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COVID-19

(新型コロナウイルス感染症;COVID)

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

レビュー/改訂 2022年 2月
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COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。

COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers for Disease Control and Prevention (CDC): COVID Data TrackerおよびWHO Coronavirus (COVID-19) Dashboardを参照のこと。

COVID-19の伝播

SARS-CoV-2は主に,感染者が咳やくしゃみをしたり,歌ったり,運動や会話をしたりしたときに生じる呼吸器飛沫を介して,ヒト同士の濃厚接触により伝播する。その伝播は,近距離しか移動できずに粘膜表面に直接落ちる大きな呼吸器飛沫を介して,または,空気中に数時間とどまり,人に吸引されるまで長距離(6フィート[約2m]以上)を移動できる小さな呼吸器粒子(エアロゾル)を介して発生する。このウイルスの伝播は,呼吸器分泌物で汚染された表面(媒介物)との接触を介して発生する可能性もあり,これは人が汚染された表面に触れた後に顔面(眼,鼻,口)の粘膜に触れた場合に起こる。無症状の感染者と症状がみられる患者の両方がウイルスを伝播する可能性があることが知られており,この性質のために感染拡大の制御が困難になっている。

感染力は発症前後の数日間が最も高く,この時期には呼吸器分泌物中のウイルス量が最も多くなっている。SARS-CoV-2はヒトからヒトへ容易に伝播する。伝播のリスクには,ウイルスに曝露した量が直接関連する。一般に,感染者とのやり取りしたときの距離が近いほど,またその時間が長いほど,ウイルス伝播のリスクが高くなる。感染者からの距離,室内にいる感染者の数,感染者と過ごした時間,空間の大きさ,エアロゾルを発生させる活動(例,歌う,大声をあげる,運動をする),換気,ならびに気流の方向および速度などの因子がこのリスクに寄与する可能性がある。SARS-CoV-2のデルタ株およびオミクロン株は,それ以前の変異株よりも容易に伝播する(CDC: Delta Variant: What We Know About the ScienceおよびCDC: Omicron Variant: What You Need to Knowを参照)。

2021年11月30日,米国はオミクロン株を懸念される変異株(Variant of Concern)に指定した。米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は,世界中の公衆衛生機関と協力して,オミクロン株に関する研究を進めている。

2003年の SARS-CoV 重症急性呼吸器症候群(SARS) コロナウイルスは,感冒から致死的な肺炎に至るまでの様々な重症度の呼吸器疾患を引き起こす,エンベロープを有するRNAウイルスである。 1930年代に家禽で初めて発見された多くのコロナウイルスは,動物で呼吸器,消化管,肝臓,および神経系の疾患を引き起こす。ヒトに疾患を引き起こすことが知られているのは7種類のみである。... さらに読む のアウトブレイクでは,スーパースプレッダーイベントなど,クラスターが発生しやすい状況が感染拡大に極めて大きな役割を果たしたが,現在のCOVID-19アウトブレイクにおいても,これらが同様に大きな影響を及ぼしている。クラスターが発生しやすい状況とは,少数の感染者が大多数の感染につながる状況である。これにはおそらく,生物学的因子,環境因子,行動因子が複合的に寄与していると考えられる。

感染リスクが高い状況としては,集団生活施設(例,介護施設,長期療養施設,寄宿学校,刑務所,船舶)のほか,屋内での礼拝,スポーツジム,バー,ナイトクラブ,屋内のレストラン,食肉加工施設など,換気が不十分で混み合った環境が挙げられる。このような状況では,人の密集度が高く,しばしば感染回避策の維持が困難となる。介護施設の居住者は,年齢が高く,基礎疾患があるという理由でも重症化のリスクが高い。

濃厚接触者および感染者の隔離

こうしたアウトブレイクの局所的,地域的,世界的な拡大を抑制するために,濃厚接触者と感染者に対する隔離が適用されている。(CDC: Quarantine and Isolationも参照のこと。)

濃厚接触者の隔離(検疫隔離[quarantine])は,感染力のある感染者と「濃厚接触」があった個人を他者から分離し,移動を制限することで,感染を広げないようにすることを目的とする。

  • 濃厚接触とは,SARS-CoV-2感染者の周囲6フィート(約2m)以内に24時間の間に合計15分以上いた場合を指す。感染者は,症状が出現する2日前から,また無症状の場合は検査で陽性判定が出る前から,感染を広げ始める可能性がある。

  • 幼稚園から高校3年生までの児童や学生では,屋内または屋外の授業で一貫して正しくマスクを着用する場合,感染者の3フィート(約1m)以内にいることが濃厚接触の定義に採用されている(CDC: Close Contactを参照)。

隔離は濃厚接触があった日から開始され,この日を0日目とみなす(隔離の日数は1日目からカウントされる)。COVID-19のワクチン接種を予定通りに受けていない人は,5日目まで隔離され,10日目までよくフィットするマスクを着用すべきである。隔離が不可能な場合は,10日目まで,他者の周りではよくフィットするマスクを常に着用すべきである。

感染者と濃厚接触があった以下に該当する個人は,隔離の必要はないものの,10日目までよくフィットするマスクを着用すべきである:

  • COVID-19のワクチン接種を予定通りに受けている

  • 曝露前90日以内にCOVID-19に感染(SARS-CoV-2検査での陽性判定により確定)していた

曝露した個人は,たとえ無症状であっても,ワクチンの接種状況にかかわらず,曝露の5~7日後にSARS-CoV-2のウイルス検査を受けるべきである。

症状が現れた場合は,検査で陰性と判定され,症状がCOVID-19に起因するものでないことが確認されるまで,曝露した個人を直ちに隔離すべきである。

感染者の隔離(isolation)は,COVID-19の感染が確認されたか感染が疑われる個人を,COVID-19に感染していない人々から分離するものである。CDCは,COVID-19の症状がみられるか,SARS-CoV-2のウイルス検査で陽性と判定された個人について,隔離を推奨している。隔離中の感染者は,自宅にとどまり,他者から離れて過ごすか,もしくは,自宅で他者と一緒にいる必要がある場合は,よくフィットするマスクを着用すべきである。

感染者の隔離は,発症日またはウイルス検査で陽性判定を受けた日から開始すべきであり,その日を0日目とみなし(隔離の日数は1日目からカウントする),少なくとも5日目まで継続する。

  • 無症状であるか,症状が消失しつつある(例,解熱薬を使用せずに24時間以上発熱がない;他の症状が改善している)場合は,6日目に隔離を終了することができる。10日目までは,他者の周りではよくフィットするマスクを着用すべきである。

  • 抗原検査を受けられる状況であれば,隔離期間の5日目から検査を行ってよい。その検査で陽性と判定された場合は,隔離を10日目まで継続すべきである。陰性と判定され,臨床基準を満たしている場合は,隔離を終了してもよいが,10日目までは,自宅を含む全ての場所で,他者が周囲にいる間は,よくフィットするマスクを着用すべきである。

