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感冒

(上気道感染症;URI;鼻感冒)

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2021年 3月
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感冒は,鼻漏,咳嗽,咽頭痛などの上気道症状を引き起こし,通常は発熱を伴わずに自然に軽快する急性ウイルス感染症である。診断は臨床的に行う。手洗いは感染拡大の防止に役立つ。治療は対症療法である。

全感冒の約50%は100を超えるライノウイルスの血清型のいずれかによって引き起こされる。コロナウイルス コロナウイルスおよび急性呼吸器症候群(COVID-19,MERS,SARS) コロナウイルスは,感冒から致死的な肺炎に至るまでの様々な重症度の呼吸器疾患を引き起こす,エンベロープを有するRNAウイルスである。 1930年代に家禽で初めて発見された多くのコロナウイルスは,動物で呼吸器,消化管,肝臓,および神経系の疾患を引き起こす。ヒトに疾患を引き起こすことが知られているのは7種類のみである。 7種類のうち4種類は感冒の症状を引き起こすことが非常に多い。コロナウイルス229E,OC43,NL63,およびHKU1は,感... さらに読む はアウトブレイクを引き起こし,またインフルエンザウイルス インフルエンザ インフルエンザは,発熱,鼻感冒,咳嗽,頭痛,および倦怠感を引き起こすウイルス性呼吸器感染症である。季節的な流行の際には特に高リスク患者(例,施設入所者,低年齢児と高齢者,心肺機能不全患者,または妊娠後期の妊婦)の間で死亡も起こりうる;パンデミックの間は,健康な若年患者でさえ死に至る可能性がある。診断は通常,臨床的に,また地域の疫学的パターンに基づいて行う。インフルエンザワクチンは禁忌のない6カ月以上の全ての人に毎年接種すべきである。抗ウ... さらに読む パラインフルエンザウイルス パラインフルエンザウイルス感染症 パラインフルエンザウイルスには互いに近縁のいくつかのウイルスが含まれており,それらは感冒からインフルエンザ様症候群や肺炎まで多岐にわたる呼吸器疾患 を引き起こす;クループは最も頻度の高い重症の臨床像である。診断は通常,臨床的に行う。治療は支持療法である。 パラインフルエンザウイルスはパラミクソウイルスであり,1型,2型,3型,および4型に分類される。これらのウイルスは,共通の抗原交差反応性を有するが,引き起こす疾患の重症度は異なる傾向が... さらに読む エンテロウイルス エンテロウイルス感染症の概要 エンテロウイルスは,ライノウイルス(感冒を参照)およびヒトパレコウイルスとともに,ピコルナウイルス科(小さな[pico]RNAウイルス)に属する。ヒトパレコウイルス1型および2型は,かつてはエコーウイルス22型および23型と呼ばれていたが,現在ではパレコウイルスに再分類されている。全てのエンテロウイルスは不均一な抗原性を有し,地理的に広く... さらに読む アデノウイルス アデノウイルス感染症 数多くあるアデノウイルスのいずれかに感染した場合,無症状に経過することもあれば,軽度の呼吸器感染症,角結膜炎,胃腸炎,膀胱炎,原発性肺炎などの特異的な症候群を来すこともある。診断は臨床的に行う。治療は対症療法である。 アデノウイルスは,3つの主要なカプシド抗原(ヘキソン,ペントン,およびファイバー)によって分類されるDNAウイルスである。ヒトアデノウイルスには,7つの種(A~G)と57の血清型がある。血清型によって異なる病態がみられる。... さらに読む RSウイルス RSウイルス(RSV)感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症 RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルス感染症は,特に乳児および幼児において,季節性の下気道疾患を引き起こす。無症候性ないし軽症で済むこともあれば,細気管支炎や肺炎を伴った重症となることもある。診断は臨床的に行うのが通常であるが,臨床検査による診断も可能である。治療は支持療法による。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイル... さらに読む ,およびメタニューモウイルスによって引き起こされる感染症も,特に再感染の患者では,感冒として発現することがある。

ライノウイルス感染症は,秋季と春季に最も多くなり,冬季に減少する。

ライノウイルスは,ヒトとヒトとの直接的な接触によって最も効率よく伝播されるが,大きな粒子のエアロゾルを介しても伝播される。

最も強力な感染抑止力は,血清および分泌物中の特異的中和抗体の存在であり,これは同じウイルスまたは近縁のウイルスに曝露することで産生される。感冒に対する感受性は,寒気への曝露,宿主の健康状態および栄養状態,または上気道の異常(例,腫大した扁桃もしくはアデノイド)には影響されない。

