Cryptococcus neoformans クリプトコッカス症 クリプトコッカス症は,莢膜を有する酵母のCryptococcus neoformansまたはC. gattiiで汚染された土壌の吸入により,罹患する肺感染症または播種性感染症である。症状は肺炎,髄膜炎の症状,または皮膚,骨,内臓の病変である。診断は臨床的および顕微鏡的に行い,培養または固定した組織の染色により確定する。治療は(必要な場合),アゾール系薬剤,アムホテリシンB,にフルシトシンを併用または併用しない... さらに読む クリプトコッカス症 やその他の莢膜を有する真菌の検出に主に用いられる。微生物自体ではなく背景領域が染色され,それにより微生物周囲の莢膜が輪(halo)のように見える。髄液中ではクリプトコッカス抗原ほどの感度はない。特異度にも限界があり,白血球が莢膜に包まれているように見えることがある。

Warthin-Starry染色およびDieterle染色

これらの銀染色法は,以下のような細菌を可視化する目的で用いられる:

ライト染色およびギムザ染色

これらの染色法は以下の検出に用いられる:

トリクローム染色(Gomori-Wheatley染色)および鉄ヘマトキシリン染色

これらの染色法は腸管内寄生原虫の検出に用いられる。

Gomori-Wheatley染色は微胞子虫の検出に用いられる。この染色法では,蠕虫の虫卵や幼虫を見落とすことがあり,またCryptosporidium属細菌を確実に同定できない。真菌およびヒト細胞はこの染料を取り込む。

鉄ヘマトキシリン染色では,細胞,細胞封入体,および核が別々に染色される。この染色法では,蠕虫の虫卵が暗色になり過ぎて同定できないことがある。

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