  • 重症者は,少なくとも10日目までは隔離すべきである。

COVID-19の症状と徴候

COVID-19患者では,重症度や現れる症状が一様でない。症状がほとんどない場合や,全くない場合もあれば,重症化して死亡する患者もいある。症状としては以下がみられる:

  • 発熱

  • 咳嗽

  • 咽頭痛

  • 鼻閉または鼻漏

  • 息切れまたは呼吸困難

  • 悪寒または繰り返す悪寒戦慄

  • 嗅覚または味覚障害の出現

  • 疲労

  • 筋肉痛

  • 頭痛

  • 悪心または嘔吐

  • 下痢

潜伏期間(曝露から発症までの期間)は2~14日であり,オミクロン株では中央値がわずか2~4日と推定される。感染者の多く(おそらく最大80%)は無症状または軽症であり,これは変異株によって異なる。COVID-19患者における重篤化および死亡のリスクは年齢とともに上昇し,喫煙者とほかに重篤な疾患(癌,心疾患,肺疾患,腎疾患,肝疾患,糖尿病,易感染状態,鎌状赤血球症,肥満など)を有する患者で高くなる(CDC:Symptoms of COVID-19およびDifferent Groups of People at Increased Risk for Severe Illnessを参照)。 ワクチン接種 COVID-19のワクチン接種 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む は,全ての年齢層で重症化のリスクを劇的に低下させるが,若年層でのワクチン接種率が低いことから,入院患者の年齢層が変化している(CDC: COVID Data Trackerを参照)。重症例は呼吸困難,低酸素症,画像上での広範囲の肺浸潤影を特徴とする。進行して, 機械的人工換気 機械的人工換気の概要 機械的人工換気には以下の種類がある: 非侵襲的,様々な種類のフェイスマスクを使用する 侵襲的, 気管挿管を伴う 適切な手法の選択および使用には呼吸力学の理解が必要である。 気管挿管および機械的人工換気の適応は極めて多彩であるが( 気道管理が必要となる状況の表を参照),一般には,気道の確保または十分な酸素化もしくは換気の維持が困難であること... さらに読む を要する呼吸不全,ショック,多臓器不全に陥り,死に至る可能性がある。

コロナウイルスに感染すると,再感染に対してある程度の免疫が獲得される可能性があるが,COVID-19感染後に得られる免疫の持続期間や効力は依然として不明である。SARS-CoV-2感染後にはほとんどの患者で中和抗体が認められることが研究で報告されているが,抗体価は時間の経過とともに低下する。遺伝的に異なる株のSARS-CoV-2による再感染が確認されている。再感染は初回感染から3カ月以上経過してから起こることが多いが,初回感染から45日後という早い段階で症状が再発した場合にも,再感染を考慮してよい。オミクロン株は再感染の原因になる可能性が高いことを示したエビデンスも増えてきており,その理由として免疫回避や免疫の減弱が想定されている。再感染に伴う症状は,初感染での症状と同様か,それより軽度になる傾向がある。

SARS-CoV-2感染症のまれな合併症として,感染後に生じる炎症症候群が報告されており,小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children:MIS-C)と呼ばれている。 川崎病 川崎病 川崎病は 血管炎の1つであり,乳児および1~8歳の小児に発生しやすく,ときに冠動脈を侵す。遷延する発熱,発疹,結膜炎,粘膜炎症,リンパ節腫脹を特徴とする。冠動脈瘤が発生し,破裂する,あるいは心筋梗塞を引き起こす可能性がある。診断は臨床基準により行われ,本疾患と診断されれば,心エコー検査が行われる。治療はアスピリンと免疫グロブリン静注療法で... さらに読む 川崎病 毒素性ショック症候群 毒素性ショック症候群(TSS) 毒素性ショック症候群は,ブドウ球菌またはレンサ球菌の外毒素によって引き起こされる。臨床像としては,高熱,低血圧,びまん性の紅斑,多臓器不全などがみられ,重度かつ治療抵抗性のショックへと急速に進行することがある。診断は臨床所見と起因菌の分離による。治療法としては,抗菌薬,集中的な支持療法,免疫グロブリン静注療法などがある。... さらに読む 毒素性ショック症候群(TSS) に類似する特徴がみられる。MIS-Cの小児では,一般には軽症または無症状のSARS-CoV-2感染後の2~6カ月時点で,発熱,頻脈,全身性炎症の徴候,そして多臓器の障害(例,心臓,消化管,腎臓)を呈することが最も多い。以下の基準を満たす症例は,米国ではMIS-Cの疑い例として地域,州,または準州の保健局に報告すべきである:21歳未満の患者で24時間以上続く発熱がある,炎症の臨床検査所見がある,入院を要する重度の多臓器障害(臓器2つ以上)の徴候がある,かつ臨床検査所見または疫学的知見から最近のSARS-CoV-2感染との関連が示唆される(1 症状と徴候に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。ワクチン接種はMIS-Cの発生に対して高い予防効果をもたらすようである(2 症状と徴候に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。若年および中年成人でも同様の症候群が発生しており,成人多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in adults:MIS-A)として報告されている(3 症状と徴候に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。

症状の消失

ほとんどの患者で,症状は約1週間以内に消失する。しかしながら,一部の患者では,1週間ほど経過してから臨床状態が悪化し, ARDS 急性低酸素血症性呼吸不全 (AHRF,ARDS) 急性低酸素血症性呼吸不全は,酸素投与に反応しない重症の動脈血低酸素血症である。これは,気腔への体液貯留または虚脱(例,左室不全による肺水腫,急性呼吸窮迫症候群)に起因する血液の肺内短絡,または血液を右から左へ循環させる心内短絡によって引き起こされる。所見には呼吸困難および頻呼吸などがある。診断は動脈血ガス測定および胸部X線による。通常,治... さらに読む 急性低酸素血症性呼吸不全 (AHRF,ARDS) を始めとする重度の病態に進行する。軽症患者でも,呼吸困難,咳嗽,倦怠感などの症状が消失せず,数週間から数カ月にわたって持続することがある。重症患者では罹病期間が長くなる頻度が高いとみられている。PCR法によるウイルス検査では,症状にかかわらず,3カ月以上にわたり陽性が続く可能性がある。しかしながら,たとえ症状が持続している患者であっても,発症後10日目の上気道検体からウイルスが培養できることはまれであるため,一般にそのような患者に感染力はないと考えられている。

また,COVID-19では,急性期に続いて長期の後遺症(4 症状と徴候に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )がみられることがあり,症状が数カ月持続する可能性がある。これは,long COVID,long-haul COVID,post-acute COVID-19 syndromeなど,様々な名称で呼ばれており,米国の一部の調査では全患者の25~50%に影響を及ぼしていると推定されている。疲労,筋力低下,疼痛,筋肉痛,呼吸困難,および認知機能障害が最も多く報告されている。長期後遺症の危険因子として,高い重症度,高齢,女性,肺疾患の既往などがある。この病態の診断とさらなる検討に役立てるために,国際的な症例定義が最近になって確立された(5 症状と徴候に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。

症状と徴候に関する参考文献

  • 1.Belay ED, Abrams J, Oster ME, et al: Trends in geographic and temporal distribution of US children with multisystem inflammatory syndrome during the COVID-19 pandemic.JAMA Pediatr 175(8):837-845, 2021.doi: 10.1001/jamapediatrics.2021.0630.PMID: 33821923; PMCID: PMC8025123.

