オロヤ熱およびペルー疣

(カリオン病)

執筆者:Larry M. Bush, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University;
Maria T. Vazquez-Pertejo, MD, FACP, Wellington Regional Medical Center
レビュー/改訂 2020年 2月
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    オロヤ熱とペルー疣は,グラム陰性細菌であるBartonella bacilliformisを原因菌とする感染症である。オロヤ熱は初回の曝露後に,ペルー疣は一次感染からの回復後に発生する。

    バルトネラ感染症の概要も参照のこと。)

    オロヤ熱とペルー疣は,コロンビア,エクアドル,およびペルーのアンデス山脈のみで流行している風土病であり,どちらもPhlebotomus属のサシチョウバエを介してヒトからヒトへ伝播する。

    オロヤ熱

    オロヤ熱の症状は発熱と著明な貧血であり,発症は突然のこともあれば,潜行性のこともある。貧血は主として溶血性であるが,骨髄抑制も起こりうる。筋肉痛,関節痛,重度の頭痛,しばしばせん妄および昏睡が生じる。Salmonella属や他の大腸菌群による菌血症が重複して発生することがある。無治療患者での死亡率は50%を超える。

    オロヤ熱の診断は血液培養により確定される。

    オロヤ熱はサルモネラ(Salmonella)菌血症を併発することが多いため,クロラムフェニコール500~1000mg,経口,6時間毎,7日間が第1選択の治療である;しかし,クロラムフェニコールに対するサルモネラ(Salmonella)の耐性が新たな問題となっている。さらに別の抗菌薬(典型的にはドキシサイクリンまたはβ-ラクタム系薬剤)を追加する医師もいるが,トリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SMX),マクロライド系,およびフルオロキノロン系薬剤も使用されて効果を示している。

    ペルー疣

    ペルー疣は,細菌性血管腫症に酷似する多発性皮膚病変として出現し,それらは隆起した赤紫色の皮膚結節で,通常は四肢および顔面に発生する。病変は数カ月から数年間にわたって持続することがあり,疼痛および発熱を伴うことがある。

    ペルー疣は,外観の特徴により,またときに生検でみられる皮膚の血管新生により診断する。

    ほとんどの抗菌薬治療で寛解が得られるが,再発することが多く,長期の治療が必要である。

    ペルー疣の典型的な治療法は,リファンピシン10mg/kg,経口,1日1回,10~14日間またはストレプトマイシン15~20mg/kg,筋注,1日1回,10日間である。シプロフロキサシン500mg,経口,1日2回,7~10日間も効果を示しており,アジスロマイシン,ドキシサイクリン,およびトリメトプリム/スルファメトキサゾールも同様である。

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