ヘモグロビンE症

執筆者:Evan M. Braunstein, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 9月
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    ホモ接合体のヘモグロビンE症は,軽度の溶血性貧血を引き起こすが,通常は脾腫を生じない異常ヘモグロビン症である。

    溶血性貧血の概要も参照のこと。)

    ヘモグロビンEは,世界で3番目に(ヘモグロビンAおよびヘモグロビンSに次いで)多くみられるヘモグロビンである。主に東南アジア人(ホモ接合体疾患の発生率が15%を超える)集団にみられるが,まれに中国系の人にもみられる。ヘテロ接合体(ヘモグロビンAE)の患者では,症状がみられない。ヘモグロビンEとβサラセミアのヘテロ接合体の患者は,ヘモグロビンS-βサラセミアやホモ接合体のヘモグロビンE症より重度の溶血性疾患を呈し,通常は脾腫を伴う。

    ヘテロ接合体(ヘモグロビンAE)の患者では,貧血を伴わない小赤血球症がみられ,標的赤血球が末梢血塗抹標本で観察できる。ホモ接合体の患者では,著明な標的赤血球を伴う軽度の小球性貧血が認められる。

    ヘモグロビンE症の診断は,ヘモグロビン電気泳動による。

    ほとんどの患者は治療を必要としない。しかし,重症の患者では定期的な輸血または脾臓摘出で便益が得られる可能性がある。

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