  • 2.Zambrano LD, Newhams MM, Olson SM, et al: Effectiveness of BNT162b2 (Pfizer-BioNTech) mRNA vaccination against multisystem inflammatory syndrome in children among persons aged 12–18 years — United States, July–December 2021.MMWR Morb Mortal Wkly Rep 71:52–58, 2022.doi: http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7102e1external icon

  • 3.Morris SB, Schwartz NG, Patel P, et al: Case series of multisystem inflammatory syndrome in adults associated with SARS-CoV-2 infection — United Kingdom and United States, March–August 2020.MMWR Morb Mortal Wkly Rep 69:1450–1456, 2020.doi: 10.15585/mmwr.mm6940e1

  • 4.Nalbandian A, Sehgal K, Gupta A, et al: Post-acute COVID-19 syndrome. Nat Med.27(4):601-615, 2021.doi: 10.1038/s41591-021-01283-z.Epub 2021 Mar 22.PMID: 33753937.

  • 5.Soriano JB, Murthy S, Marshall JC, et al; WHO Clinical Case Definition Working Group on Post-COVID-19 Condition.A clinical case definition of post-COVID-19 condition by a Delphi consensus. Lancet Infect DisS1473-3099(21)00703-9, 2021.doi: 10.1016/S1473-3099(21)00703-9.Epub ahead of print.PMID: 34951953; PMCID: PMC8691845.

COVID-19の診断

  • 上気道および下気道分泌物のRT-PCR(リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)検査またはその他の核酸増幅検査

  • 上気道分泌物の抗原検査

以下に該当する個人にはCOVID-19の検査を行うべきである:

大規模な集会に出席したり,一貫した正しいマスクの着用をせずに屋内の混雑した環境にいたりするなど,COVID-19のリスクが高い活動に参加した個人も検査を受けた方がよい。

ポイントオブケア検査や在宅検査で迅速な結果が得られる。これは無症状の症例を同定し,SARS-CoV-2の感染拡大を阻止するための重要な手段となりうる。これらの検査は,学校,職場,その他の状況において,特に市中感染率が高い場合に,ルーチンのスクリーニング検査の一部となりうる(CDC: Overview of Testing for SARS-CoV-2を参照)。

COVID-19の診断検査は,民間検査機関と公的検査施設で行えるほか,自宅での実施も可能である。診断検査の選択と結果の解釈は,その集団におけるSARS-CoV-2の有病率とCOVID-19の症状,徴候,または濃厚接触者の有無に基づく,その個人がCOVID-19に感染している可能性を考慮に入れるべきである。RT-PCR検査は感度と特異度が最も高く,COVID-19の初期検査として好ましいとされており,COVID-19の徴候・症状がみられる患者やCOVID-19患者と濃厚接触があった個人では特に有用である。その他の核酸増幅法による検査プラットフォームは,一般にRT-PCRよりわずかに感度が低くなっている。

ポイントオブケア検査または在宅での抗原検出検査は,核酸増幅検査より感度が低く,特にウイルス量が少ない可能性がある感染発生直後の時点ではその傾向が強くなる。そのため,一部の抗原検査では,結果(例,有症状者での陰性判定)の確定にRT-PCRやその他の核酸増幅検査が必要になることがある。多くの抗原検査キットでは,感染を検出する可能性を高めるために,数日にわたって連続して検査を繰り返すことも推奨されている。一部の検査では,オミクロン株を検出できない場合がある(FDA: SARS-CoV-2 Viral Mutations: Impact on COVID-19 Testsを参照)。

COVID-19の診断検査で許容される検体としては,上咽頭,中咽頭,鼻腔中部,前鼻孔,唾液検体などがある。これらの検体は医療従事者が採取する場合と自己採取の場合があるが,上咽頭検体は例外であり,これは資格を取得して適切な訓練を受けた医療従事者のみが採取すべきである。オミクロン株の検出に最適な検体はまだ特定されていない。

全ての検査プラットフォームおよび検査施設が全ての種類の検体を検査できるわけではないため,検体を受領する検査施設の検体採取指示か,検査キットの添付文書の指示を参照すること。上咽頭および中咽頭検体については,シャフトがプラスチック製またはワイヤー製の合成繊維スワブのみを使用すること。アルギン酸カルシウム製のスワブとシャフトが木製のスワブは,一部のウイルスを不活化してPCR検査を困難にする物質が含まれている可能性があるため,使用してはならない。検体を採取したスワブは,ポイントオブケア検査のように検体を直接分析するように設計された検査法を用いるのでなければ,ウイルス輸送用培地,輸送用アミーズ培地,滅菌食塩水のいずれか2~3mLが入った無菌の輸送用チューブに直ちに入れること。検体を採取する際は,適切な感染制御策を維持すること。

CDCはバイオセーフティの観点から,COVID-19が疑われる患者を対象に各地の機関で細胞培養によりウイルスの分離を試みたり,ウイルス性病原体の特性評価を行ったりしないよう勧告している。

検査室または医療施設で実施された検査の陽性判定は,地域および州の保健局に報告される。また,一部の地域の保健局には,在宅検査の陽性判定を報告する制度も整備されている。

注:抗体が検出可能になるのは発症後1~3週目以降である場合が最も多いため,急性期のCOVID-19を診断する目的で血清学的検査(すなわち抗体検査)を用いてはならない。抗体検査には2つの種類がある。1つはSARS-CoV-2のヌクレオカプシド抗原を標的とする抗体を検出する検査であり,COVID-19の過去の感染を診断するために用いられる。もう1つは,スパイク抗原に対する抗体を検出する検査で,COVID-19のワクチン接種に対する免疫応答を評価するために用いられる(CDC: Interim Guidelines for COVID-19 Antibody Testingを参照)。

重症度の高い患者で決まってみられる臨床検査所見としては,リンパ球減少のほか,やや特異度の低い所見として,アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT,AST)高値,乳酸脱水素酵素(LDH)高値,Dダイマー,フェリチン,炎症マーカー(C反応性タンパク[CRP]など)高値などがある。

