顕微鏡検査

執筆者:Maria T. Vazquez-Pertejo, MD, FACP, Wellington Regional Medical Center;
Larry M. Bush, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University
Reviewed ByBrenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 修正済み 2025年 1月
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侵襲性の感染か表層部での定着かを見分けるために組織の鏡検が必要になる場合があり,培養法でこれらを鑑別することは容易ではない。

大半の標本は,病原体を着色する染色液で処理することで,病原体を背景から際立たせるが,真菌およびその他の特定の病原体を検出するには,非染色検体のウェットマウントを用いることができる。

臨床医は可能性の高い病原体に応じた染色法を依頼する。しかしながら,100%特異的な染色法は存在しない(すなわち,別の部生物が同様に染色される可能性がある)。大半の検体はグラム染色で処理されるが,抗酸菌が疑われる場合は抗酸菌染色が用いられる。しかしながら,これらの染色法では容易に視認できない病原体もあり,それらの病原体が疑われる場合は,別の染色法や他の同定法が必要となる。

通常,顕微鏡による検出には少なくとも約1 × 104-5/mLの菌体濃度が必要であるため,大半の体液検体(例,髄液)は濃縮(例,遠心分離法による)してから観察を行うことになる。

光学顕微鏡検査は迅速に行えるが,その精度は鏡検者の経験と使用機器の品質に依存する。臨床医が認定検査室以外の場所で診断を目的に鏡検を行うことは,しばしば規制によって制限される。

グラム染色

グラム染色では以下が可能である:

  • 菌体にクリスタルバイオレット染色液が保持されるか(グラム陽性―青)保持されないか(グラム陰性―赤)に基づいて細菌を分類する

  • 細胞形態(例,桿菌,球菌)と細胞配列(例,集塊,連鎖状,2個の菌体の対)を強調する

  • 細菌の定着よりも細菌感染を示唆する多形核白血球を同定する

このような特徴は,同定の最終結果を待つ間の抗菌薬療法の指針となりうる。グラム染色により,異なる形態や染色特性を示す微生物の混在が認められた場合は,検体のコンタミネーションか複数菌感染症が示唆される。喀痰検体中に多数の扁平上皮細胞を認める場合は,検体が唾液で汚染されており,ゆえに診断的有用性は限定的であることが示唆される。

グラム染色を行うには,検体材料をスライドガラス上に熱固定した後,グラムクリスタルバイオレット,ヨウ素,脱色液,および対比染色液(典型的にはサフラニン)で順次処理して染色する。

グラム染色(大腸菌[Escherichia coli])
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この画像は,移動性の桿状細菌である大腸菌(E. coli)をグラム染色した光学顕微鏡写真である。この赤い色は,この菌がグラム陰性であることを意味する。拡大倍率は画像サイズ35mmで400倍である。

DR. ROSALIND KING/SCIENCE PHOTO LIBRARY
グラム染色(肺炎球菌[Streptococcus pneumoniae])
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この画像は,通常は2つずつの対で認められ,ときに短鎖状になることもある円形の細菌(球菌)である肺炎球菌(S. pneumoniaeをグラム染色した光学顕微鏡写真である。この青い色は,この菌がグラム陽性であることを意味する。拡大倍率は幅10cmで印刷した場合で1450倍である。

CNRI/SCIENCE PHOTO LIBRARY

抗酸菌染色と抗酸菌染色変法

これらの染色法は以下の同定に用いられる:

喀痰中の抗酸菌の検出には10,000/mL以上の菌量が必要であるが,抗酸菌はこれより低い濃度で存在する場合が多く,そのために感度面に限界がある。通常は数mLの喀痰を水酸化ナトリウムで除染し,遠心分離により濃縮してから抗酸菌染色を行う。特異度は良好であるが,一部の弱抗酸性微生物は抗酸菌との鑑別が困難である。

抗酸菌染色(結核菌[Mycobacterium tuberculosis])
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この画像は,結核菌(M. tuberculosis)を含んだ喀痰検体に抗酸菌染色を施した光学顕微鏡写真である。酸アルコール処理後も残存する赤い色は,この菌が抗酸性であることを意味する。

CDC/SCIENCE PHOTO LIBRARY
Ziehl-Neelsen染色(らい菌[Mycobacterium leprae])
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この画像は,らい腫型ハンセン病患者の皮膚生検検体においてZiehl-Neelsen染色変法(Wade-Fite染色)を施したらい菌(M. leprae)の光学顕微鏡写真である。赤く見える抗酸菌が多数が認められ,孤立しているものもあれば,集簇(globi)しているものもある。拡大倍率は幅10cmで印刷した場合で20倍である。

