B型肝炎(HepB)ワクチン

執筆者:Margot L. Savoy, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
Reviewed ByEva M. Vivian, PharmD, MS, PhD, University of Wisconsin School of Pharmacy
レビュー/改訂 修正済み 2025年 7月
v12817181_ja
意見 同じトピックページ はこちら

米国では,3つの組換えB型肝炎(HepB)ワクチンと3つのB型肝炎混合ワクチン(HepB/HepA,DTaP/HepB/IPV,DTaP/HepB/Hib/IPV)が使用可能である。あるメタアナリシスでは,これらのワクチンによるanamnestic response rate(あるワクチンの追加接種による2度目の曝露後に強い二次抗体反応が認められた被験者の割合)が90%を超えることが明らかにされ,最も高い値は欧州とアジアで認められた(1)。Anamnestic response rateが高いワクチンの接種を完了すれば,B型肝炎の初回感染または発症を予防することができる。ただし,免疫は時間とともに減弱する。B型肝炎ワクチンの広範な接種により,ウイルスによる肝硬変および肝細胞癌の発生率は世界的に低下している(2)。

予防接種の概要も参照のこと。)

総論の参考文献

  1. 1.Ramrakhiani H, Le MH, Kam L, et al.Long-Term Immunity and Anamnestic Response Following Hepatitis B Vaccination: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Viral Hepat.2025;32(2):e70003.doi:10.1111/jvh.70003

  2. 2.Mahmood F, Xu R, Awan MUN, et al.HBV Vaccines: Advances and Development. Vaccines (Basel).2023;11(12):1862.Published 2023 Dec 18.doi:10.3390/vaccines11121862

B型肝炎ワクチンの製剤

B型肝炎ワクチンは,組換えDNA技術を用いて生産されている。一般的なパン酵母にB型肝炎表面抗原(HBs抗原)の遺伝子を含むプラスミドを挿入すると,HBs抗原を産生するようになる。得られたHBs抗原を回収して精製する。この工程では感染性のあるウイルスDNAや完全なウイルス粒子が産生されないため,このワクチンがB型肝炎ウイルスの感染を引き起こすことはない。

いくつかのワクチンが利用できる。2つの組換え(単一抗原)ワクチンには,アルミニウムアジュバントが添加されている。

一方のアジュバント添加組換えワクチンには,免疫系を刺激するアジュバントとしてCpG(シチジン-リン酸-グアノシン)オリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)が含まれている。

混合ワクチン製剤(HepA/HepB,DTaP/HepB/IPV,およびDTaP/HepB/Hib/IPV)も使用可能である。

B型肝炎ワクチンの適応

B型肝炎ワクチンは,小児の定期予防接種に組み込まれており,通常は単独(新生児)またはDTaP/HepB/Hib/IPVの混合ワクチン(それ以外)として接種される(1)。

B型肝炎ワクチンは,19歳~59歳までの全てのワクチン未接種者も適応とする(2)。

B型肝炎ワクチンはまた,ワクチン未接種の60歳以上の成人に以下の危険因子が1つでもある場合も適応とする:

  • 長期間にわたり1人の相手だけと性的接触をもつのではない,性的に活動的な生活習慣(例,過去6カ月間でセックスパートナーが複数いた)

  • 性感染症の評価または治療の必要性

  • 現在または最近の違法注射薬物の使用

  • 男性と性行為をする男性

  • 血液をはじめとする感染を媒介しうる体液に曝露する可能性がある業務への従事(例,医療,介護,公衆安全関連の従事者)

  • 末期腎不全(例,血液透析を受けている)

  • HIV感染症

  • 慢性肝疾患(例,C型肝炎,肝硬変,脂肪性肝疾患,アルコール性肝疾患,または自己免疫性肝炎を有するか,アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]値またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]値が正常上限の2倍を超える患者)

  • B型肝炎表面抗原(HBs抗原)陽性者との家庭生活上の接触または性的接触

  • 流行地域への旅行

  • 性感染症の治療,HIV感染症の検査および治療,薬物乱用の治療および予防診療,注射薬物使用者もしくは男性と性行為をする男性に対する診療,または発達障害もしくは末期腎不全のある患者(長期間,血液透析を受けている人など)に対する診療を提供する施設または矯正施設での(患者,在住者,従業員としての)在院期間

B型肝炎ウイルス感染の危険因子が認められない60歳以上の成人もB型肝炎ワクチンの接種を受けることができる。B型肝炎ワクチンの接種を希望する60歳以上の全ての成人は,一連のB型肝炎ワクチンの接種を受けるべきである。

60歳以上の糖尿病患者がB型肝炎ワクチンの接種を受けるかどうかは,臨床的な共同意思決定に基づいて判断すべきである(3)。

A型肝炎・B型肝炎混合ワクチンは,18歳以上でA型肝炎またはB型肝炎ワクチンいずれかの適応があり,かつ以前にこれらの成分を含有するワクチンの接種を受けたことがない個人に使用することができる。

適応に関する参考文献

  1. 1.CDC.Child and Adolescent Immunization Schedule by Age.May 2025.

  2. 2.CDC.Adult Immunization Schedule by Age.May 2025.