胸部の画像所見は,軽症例では正常となる可能性もあるが,重症度が高まるにつれて増加してくる。典型的な所見はウイルス性肺炎と一致し,具体的には胸部X線または胸部CTでのすりガラス陰影やコンソリデーション(浸潤影)などがある。胸部画像検査は,COVID-19に対するルーチンのスクリーニング検査としては推奨されない。

COVID-19の治療

  • 支持療法

  • ときに,軽症から中等症の患者で重症化のリスクが高い場合は,ニルマトレルビルとリトナビルの併用,モルヌピラビル,中和モノクローナル抗体,レムデシビル(短期)

  • 重症例には,レムデシビル,デキサメタゾン,免疫調節薬

COVID-19の治療法は,重症度と患者毎の重症化リスクに依存する。これは急速に議論が進んでいるトピックであり,新たな文献が絶えず発表されている(National Institutes of Health (NIH) COVID-19 Treatment GuidelinesおよびInfectious Diseases Society of America (IDSA) Guidelines on the Treatment and Management of Patients with COVID-19を参照)。CDCによる重症度の定義は以下の通りである:

  • 軽症(mild):COVID-19の徴候および症状(例,発熱,咳嗽,咽頭痛,倦怠感,頭痛,筋肉痛)を認めるが,息切れ,呼吸困難,および胸部画像検査異常を認めない場合

  • 中等症(moderate):臨床的評価または画像検査で下気道疾患の所見を認め,かつ海面レベルの室内気で酸素飽和度(SpO2)が94%以上である場合

  • 重症(severe):呼吸数が30回/分を超えている,または海面レベルの室内気でSpO2が94%未満である(もしくは慢性低酸素血症のある患者ではベースラインから3%を超えて低下している),または吸気酸素濃度に対する動脈血酸素分圧の比(PaO2/FiO2)が300mmHg未満である,または肺浸潤が50%を超えている場合

  • 最重症(critical):呼吸不全,敗血症性ショック,または多臓器不全を認める場合

重症化リスクが高い軽症から中等症のCOVID-19患者に対する治療

以下の治療は,COVID-19以外の理由で通院または入院している軽症から中等症のCOVID-19患者を対象とするものであり,COVID-19のために入院している患者における治療選択肢(レムデシビル以外)としては検討されていない。

治療法を決定する際には,その地域で流行している変異株に対する,特定の抗ウイルス薬およびモノクローナル抗体の有効性が考慮される(OpenData Portal: database of in vitro therapeutic activity against SARS-CoV-2 variantsを参照)。治療選択肢は,現時点で入手可能なデータと流行しているSARS-CoV-2変異株に基づいて,優先度順に記載している。治療法は,各薬剤の入手可能性,各薬剤を投与するためのインフラ,ならびに症状の持続期間,薬物相互作用の可能性,肝障害や腎障害などの患者固有の因子に基づいて選択すべきである。利用可能な治療法との併用治療に関するデータはないため,1剤のみを投与すべきである。供給の限界と投与の制限により,最大の便益(例,入院および死亡の予防)が得られる可能性が高い患者を優先することが臨床医に求められる場合もある。その対象には,曝露ではなく感染が確認された患者のうち,ワクチン接種を一度も受けていない患者,ワクチン接種を完了していない患者,ワクチン接種を受けたが易感染状態のために十分な免疫応答の上昇が期待できない患者が含まれる。

ニルマトレルビルは,リトナビルとの併用(Paxlovidと呼ばれる合剤)で投与される経口抗ウイルス薬であり,SARS-CoV-2の直接検査で陽性と判定され,入院や死亡を含む重症化のリスクが高いCOVID-19の成人および青年(12歳以上,体重40kg以上)の軽症から中等症のCOVID-19に対する治療薬として,米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から緊急使用許可(EUA)を受けている。ニルマトレルビルとリトナビルの併用は,COVID-19と診断されてから可及的速やかに,かつ発症後5日以内に開始すべきである。(FDA EUA Factsheetも参照のこと。)

ニルマトレルビルは,SARS-CoV-2タンパク質を阻害してウイルスの複製を停止させる薬剤(プロテアーゼ阻害薬)であり,リトナビル(すでにHIV感染症の治療に使用されていた別のプロテアーゼ阻害薬)との併用で使用されるが,リトナビルはニルマトレルビルの代謝を遅らせ,ニルマトレルビルを高濃度で長期間体内にとどまらせる。用法・用量としては,ニルマトレルビル150mg錠2錠とリトナビル100mg錠1錠を同時に,5日間にわたり1日2回服用させる。この薬物療法については,連続5日間を超える使用は許可されていない。

ニルマトレルビル/リトナビルの併用は,事前に規定された重症化の危険因子を有する18歳以上または事前に規定された慢性疾患の有無を問わない60歳以上の入院していない有症状の成人患者2246例を対象とした,ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で検討された。被験者は全員がCOVID-19ワクチンの接種を受けておらず,COVID-19の感染歴もなく,検査によりSARS-CoV-2感染の確定診断が下されていた。ニルマトレルビル/リトナビルの併用により,28日目までに,COVID-19に関連した入院または死因を問わない死亡の頻度がプラセボ群と比較して88%減少していた(RR[相対リスク]:0.12;95%CI[信頼区間]0.05, 0.25)。

ニルマトレルビル/リトナビルの併用で起こりうる副作用としては,味覚障害,下痢,高血圧,筋肉痛などがある。コントロール不良または未診断のHIV-1感染症患者にこの薬剤を使用すると,HIV-1の薬剤耐性につながる可能性がある。ニルマトレルビル/リトナビルの併用は肝傷害を引き起こすことがあるため,既存の肝疾患,肝酵素異常,または肝炎がある患者では注意が必要である。重度の肝障害または腎障害を有する患者には,この薬剤は推奨されない。

ニルマトレルビル/リトナビルの合剤には,様々な重篤な薬物相互作用が知られていることから,治療を開始する前に,それらの薬物相互作用について併用薬をスクリーニングする必要がある。薬物相互作用の完全な一覧については,FDA EUA Fact Sheetを参照のこと。

3つの抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体療法(バムラニビマブ[bamlanivimab] + エテセビマブ[etesevimab],カシリビマブ + イムデビマブ,ソトロビマブ)は,軽症から中等症のCOVID-19に対する治療として,重症化リスクが高い非入院患者の成人および小児患者(カシリビマブ + イムデビマブおよびソトロビマブでは12歳以上かつ体重40kg以上に制限)を対象として(65歳以上の患者と特定の慢性疾患を有する患者を含む),FDAのEUAを受けている。これらの抗ウイルス効果のあるモノクローナル抗体は,ランダム化臨床試験において,入院または死亡のリスクをプラセボと比較して70~85%低下させることが示されている。しかしながら,現在米国で推奨されているのはソトロビマブのみであり,これは全国的にオミクロン株が流行していることと,他のモノクローナル抗体がこの変異株に対して無効であることによる。