WEBPATHOLOGY/SCIENCE PHOTO LIBRARY

蛍光染色

蛍光染色では,より低濃度(1×104/mL未満)での検出が可能である。具体例を以下に示す:

  • アクリジンオレンジ(細菌および真菌)

  • オーラミン-ローダミンおよびオーラミンO(抗酸菌)

  • カルコフロールホワイト(真菌,特に皮膚糸状菌)

病原体に対する抗体に蛍光色素を結合させて用いるため(直接または間接蛍光抗体法),理論的には感度および特異度が向上するはずである。しかしながら,これらの検査法は結果の判読と解釈が難しく,市販されて広く使用されている検査法はごく少数である(例,PneumocystisおよびLegionellaに対する直接蛍光抗体検査)。

蛍光染色(Pneumocystis jirovecii
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この画像は,がん患者の気管支肺胞洗浄液検体にP. jiroveciiを標的とするモノクローナル抗体による直接蛍光抗体染色を施したものである。

CDC/Image courtesy of Brigham & Women's Hospital, Boston, MA

ウェットマウント

暗視野顕微鏡下での鏡検では,以下の検出に非染色検体のウェットマウントを用いることができる:

10%水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて周囲の組織と真菌以外の微生物を溶解させることにより,真菌の視認性を向上させることができる。

墨汁染色

墨汁(炭素コロイド)染色は,細胞懸濁液(例,髄液沈渣)中のCryptococcus neoformansやその他の莢膜を有する真菌の検出に主に用いられる。微生物自体ではなく背景領域が染色され,それにより微生物周囲の莢膜が輪(halo)のように見える。髄液中ではクリプトコッカス抗原ほどの感度はない。特異度にも限界があり,白血球が莢膜に包まれているように見えることがある。

墨汁染色(Cryptococcus neoformans
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この画像は,墨汁染色を施したC. neoformansの光学顕微鏡写真である。墨汁染色では,微生物の周囲にある莢膜がハロー状に(明るいリングとして)描出される。

CDC/Brinkman/SCIENCE PHOTO LIBRARY

Warthin-Starry染色およびDieterle染色

これらの銀染色法は,以下のような細菌を可視化する目的で用いられる:

Warthin-Starry染色(Bartonella henselae
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この画像は,B. henselaeにWarthin-Starry染色を施した光学顕微鏡写真である。Warthin-Starry染色では,この菌は弯曲した小さな黒い微生物として観察でき,単独で存在することもあれば,この顕微鏡写真の中央にみられるように集簇することもある。通常は壊死領域や血管内に認められる。

WEBPATHOLOGY/SCIENCE PHOTO LIBRARY
Warthin-Starry染色(Borrelia burgdorferi
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この画像は,心臓組織の検体中に認められたB. burgdorferi(矢印)にWarthin-Starry染色を施した光学顕微鏡写真である。

CDC/Sherif Zaki, M.D.Ph.D.; DVBD/SCIENCE PHOTO LIBRARY

ライト染色およびギムザ染色

これらの染色法は以下の検出に用いられる:

末梢血塗抹標本のライト-ギムザ染色
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ライト-ギムザ染色液には,対象を青く染める塩基性色素(メチレンブルー)と赤く染める酸性色素(エオジン)が混合されている。そのため,細胞の酸性成分(核,細胞質RNA,好塩基性顆粒)は,青色または紫色に染色され,細胞の塩基性成分(ヘモグロビン,好酸性顆粒)は,赤色または橙色に染色される。

By permission of the publisher. From Tefferi A, Li C. In Atlas of Clinical Hematology.Edited by JO Armitage. Philadelphia, Current Medicine, 2004.

トリクローム染色(Gomori-Wheatley染色)および鉄ヘマトキシリン染色

これらの染色法は腸管内寄生原虫の検出に用いられる。

Gomori-Wheatley染色は微胞子虫の検出に用いられる。この染色法では,蠕虫の虫卵や幼虫を見落とすことがあり,またCryptosporidium属細菌を確実に同定できない。真菌およびヒト細胞はこの染料を取り込む。

鉄ヘマトキシリン染色では,細胞,細胞封入体,および核が別々に染色される。この染色法では,蠕虫の虫卵が暗色になり過ぎて同定できないことがある。

トリクローム染色(Blastocystis属原虫)
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この画像には,トリクローム染色が施されたBlastocystis属細菌が写っている。

Image from the Centers for Disease Control and Prevention, Global Health, Division of Parasitic Diseases and Malaria.

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