症状と徴候

24~72時間の潜伏期の後,感冒症状が喉のヒリヒリ感や痛みから始まり,続いてくしゃみ,鼻漏,鼻閉,および倦怠感が生じる。体温は通常平熱である(特に病原体がライノウイルスまたはコロナウイルスの場合)。鼻からの分泌物は最初の数日間は水様性で量も多いが,後に粘液様で化膿性になる。粘液膿性の分泌物は細菌の重複感染を意味しない。咳嗽は通常軽度であるが,2週目に入っても続くことが多い。合併症のない感冒による症状のほとんどは10日以内に消失する。

ライノウイルス感染症による膿性痰または重篤な下気道症状はまれである。化膿性副鼻腔炎 副鼻腔炎 副鼻腔炎はウイルス,細菌,もしくは真菌性感染症またはアレルギー反応による副鼻腔の炎症である。症状としては,鼻閉,膿性鼻汁,顔面痛または顔面の圧迫感などのほか,ときに倦怠感,頭痛,発熱もみられる。急性ウイルス性鼻炎を想定した治療には,蒸気吸入および血管収縮薬の局所薬または全身投与などがある。細菌感染が疑われる場合の治療は,アモキシシリン/クラブラン酸またはドキシサイクリンなどの抗菌薬を,急性副鼻腔炎には5~7日間,慢性副鼻腔炎には最長6週... さらに読む 副鼻腔炎 および中耳炎 中耳炎(急性) 急性中耳炎(AOM)は,中耳の細菌感染症またはウイルス感染症であり,通常は上気道感染に併発する。症状としては耳痛があり,しばしば全身症状(例,発熱,悪心,嘔吐,下痢)を伴い,特に非常に若年の患者でその傾向が強い。診断は耳鏡検査に基づく。治療は鎮痛薬により行い,ときに抗菌薬も用いる。 急性中耳炎はどの年齢層でも生じるが,3カ月から3歳の間で最も多い。この年齢層では,耳管が構造的にも機能的にも未熟であり,耳管の角度が比較的水平で,口蓋帆張筋... さらに読む 中耳炎(急性) はウイルス感染自体に起因することもあれば,または細菌の二次感染から起こることもある。

診断

治療

  • 対症療法

感冒に特異的な治療法はない。

解熱薬および鎮痛薬は,発熱および咽頭痛を軽減しうる。

鼻閉改善薬は鼻閉を軽減しうる。鼻閉改善薬の外用薬は経口薬よりも効果的であるが,外用薬を3~5日間を超えて使用すると,鼻閉のリバウンドが生じる場合がある。

第1世代抗ヒスタミン薬(例,クロルフェニラミン)または鼻腔内臭化イプラトロピウム(0.03%溶液,噴霧2回,1日2回または1日3回)により,鼻漏が軽減することがあるが,高齢者と前立腺肥大症または緑内障を有する患者では,これらの薬剤の使用は避けるべきである。第1世代抗ヒスタミン薬はしばしば鎮静をもたらすが,第2世代(非鎮静性)抗ヒスタミン薬は感冒の治療には効果がない。

抗ヒスタミン薬および鼻閉改善薬の使用は4歳未満の小児には推奨されない。

予防

感冒に対するワクチンはない。

多価細菌ワクチン,柑橘類,ビタミン,紫外線,グリコールのエアロゾル,その他の民間療法などは,いずれも感冒の予防にはならない。汚染された環境では,手洗いおよび表面消毒薬の使用により感染の拡大が軽減しうる。

抗菌薬は,細菌の二次感染を示す明確な所見が存在しない限り投与すべきでない。慢性肺疾患患者では,抗菌薬の投与制限はより緩和されることがある。

要点

  • 多くのウイルスが感冒を引き起こす可能性がある。ライノウイルスは感冒症例の約半数を引き起こしている。

  • 感冒に対する感受性は,寒冷への曝露,宿主の健康および栄養状態,または上気道の異常の有無には影響されない。

  • 抗ヒスタミン薬が鼻漏の緩和に使用されることがあるが,高齢者または4歳未満の年長の小児には使用すべきではない。

  • 外用または経口の鼻閉改善薬は鼻閉を緩和するが,繰り返し使用するとリバウンドによる鼻閉が生じることがある。

  • 予防および治療のため様々な物質が検討されているが,明らかに有益であると証明されたものはない。

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