ソトロビマブは500mgを点滴静注で単回投与する。可及的速やかに,発症後10日以内に投与すべきである(FDA EUA Fact Sheet for Sotrovimabを参照)。

ソトロビマブは,軽症から中等症のCOVID-19で重症化リスクが高い成人(18歳以上)の非入院患者583例を対象とするランダム化比較試験で検討された。24時間以上の入院または死亡に至った患者の割合は,ソトロビマブ投与群で1%(291人中3人)であったのに対し,プラセボ投与群では7%(292人中21人)であった。その結果,入院または死亡の絶対リスクが6%低下し,相対リスクが85%低下した(1 治療に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。

軽症から中等症の患者には,3日間の治療コースでレムデシビルを使用できる。レムデシビルは現在,入院患者への使用がFDAにより承認されているが,これは適応外使用である(薬剤の詳細については以下を参照)。可及的速やかに,かつ発症後7日以内に開始すべきである。レムデシビルは,重症化リスクが高いワクチン未接種の患者562例を対象としたランダム化比較試験において,この適応について検討された。レムデシビルを発症後7日以内に3日間連続で投与すると,プラセボと比較して,入院または死亡の頻度が相対的に87%減少し,28日目までの通院回数(HR[ハザード比]:0.19)が減少した(2 治療に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。

モルヌピラビルは,18歳以上の成人で,SARS-CoV-2の直接検査で陽性と判定され,重症化(入院と死亡を含む)のリスクが高く,かつFDAが承認したCOVID-19の代替治療が利用できないか臨床的に適切でない,非入院患者における軽症から中等症のCOVID-19の治療に対して,FDAからEUAを受けている。モルヌピラビルは,COVID-19の診断後可及的速やかに,かつ発症から5日以内に開始すべきである。(FDA EUA Factsheet for Molnupiravirも参照のこと。)

モルヌピラビルは,SARS-CoV-2の遺伝子コードにエラーを引き起こすことで効果を発揮する経口抗ウイルス薬であり,ウイルスのさらなる複製を阻止する。モルヌピラビルは200mgカプセルを4錠,12時間毎に5日間経口投与する。モルヌピラビルについては,連続5日間を超える使用は許可されていない。理論的な懸念に基づくと,モルヌピラビルはSARS-CoV-2の新たな変異株の出現に影響を及ぼす可能性があるが,入手可能な遺伝毒性データと限られた5日間の治療コースに基づくと,そのリスクは低いと考えられている。

モルヌピラビルは,重症化または入院のリスクが高い軽症から中等症のCOVID-19の非入院患者1433例を対象とするランダム化二重盲検プラセボ対照試験において検討された。事前に規定された慢性疾患があるか,その他の理由でSARS-CoV-2感染のリスクが高い18歳以上の成人で,COVID-19ワクチンの接種を受けていない患者が対象とされた。追跡期間中に入院または死亡した患者の割合は,モルヌピラビル投与群で6.8%であったのに対し,プラセボ投与群では9.7%であった。追跡期間中に死亡した患者の数は,モルヌピラビル投与群では1名であったのに対し,プラセボ投与群では9名であった。

この試験で認められた副作用には,下痢,悪心,浮動性めまいなどがあった。モルヌピラビルは骨および軟骨の成長に影響を及ぼす可能性があるため,18歳未満の患者への使用は許可されていない。

動物を用いた生殖試験から,モルヌピラビルを妊娠中の患者に投与すると胎児に害を及ぼす可能性が示唆されたことから,妊娠中のモルヌピラビルの使用は推奨されない。妊娠の可能性がある女性には,モルヌピラビルによる治療中と最終投与後4日間にわたり,信頼性の高い避妊法を一貫して正しく用いることが推奨される。生殖能を有する男性が妊娠可能な女性を相手として性的に活動的である場合には,モルヌピラビルによる治療中および最終投与後少なくとも3カ月間にわたり,信頼性の高い避妊法を一貫して正しく用いることが推奨される。

重症のCOVID-19患者に対する治療

重症例に推奨されている治療選択肢としては,抗ウイルス薬のレムデシビル,コルチコステロイドのデキサメタゾン,バリシチニブ,トシリズマブ,サリルマブなどの他の免疫調節薬がある。これらは併用してもよく,治療法の決定には,しばしば低酸素症および呼吸補助の程度で規定される患者の病期を考慮に入れるべきである。疾患が活発なウイルス複製の結果である状況では,抗ウイルス薬が疾患経過のより早い段階で有益となる可能性が高いが,経過の後期に宿主の炎症反応や免疫調節異常が病態を進行させている状況では,抗炎症薬と免疫調節薬がより適している。(NIH: Therapeutic Management of Hospitalized Adults With COVID-19も参照のこと。)

酸素投与を必要とするが追加の呼吸補助は必要としない患者に対する治療選択肢としては,以下のものがある:

  • レムデシビル単剤

  • デキサメタゾン単剤

  • レムデシビルとデキサメタゾンの併用

抗ウイルス薬のレムデシビルは,COVID-19のために入院を必要とする12歳以上かつ体重40kg以上の患者への使用がFDAにより承認されている。またレムデシビルは,入院中かつ体重3.5kg以上の小児患者に対しても,FDAのEUAの下で使用可能であるが,それ以外の使用は,年齢にかかわらず,承認されていない。成人患者と12歳以上かつ体重40kg以上の小児患者に対する推奨用量としては,負荷量200mgを1日目に点滴静注で単回投与した後,維持量100mgを2日目から1日1回点滴静注する。推奨される治療期間は5日間であり,10日間の治療コースと同程度の効果が得られることが示されている。大規模ランダム化臨床試験(ACTT-1)では,酸素投与を必要とするが,機械的人工換気やその他のより高いレベルの補助を必要としない患者において,レムデシビルの投与に臨床的改善の早期化との関連が認められた(3 治療に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。この回復までの期間の改善は,外来患者を対象としたランダム化比較試験(PINETREE)でも観察された。しかしながら,2つの非盲検試験(SolidarityおよびDiscovery)では便益が認められなかった。全体として,レムデシビルの研究では,活発なウイルス複製が病態に寄与している可能性が高い感染早期(7~10日目より前)での使用が支持されている。酸素投与を必要としていない入院患者でもレムデシビルを考慮できるが,この集団でのデータは不足している。eGFRが30mL/min未満の患者には,レムデシビルは推奨されない。レムデシビルによる治療の開始前および施行中は腎機能をモニタリングすべきである。(レムデシビルに関するNIHの治療ガイドラインも参照のこと。)

