(免疫不全疾患の概要 免疫不全疾患の概要 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む および 免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある: 原発性:遺伝性で,典型的には乳児期または小児期に現れる 続発性:後天性 さらに読む も参照のこと。)
毛細血管拡張性運動失調症は, 液性免疫および細胞性免疫の複合不全 原発性免疫不全症 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む が関与する,常染色体劣性遺伝の 原発性免疫不全症 液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む である。推定発生率は出生児20,000人に1人から100,000人に1人である。毛細血管拡張性運動失調症は,ATM(ataxia-telangiectasia–mutated)タンパク質をコードする遺伝子の変異によって引き起こされる。ATMはDNA損傷の検出に関与し,細胞増殖および細胞分裂の速度調節を助けている。
患者は,しばしばIgAおよびIgEを欠失し,進行性のT細胞減少を呈する。
毛細血管拡張性運動失調症の症状と徴候
神経症状の発症年齢および免疫不全症の所見は様々である。
運動失調が最初の症状であることが多く,通常は小児が歩き始める頃に現れる。神経症状が進行すると,重度の障害を来す。ろれつが回らなくなり,舞踏病アテトーゼ様運動および眼振が現れ,通常は筋力低下から筋萎縮へと進行する。
毛細血管拡張は4~6歳まで現れないことがある;眼球結膜,耳,肘窩および膝窩,ならびに頸部外側に最も顕著に現れる。
反復性の副鼻腔肺感染症は,反復性肺炎,気管支拡張症,慢性の拘束性肺疾患を招く。
特定の内分泌異常(例,性腺形成不全,精巣萎縮, 糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリン,経口血糖... さらに読む )が起こることがある。
がん(特に 白血病 白血病の概要 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む , リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫は,網内系およびリンパ系から発生する不均一な一群の腫瘍である。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される( ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の比較の表を参照)。 リンパ腫はかつて, 白血病とは全く異なる疾患と考えられていた。しかし現在では,細胞マーカーとそれらのマーカーを評価するツールについて理解が深まったことで,これら... さらに読む ,脳腫瘍,および胃癌)の発生頻度が高い。典型的にはがんは10歳以降1年に約1%の頻度で発生するが,がんは生涯にわたるリスクであり,あらゆる年齢で発生する可能性がある。
毛細血管拡張性運動失調症の診断
IgAおよび血清α1フェトプロテイン値
遺伝子検査
以下の臨床所見から毛細血管拡張性運動失調症が示唆される:
小脳性運動失調(特に毛細血管拡張がある場合)
IgA低値(患者の80%にみられる)
血清α1フェトプロテイン高値
核型分析を実施した場合,DNA修復の欠陥と一致した所見である染色体切断がみられることが多い。
毛細血管拡張性運動失調症の診断は,ATMタンパク質の遺伝子の両アレルで変異が同定されることによって確定する。毛細血管拡張性運動失調症遺伝子に変異のある保因者は通常無症状であるため,キャリア状態に関する同胞の検査が罹患児が生まれる確率を予測するのに役立つことがある。
臨床像に基づいて内分泌異常およびがんの検査を行う。
毛細血管拡張性運動失調症の治療
予防的抗菌薬投与または免疫グロブリン(IgG)補充による支持療法
毛細血管拡張性運動失調症の患者には,予防的抗菌薬投与または 免疫グロブリン 欠損している免疫成分の補充 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある: 原発性:遺伝性で,典型的には乳児期または小児期に現れる 続発性:後天性 さらに読む による治療が有用でありうる。
ある小規模の試験では,アマンタジンによる治療で運動機能にわずかな改善がみられたが,進行性の神経機能の悪化に対する効果的な治療法はなく,通常は30歳までに死に至る。
合併したがんの治療では化学療法が適応となることが多い。
毛細血管拡張性運動失調症の要点
毛細血管拡張性運動失調症には,液性免疫および細胞性免疫の複合不全が関与する。
運動失調が最初の症状であることが多く,通常は小児が歩き始める頃に現れる。
進行性の神経機能の悪化に対する効果的な治療法はない。