ZAP-70欠損症

執筆者:James Fernandez, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University
レビュー/改訂 2019年 12月
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ZAP-70(ζ-associated protein 70)欠損症は,シグナル伝達の異常によって起こるT細胞活性化障害が関与する免疫不全症である。

免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。)

ZAP-70欠損症は,細胞性免疫不全が関与する原発性免疫不全症である。遺伝形式は常染色体劣性である。

ZAP-70は,T細胞のシグナル伝達および胸腺におけるT細胞選別に重要である。ZAP-70欠損症は,T細胞活性化の異常をもたらす。

ZAP-70欠損症の患者は,乳児期または幼児期に重症複合免疫不全症(SCID)でみられるものと同様な反復性感染症を呈する;しかし,比較的長く生存し,ある程度の年齢になるまでZAP-70欠損症と診断されないことがある。

ZAP-70欠損症の診断

  • T細胞受容体切除サークル(TREC)検査によるルーチンの新生児スクリーニング

  • 白血球数

  • マイトジェンおよびワクチン抗原刺激試験

ZAP-70欠損症の診断はSCIDに対するものと同様に行う。

反復性感染症または他の特徴的な症状の病歴がある年長の小児では,ZAP-70欠損症が疑われる場合がある。白血球数および白血球分画を含む血算を行う;免疫グロブリン濃度を測定する。マイトジェンおよび標準的なワクチン抗原に対する応答を判定して,白血球および抗体の機能を評価する。

以下がみられる患者では,本疾患を考慮する:

  • リンパ球減少症

  • T細胞数の低値または欠如

  • マイトジェンに対するリンパ球増殖反応の欠如

他の検査を行う場合もある;検査には,T細胞,B細胞,およびNK細胞の数を調べるフローサイトメトリーが含まれる。白血球,赤血球,および線維芽細胞におけるアデノシンデアミナーゼ(ADA)およびプリンヌクレオシドホスホリラーゼの量を測定する。

血清免疫グロブリン濃度は正常,低値,または高値のいずれもあり,循環CD4陽性T細胞の数は正常または高値であるが,本質的にCD8陽性T細胞が欠如している。CD4陽性T細胞はin vitroでマイトジェンまたは同種異系細胞に応答せず,細胞傷害性T細胞を産生しない。対照的に,NK細胞活性は正常である。

ZAP-70欠損症の治療

  • 造血幹細胞移植

ZAP-70欠損症の治療では一般に,感染予防,急性感染症の管理,および欠損している免疫グロブリンの補充を行う。

ZAP-70欠損症は,造血幹細胞移植によって治療しない限り致死的である。

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