酸素投与を必要とするCOVID-19患者には,コルチコステロイドのデキサメタゾン(6mg,1日1回,最長10日間または退院まで[いずれか早い方])が一般に推奨されているが,酸素投与を必要としない患者への使用は推奨されていない。デキサメタゾンは,RECOVERY試験の酸素投与または機械的人工換気を必要とする患者において,延命効果を示した(4 治療に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。その効果は,病態が感染による炎症反応に起因する患者で最も大きくなる可能性が高い。デキサメタゾンが使用できない場合は,他のグルココルチコイド(例,プレドニゾン,メチルプレドニゾロン,ヒドロコルチゾン)を使用してもよい。

レムデシビルとデキサメタゾンの併用は,発症から10日以内に酸素投与を必要とする入院患者で,ウイルスの複製と宿主側の炎症の両方が臨床症状に寄与している可能性がある場合に一般的に使用される。

非侵襲的換気(高流量酸素供給システムを含む)を必要とする患者の場合:

  • デキサメタゾンは全ての患者に推奨される。

  • 発症から7~10日以内の患者には,特に考慮した上でレムデシビルを追加してもよい。

  • 追加の免疫調節薬を考慮すべきであり,急速な悪化や全身性炎症の徴候がみられる患者では特に考慮すべきである。

その他の免疫調節薬としては,JAK阻害薬のバリシチニブ(使用できない場合はトファシチニブ)や,IL-6阻害薬のトシリズマブ(使用できない場合はサリルマブ)などがある。これらの推奨は,数多くのランダム化臨床試験(COV-BARRIER,ACTT-2)および非盲検臨床試験(REMAP-CAP,RECOVERY)のサブグループ解析の結果に基づいており,これらの臨床試験では,この水準の呼吸補助を必要とする患者において,これらの薬剤のいずれかを追加することで延命効果が示された。これらの薬剤は強力な免疫抑制薬であり,重篤細菌感染症や重篤真菌感染症の合併が疑われる患者や,免疫抑制をもたらす基礎疾患があるために日和見感染症のリスクが高い患者では,潜在的な便益を追加される免疫抑制のリスクと比較して検討すべきである。これらの治療法に対する適切な患者の選択に関する詳細については,免疫調節薬に関するNIHの治療ガイドラインを参照のこと。

機械的人工換気または体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする患者では,全例にデキサメタゾンが推奨される。トシリズマブの追加は,集中治療室(ICU)入室から24時間以内の患者に対して考慮すべきである。

多くの治療法が検討されてきたが,それらは現在のところCOVID-19の治療または予防には推奨されていない:

  • 回復期血漿はCOVID-19で入院した患者の治療には現在のところ推奨されていない。いくつかのランダム化臨床試験と拡大アクセスプログラムに関連した大規模レジストリーから得られたデータでは,この集団において有意な便益は示されず,機械的人工換気の必要性増大との潜在的な関連が示唆された。軽症から中等症の非入院患者で重症化のリスクが高い場合は,ほかに利用可能な治療選択肢がなければ,これを考慮してもよい。

  • 非特異的免疫グロブリン製剤(IVIG)と間葉系幹細胞療法も推奨されない。

  • インターフェロン,キナーゼ阻害薬,インターロイキン阻害薬など,免疫調節療法が付加的に用いられているが,臨床試験外でのルーチンな使用を推奨できるだけの十分なデータは得られていない。

  • 使用されている他の薬剤として,アジスロマイシンや抗レトロウイルス薬などがあるが,臨床試験以外でのこれらの薬剤の使用を支持するデータは不十分である。

  • HIV抗レトロウイルス薬であるロピナビル/リトナビルと抗マラリア薬であるクロロキンおよびヒドロキシクロロキンについては,複数の臨床試験により,これらの薬剤が有益でないことが示されている。クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに関連した有益性の欠如とその毒性から,COVID-19の治療にこれらを使用しないよう勧告が出された。

  • COVID-19の予防または治療に対する抗寄生虫薬イベルメクチンについても,その有用性を報告したランダム化臨床試験は存在しない(5 治療に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。FDAおよびその他の機関は,大型動物への使用を意図したイベルメクチン製剤の不適切な使用による毒性について警告を発している(FDA: Why You Should Not Use Ivermectin to Treat or Prevent COVID-19を参照)。

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルボキサミンは,COVID-19の症状がみられる外来患者を対象とした2つのランダム化臨床試験で検討されているが,その便益は不明瞭であり,害を増大させる傾向があるため,臨床試験外での使用は推奨されない。

2020年12月時点で,NIHの委員会は,難治性の低酸素血症を呈するCOVID-19の成人患者に対する体外式膜型人工肺(ECMO)の使用について,エビデンスが不十分であるため推奨も否定もできないと結論づけた(NIH COVID-19 Treatment Guidelines: Extracorporeal Membrane Oxygenation [December 17, 2020]を参照)。

COVID-19の合併症は,発生した場合は治療すべきである。COVID-19の入院患者は,血栓塞栓症のリスクが高まっている可能性がある。このリスク増大への対応に関するガイドラインは,新たなデータが得られるのに従って絶えず更新されている(NIH: The COVID-19 Treatment Guidelines Panel's Statement on Anticoagulation in Hospitalized Patients With COVID-19を参照)。現時点では,酸素投与を必要とするが集中治療は必要としない妊娠していない入院患者において,Dダイマーが高値で,深刻な出血リスクがない場合には,治療的な 抗凝固療法 抗凝固薬 深部静脈血栓症(DVT)患者には全例で 抗凝固薬を投与するほか,まれな症例では 血栓溶解薬を投与する。いくつかの抗凝固薬が深部静脈血栓症の管理に効果的である( 深部静脈血栓症も参照)。 非薬物療法としては, 手術や 下大静脈フィルターなどがある。 (American College... さらに読む を考慮すべきである。特に状態が悪い患者では,出血による有害事象のリスクが潜在的な便益を上回る。それ以外の全ての患者には,抗凝固薬による予防を考慮すべきである。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などの薬剤は,併存症に対して必要であれば継続すべきであるが,COVID-19の治療として開始すべきではない。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用が予後の悪化につながると示したエビデンスはなく,COVID-19の治療中にはアセトアミノフェンまたはNSAIDのいずれかを使用できる。

COVID-19患者の呼吸管理では,挿管の有無にかかわらず,低酸素症への傾向を考慮に入れるべきである。頻回の体位変換や歩行などの薬剤によらない補助的な手段が役立つことがある。治療に関する決定は,患者の管理を最適化することを目的とするべきであるが,医療従事者への曝露のリスクと医療資源の最適な利用も考慮に入れるべきである。挿管は医療従事者が感染性エアロゾルに曝露するリスクが特に高い行為であり,最大限の注意を払って行うべきである。

