(血栓性疾患の概要 血栓性疾患の概要 健常者では,凝固を促進する力と凝固を阻止する力および線維素を溶解する力との間で 恒常性が保たれている。多くの遺伝的因子,後天的因子,および環境因子により,凝固の方向にバランスが傾き,病的な血栓が静脈(例, 深部静脈血栓症[DVT]),動脈(例, 心筋梗塞, 虚血性脳卒中),または心腔内に形成されることがある。血栓は,形成された部位で血流閉... さらに読む も参照のこと。)
プロトロンビン(第II因子)は,凝固カスケードの最終産物としての酵素であるトロンビンのビタミンK依存性の前駆体である(血液凝固経路 血液凝固経路 の図を参照)。一方(または頻度は下がるが両方)のプロトロンビン遺伝子の遺伝子座20210における一塩基の変異は,血漿プロトロンビン濃度の上昇を招き(トロンビン生成の増加を伴う可能性あり), 静脈血栓塞栓 深部静脈血栓症(DVT) 深部静脈血栓症(DVT)とは,四肢(通常は腓腹部または大腿部)または骨盤の深部静脈で血液が凝固する病態である。DVTは肺塞栓症の第1の原因である。DVTは,静脈還流を阻害する病態,内皮の損傷または機能不全を来す病態,または凝固亢進状態を引き起こす病態によって発生する。DVTは無症状の場合もあるが,四肢に疼痛および腫脹が生じる場合もあり,肺塞栓症が直接の合併症の1つである。診断は病歴聴取と身体診察で行われ,客観的検査法(典型的にはdupl... さらに読む のリスクを高める。
この変異の保有率は,調査対象集団によって1%未満から6.5%までの幅がある。
血液凝固経路
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診断は,血液検体を用いたプロトロンビン20210の遺伝子解析により行う。
プロトロンビン(第II因子)20210遺伝子変異の治療
抗凝固療法
ヘパリンまたは低分子ヘパリンに続いてワルファリンを投与する抗凝固療法は,静脈血栓症に対して,または血栓症のリスクが高い患者(例,不動状態,重度の外傷,手術により)の予防に用いられる。
トロンビン(ダビガトラン)または第Xa因子(例,リバーロキサバン,アピキサバン)を阻害する 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC) 治療 健常者では,凝固を促進する力と凝固を阻止する力および線維素を溶解する力との間で 恒常性が保たれている。多くの遺伝的因子,後天的因子,および環境因子により,凝固の方向にバランスが傾き,病的な血栓が静脈(例, 深部静脈血栓症[DVT]),動脈(例, 心筋梗塞, 虚血性脳卒中),または心腔内に形成されることがある。血栓は,形成された部位で血流閉... さらに読む が本疾患に対してワルファリンの代わりにおそらく使用可能であるが,依然として確実ではない。