  3. 3.Weng MK, Doshani M, Khan MA, et al.Universal Hepatitis B Vaccination in Adults Aged 19-59 Years: Updated Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices - United States, 2022. MMWR Morb Mortal Wkly Rep.2022;71(13):477-483.Published 2022 Apr 1.doi:10.15585/mmwr.mm7113a1

B型肝炎ワクチンの禁忌および注意事項

B型肝炎ワクチンの主な禁忌は以下の通りである:

  • 過去の接種後に発生した重度のアレルギー反応(例,アナフィラキシー)の既往

  • パン酵母またはワクチン成分に対する過敏症

B型肝炎ワクチンの主な注意事項は以下の通りである:

  • 発熱の有無を問わず,中等症または重症の疾患(軽快するまで接種を延期する)

B型肝炎ワクチンの用量および用法

組換えB型肝炎ワクチンの用量は,20歳未満では0.5mLの筋肉内接種,成人(20歳以上)では1mLの筋肉内接種である。アジュバント添加組換えワクチンの用量は,18歳以上の成人で0.5mLの筋肉内接種である。

乳児では,B型肝炎ワクチンは3回接種で使用され,出生直後,生後2カ月時,および生後6~18カ月の時点で1回ずつ接種する。1回目の接種にはB型肝炎成分のみが含まれるが,米国では生後2カ月時点と6~18カ月時点でDTaP/HepB/Hib/IPVの混合ワクチンを接種するのが望ましい。

出生時に接種を受けなかった乳児には,可及的速やかに一連の接種を開始すべきである。早産児でも大半のワクチンで防御反応を得ることができるため,正期産児と同じ予防接種スケジュールに従うべきである。ただし,出生体重が2kg未満の早期産児では抗体応答が低下する傾向がある。それらの乳児では,B型肝炎ワクチンの1回目の接種を退院時または生後1カ月時点まで延期すべきである。1回目の接種時期が生後1カ月未満となる場合は,さらに3回の接種が必要である。母親のHBs抗原の状態が陽性または不明である乳児においてB型肝炎の周産期感染が疑われる場合の予防については,新生児HBV感染症の予防を参照のこと(1)。

B型肝炎ワクチンの接種を受けていない全ての小児には,11~15歳で接種すべきである(2)。3回接種のスケジュールを採用し,1回目と2回目の接種間隔は4週間以上とし,3回目は2回目の4~6カ月後に接種する。ただし,Recombivax HBでは2回接種のスケジュールが可能であり,2回目の接種は1回目の4~6カ月後に行う。

ワクチン接種歴のない19~59歳の成人は,2回または3回,あるいは4回の接種を完了すべきである。成人に対する組換えワクチンの通常の接種スケジュールでは,4週間の間隔を空けて2回の接種を行い,2回目の4~6カ月後に3回目を接種する。アジュバント添加組換えワクチンは,4週間以上の間隔を空けて2回接種する。

HepB-CpGは,妊娠中の使用に関する安全性データがないため,妊娠中に使用してはならない。

血液透析を受けている接種歴のない成人には,アジュバント無添加の組換えワクチンをより高用量で接種する必要がある(3)。

接種歴がないか接種を完了していない個人には,不足分を接種して計3回のHepB予防接種を完了すべきである。危険因子が認められない60歳以上の成人がB型肝炎ワクチンの接種を希望する場合にも,計3回の接種を行ってよい。1回目の1カ月後に2回目を接種し,2回目から2カ月以上の間隔を空けて(かつ1回目から4カ月以上が経過してから)3回目を接種する。A型肝炎・B型肝炎混合ワクチンを使用する場合は,0カ月,1カ月,6カ月のスケジュールで3回接種するか,または0日目,7日目,21~30日目と12カ月時の追加接種で計4回接種する。以前の一連の接種の途中で追跡不能となっていた場合は,それらの接種を再開する必要はない。

用量および用法に関する参考文献

  1. 1.Mast EE, Margolis HS, Fiore AE, et al.A comprehensive immunization strategy to eliminate transmission of hepatitis B virus infection in the United States: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) part 1: immunization of infants, children, and adolescents [published correction appears in MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2006 Feb 17;55(6):158-9] [published correction appears in MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2007 Dec 7;56(48):1267]. MMWR Recomm Rep.2005;54(RR-16):1-31.

  2. 2.Centers for Disease Control and Prevention (CDC).Catch-up Immunization Schedule for Children and Adolescents.November 2024.

  3. 3.Weng MK, Doshani M, Khan MA, et al.Universal Hepatitis B Vaccination in Adults Aged 19-59 Years: Updated Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices - United States, 2022. MMWR Morb Mortal Wkly Rep.2022;71(13):477-483.Published 2022 Apr 1.doi:10.15585/mmwr.mm7113a1

B型肝炎ワクチンの有害作用

重篤な有害作用はまれであるが,アナフィラキシーなどがある。

軽度の有害作用としては,注射部位の疼痛,発赤,および腫脹などがある。ときに,約38℃までの体温上昇,疲労感,頭痛,および倦怠感もみられるが,典型的には軽度かつ一過性である。

これらのワクチンの有害作用に関する詳細については,処方情報を参照のこと。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP): ACIP Recommendations: Hepatitis B Vaccine

  2. ACIP: Changes in the 2025 Adult Immunization Schedule

  3. Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Clinical Information on Hepatitis B

  4. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC): Hepatitis B: Recommended vaccinations

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
iOS ANDROID
iOS ANDROID
iOS ANDROID