治療に関する参考文献

COVID-19の予防

  • 曝露の予防策

  • ワクチン接種

疑い例からのSARS-CoV-2の伝播を予防するために,医療従事者は標準予防策,接触感染予防策,およびアイシールドを用いる空気感染予防策を講じるべきである。空気感染予防策は,患者にエアロゾルが発生する処置を行う場合に特に重要である。

発症を予防する最善の方法は,ウイルスへの曝露を回避することである。CDCが推奨している手順は以下の通りである:

  • ワクチン接種を受ける

  • 人混みや換気の悪い場所を避ける

  • ワクチン接種を完了していない場合,屋内の公共の場所にいるときは鼻の両方を覆える,よくフィットするマスクを着用,他者とのソーシャルディスタンス(約6フィート[約2m])を維持し,口とする

  • ワクチン接種の状況にかかわらず,市中感染率が中程度以上の地域にある屋内の公共の場所にいるときは,口と鼻の両方を覆える,よくフィットするマスクを着用する

  • 頻繁に石鹸と水で手洗いをし,石鹸と水を使用できない場合は,60%以上のアルコールを含有する手指消毒剤を使用する

  • 頻繁に接触する表面を定期的に清掃して消毒する

オミクロン株からの保護を最大限に高め,このウイルスが他者に伝播するのを防ぐため,屋内で他者と一緒にいる間は,全ての人がよくフィットするマスクを着用すべきである。マスクは種類によって予防効果のレベルが異なり,低い方から,多層布マスク,多層サージカルマスク,KF94,KN95,K95マスクなどがある。地域の法律,規制,規則,企業や職場での指導によってマスクの着用が義務づけられる場合もあり,これはワクチン接種の状況によって異なる(CDC: Types of Masks and Respiratorsを参照)。

マスクの着用は,ワクチン未接種者,免疫機能が低下している個人,および年齢または基礎疾患のために重症化リスクが高い個人では,さらに重要である。また,マスクの着用は,家族の中に免疫機能が低下している者,重症化リスクが高い者,またはワクチン未接種者がいる場合にも重要である。重症化のリスクが高い場合や,家族にリスクの高い人がいる場合は,伝播の程度にかかわらず,マスクを着用する方がよい。

一部の易感染性患者に対しては,抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体であるチキサゲビマブとシルガビマブの併用が,COVID-19に対する曝露前予防を適応としてFDAのEUAを受けている。使用の対象は,中等度から重度の易感染状態にある12歳以上の個人と,COVID-19ワクチンに対する重度のアレルギー反応のためにCOVID-19のワクチン接種が禁忌である個人に限定される。これはワクチン接種に代わるものではなく,ワクチンに対する免疫応答を増強できると期待されるワクチン未接種者に投与するべきではない。

感染伝播が持続してみられる地域は変化している。米国内の地域であれば,医師は州または地域の公衆衛生当局に相談するべきである。CDCは,旅行がCOVID-19の感染および感染拡大の可能性を高めるとし,世界的なパンデミックを鑑み,全てのクルーズ船旅行を控えるよう勧告している。最新の情報については,CDC: Coronavirus Disease Information for Travelを参照のこと。

COVID-19のワクチン接種

  • 初回接種:使用するワクチンに応じて,1回の注射または3~4週間の間隔で2回の注射

  • 追加接種:使用するワクチンに応じて,初回接種から少なくとも2~5カ月後に追加の注射

2つのmRNAワクチンが米国食品医薬品局(FDA)から通常の承認を得ており,1つのアデノウイルスベクターワクチンが緊急使用許可(EUA)を受けている。これらのCOVID-19ワクチンは,宿主細胞へのウイルスの侵入に極めて重要な役割を果たしているウイルス特有のスパイクタンパク質を,様々な手法によって標的としている。

2つのmRNAワクチンは,ウイルス抗原を含有せず,標的抗原(スパイクタンパク質)をコードするmRNAの小さな合成断片を送達する。ワクチンに含まれるmRNAは,免疫系の細胞に取り込まれ,そこでウイルス抗原を産生するように細胞を刺激した後,分解される。すると,抗原が放出されて意図する免疫応答が惹起され,その後に実際のウイルスに曝露した際,感染の重症化が予防される。mRNAワクチンには以下のものがある:

  • BNT162b2:Pfizer社とBioNTech社がコミナティという製品名で製造しているCOVID-19ワクチン(mRNA)。16歳以上の個人への使用についてFDAの承認を受けている。5~15歳の個人ではEUAの下で使用できる。初回接種:3週間の間隔を空けた2回の筋肉内注射。(FDA: Fact Sheet for Healthcare Providers [Pfizer-BioNTech]も参照のこと。)

  • mRNA-1273:Moderna社がSpikevaxという製品名で製造しているCOVID-19ワクチン(mRNA)。18歳以上の個人への使用についてFDAの承認を受けている。初回接種:4週間の間隔を空けた2回の筋肉内注射。(FDA: Fact sheet for Healthcare Providers [Moderna]も参照のこと。)

次のアデノウイルスベクターワクチンには,SARS-CoV-2の特徴的な「スパイク」タンパク質を産生するために,その遺伝物質(すなわちDNA)の一部が組み込まれており,それにより意図された免疫応答が誘導される:

  • Ad26.COV2.S:Janssen/Johnson & Johnson社が製造しているCOVID-19ワクチン(アデノウイルスベクター)。18歳以上の個人ではEUAの下で使用できる。初回接種は1回の注射で行う。(FDA: Fact sheet for Healthcare Providers [Janssen]も参照のこと。)

重篤な有害事象のリスクがあることから,ほとんどの状況で,初回接種と追加接種ともに,アデノウイルスベクターワクチンよりもmRNAワクチンが優先して選択される。アデノウイルスベクターワクチンと,まれにみられる重篤な有害事象である血小板減少を伴う血栓症(ワクチン起因性血栓症血小板減少症候群[vaccine-induced thrombosis with thrombocytopenia syndrome:VITTS])との間には,妥当な因果関係が想定されている(CDC: Johnson & Johnson’s Janssen COVID-19 Vaccine Overview and Safetyを参照)。

免疫系に中等度から重度の障害がある個人には,追加の初回接種が推奨される(CDC: Guidance for COVID-19 vaccination for people who are moderately or severely immunocompromisedを参照):

  • 中等度から重度の易感染状態にあり,BNT162b2(Pfizer-BioNTech製ワクチン)の初回接種を完了した5歳以上の個人は,2回目の初回接種後28日以上が経過してから,追加の初回接種を受けるべきである。12歳以上の個人は,3カ月以上後に追加接種も受けるべきである。

  • 中等度から重度の易感染状態にあり,mRNA-1273(Moderna製ワクチン)の初回接種を完了した18歳以上の個人は,2回目の初回接種後28日以上が経過してから追加の初回接種を受け,3カ月以上後に追加接種を受けるべきである。

  • 中等度から重度の易感染状態にあり,Ad26.COV2.S(Janssen/Johnson & Johnson製ワクチン)の接種を受けた18歳以上の個人は,接種後28日以上が経過してから,mRNAワクチンで2回目の接種(追加の初回接種)を受け,2カ月以上後に追加接種を受けるべきである。(Ad26.COV2.Sの1回目の接種を受けた後,mRNAワクチンによる2回目の初回接種を受けずに追加接種を受けた個人は,その追加接種から2カ月以上が経過した後に,3回目の接種としてmRNAワクチンの接種を受けるべきである。)

一連の初回接種で得られる感染予防効果は,時間の経過とともに低下することが示されている。感染,重症化,および死亡に対する予防効果を最大限に高めるために,一連の初回接種が完了してから2~5カ月後に追加接種を受けることが推奨される。ワクチンの追加接種を受けることで,初回接種のみの場合と比較して,重症化が20分の1に減少し,死亡率が90%低下することが研究により示されている。対象者が追加接種を受けた場合,一連のワクチン接種を「完了した」とみなされる。

12歳以上が追加接種の対象者である。CDC: COVID-19 Vaccine Booster Shotsを参照のこと。)

  • 12歳以上で,5カ月(易感染状態にある場合は3カ月前)以上前に初回接種を完了した,全てのBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)接種者には,追加接種が推奨される。

  • 18歳以上で,初回接種を少なくとも5カ月前(易感染状態にある場合は3カ月前)に完了した,全てのmRNA-1273ワクチン(Moderna製)接種者には,追加接種が推奨される。

  • 18歳以上で,1回目の接種を2カ月以上前に受けたAd26.COV2.S(Janssen/Johnson & Johnson製)の接種者には,追加接種が推奨される。(Ad26.COV2.Sの接種を受けた後にmRNAワクチンで2回目の接種を受けた易感染状態にある個人は,その2回目の接種後2カ月以上が経過してから追加接種を受けるべきである。)

  • 18歳以上の対象者は,最初にどのワクチンを接種したかにかかわらず,使用可能なCOVID-19ワクチン(BNT162b2,mRNA-1273,またはAd26.COV2.S)で追加接種を受けることを選択できるが,ベクターワクチンにはVITTSのリスクがあることから,ほとんどの状況でmRNAワクチンが優先して選択される。(12~17歳の青年に対しては,現時点でBNT162b2のみが承認されている。)

mRNAワクチンは,これらのワクチンの過去の接種またはいずれかの成分(ポリエチレングリコール[PEG]を含む)に対する重度のアレルギー反応(例,アナフィラキシー)の既往がある個人では禁忌である。アデノウイルスベクターワクチンは,いずれかの成分(ポリソルベート80を含む)に対する重度のアレルギー反応の既往がある個人では禁忌である。

これらのワクチンに関するFDAの警告は以下の通りである:

3つのCOVID-19ワクチンには,以下に示す,それぞれ類似した頻度の高い有害作用がある:

  • 注射部位の疼痛,腫脹,および発赤

  • 疲労

  • 頭痛

  • 筋肉痛

  • 悪寒

  • 関節痛

  • 発熱

  • 悪心

  • 倦怠感

  • リンパ節腫脹

有害作用は典型的には数日間持続する。2回の初回接種が必要なワクチンでは,1回目の接種後よりも2回目の接種後の方が,より多くの接種者に有害作用がみられる。臨床試験では重大な安全性上の懸念は明らかにならなかった。重度のアレルギー反応が起こる可能性は極めて低いが,それが起こる場合,通常はワクチン接種後数分から1時間以内にみられる。ワクチンまたは注射薬に対する重度の(アナフィラキシー)反応の既往がある個人には,この潜在的なリスクについてカウンセリングを行い,アナフィラキシー反応に対応できる監督下の条件で接種すべきである。

FDAの承認を受けた,またはEUAを取得した3つのワクチンは,それぞれ臨床試験で同程度の有効性が示されており,入院や死亡などCOVID-19による重篤な合併症をほぼ完全に予防した。Ad26.COV2.Sの研究では,全体での有効性が,ワクチン接種から14日以上経過後に発生する中等症から重症/最重症のCOVID-19に対する予防について約67%,重症/最重症のCOVID-19に対する予防について85%という結果が示された。以上の臨床試験については,それぞれパンデミック中の異なる時点で,異なる集団を対象として,若干異なるエンドポイントを用いて実施されたことから,結果を直接比較するべきではない。SARS-CoV-2に対する予防効果の持続期間やSARS-CoV-2の伝播への影響に関するデータは限られている(3 ワクチン接種に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。したがって,ワクチン接種を受けた個人も,マスクの着用,ソーシャルディスタンシング,頻繁な手洗いなどの一般的な感染予防ガイドラインを遵守し続けることが推奨される。

ワクチン接種は,現在蔓延している変異株(デルタ株およびオミクロン株)のCOVID-19による重症化および死亡の予防において,現時点でも最も効果的な戦略となっている。米国での2021年秋の入院率は,ワクチン未接種者の方がワクチン接種者の8~10倍高かった。また,同じ時期において,ワクチン未接種者がCOVID-19により死亡する可能性は,ワクチン接種者と比べて20倍高くなっていた。南アフリカのデータによると,BNT162b2の2回接種はオミクロン株に対して70%の効果があることが示されている(4 ワクチン接種に関する参考文献 COVID-19は,新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。 COVID-19は,2019年後半に中国の武漢で最初に報告された後,世界中に拡大した。感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers... さらに読む )。

ワクチン接種に関する参考文献

  • 1.Lurie N, Saville M, Hatchett R, et al: Developing COVID-19 vaccines at pandemic speed.N Engl J Med 382(21):1969-1973, 2020.doi: 10.1056/NEJMp2005630

  • 2.Lopez Bernal J, Andrews N, Gower C, et al: Effectiveness of Covid-19 vaccines against the B.1.617.2 (Delta) variant. N Engl J Med 385(7):585-594, 2021.doi:10.1056/NEJMoa2108891

  • 3.Eyre DW, Taylor D, Purver M, et al: Effect of Covid-19 vaccination on transmission of Alpha and Delta variants.N Engl J Med NEJMoa2116597, 2022.doi: 10.1056/NEJMoa2116597.Epub ahead of print.PMID: 34986294; PMCID: PMC8757571.

  • 4.Collie S, Champion J, Moultrie H, et al: Effectiveness of BNT162b2 vaccine against Omicron variant in South Africa.N Engl J Med NEJMc2119270, 2021.doi: 10.1056/NEJMc2119270.Epub ahead of print.PMID: 34965358; PMCID: PMC8757569.

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