菌状息肉症およびセザリー症候群は,まれなT細胞性の慢性非ホジキンリンパ腫であり,主に皮膚を侵し,ときにリンパ節に浸潤することがある。
皮膚T細胞リンパ腫の主要な病型は以下の2つである:
菌状息肉症
セザリー症候群
これらが全リンパ腫症例に占める割合は5%未満である。
皮膚T細胞リンパ腫は潜行性に発症する。初診時に生検を行っても診断困難な慢性のそう痒性発疹として現れることがある。この前駆症状は,最終的に皮膚T細胞リンパ腫と診断されるまで,数年にわたりみられる場合もある。
菌状息肉症の病変は斑,局面,または腫瘍結節を特徴とし,結節はしばしば潰瘍化して感染を起こす。
セザリー症候群では,典型的には皮膚にびまん性の紅斑が生じ,手掌および足底にひび割れが生じる。皮膚の色が濃い患者では,紅斑がはっきりしないことがある。
リンパ節腫脹は通常,軽度から中等度である。症状は大半が皮膚に関連するもので,疾患経過の晩期には発熱,盗汗,意図しない体重減少がみられる。
この写真には,菌状息肉症患者の背中に生じた紅斑が写っている。
この写真には,菌状息肉症患者の背中に生じた紅斑が写っている。
DR P. MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY
Image courtesy of Karen McKoy, MD.
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菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫)は,悪性ではない慢性皮膚疾患との鑑別が難しいことがある。正確な診断は,詳細な病歴聴取(悪性ではない病変は経時的に進行しない)と生検および顕微鏡的評価によってのみ可能である。
菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫)は,悪性ではない慢性皮膚疾患との鑑別が難しいことがある。正確な診断は,詳細な病歴聴取(悪性ではない病変は経時的に進行しない)と生検および顕微鏡的評価によってのみ可能である。
(Courtesy of Libby Edwards, MD, Charlotte, NC.)By permission of the publisher. From Banks P, et al. In Atlas of Clinical Hematology. Edited by JO Armitage. Philadelphia, Current Medicine, 2004.Available at www.images.md.
菌状息肉症の患者では,ときに潰瘍が生じる。
菌状息肉症の患者では,ときに潰瘍が生じる。
DR P. MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY
皮膚T細胞リンパ腫の診断
皮膚生検
末梢血塗抹検査と循環血中悪性T細胞(セザリー細胞)のフローサイトメトリー
病期診断として,リンパ節生検と胸部,腹部,および骨盤部のCTまたはFDG-PET(フルオロデオキシグルコース-陽電子放出断層撮影)
診断は皮膚生検に基づくが,リンパ腫細胞の量が不十分なことにより初期の組織像が不確実な場合がある。悪性細胞は成熟したCD4陽性T細胞であり,CD7のような共通のT細胞マーカーを喪失していることがある。
皮膚パンチ生検では,表皮に特徴的なPautrier微小膿瘍がみられることがある。一部の症例でみられる白血病期には,末梢血に曲がりくねった核をもつ悪性T細胞(セザリー細胞)が出現するのが特徴的である。血液中のそれらの悪性T細胞は,ライト染色したルーチンの塗抹標本でも,フローサイトメトリーでも検出することができる。
診断後には,病期を判定して治療の指針とする。一般的に用いられているISCL/EORTC(International Society of Cutaneous Lymphomas/European Organization of Research and Treatment of Cancer)の病期分類には,身体診察の所見,病理組織学的検査の結果,および画像検査の結果が組み込まれている(1, 2)。
診断に関する参考文献
1.Olsen EA: Evaluation, diagnosis, and staging of cutaneous lymphoma.Dermatol Clin 33(4):643–654, 2015. doi: 10.1016/j.det.2015.06.001
2.Willemze R, Cerroni L, Kempf W, et al: The 2018 update of the WHO-EORTC classification for primary cutaneous lymphomas.Blood133 (16):1703–1714, 2019.doi: 10.1182/blood-2018-11-881268
皮膚T細胞リンパ腫の治療
放射線療法,局所的化学療法,光線療法,または外用コルチコステロイド
ときに全身化学療法
セザリー症候群と菌状息肉症の治療は同様である。治療法は以下に分類できる:
皮膚に対する治療法(外用化学療法,光線療法,レチノイド,放射線療法)
全身療法:従来の化学療法と分子標的療法(例,ヒストン脱アセチル化酵素[HDAC]阻害薬,ブレンツキシマブ ベドチン)
皮膚科医,放射線腫瘍医,および血液/腫瘍専門医で構成されるチームが患者を管理する。
まずは皮膚に対する治療が行われ,しばしば数年にわたり効果が持続する。病変がより抵抗性になるにつれて,またセザリー症候群の患者では,全身療法が用いられる。病変部に感染が起きることがあり,皮膚の発赤がある場合は,常に感染性の原因を考慮しなければならない。
電子線照射療法(大半のエネルギーが組織の表層5~10mmの部分に吸収される)とナイトロジェンマスタードの外用療法が非常に効果的であることが証明されている。局面状病変は,太陽光および外用コルチコステロイドでも治療可能である。
アルキル化薬と葉酸拮抗薬を用いる全身治療によって一時的な腫瘍退縮が得られるが,全身治療は基本的に,他の治療法が不成功に終わった患者,再発した患者,および節外または皮膚外病変の存在が確認されている患者に用いられる。HDAC阻害薬(ボリノスタット,ロミデプシン,パノビノスタット,ベルノスタット[belinostat])は,がん細胞の細胞周期停止,分化,および細胞死を誘導する薬剤であり,静注または経口で投与することができる。光増感剤を用いる体外循環式光化学療法(フォトフェレーシス)に,一定の成功が認められている。ブレンツキシマブ ベドチンは,ホジキンリンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫に対して活性を示す抗体薬物複合体である(1)。
治療に関する参考文献
1.Prince HM, Kim YH, Horwitz SM, et al: Brentuximab vedotin or physician's choice in CD30-positive cutaneous T-cell lymphoma (ALCANZA): an international, open-label, randomised, phase 3, multicentre trial.Lancet 2017 Aug 5;390(10094):555-566. doi: 10.1016/S0140-6736(17)31266-7
皮膚T細胞リンパ腫の予後
大半の患者は診断時に50歳以上である。生存率は診断時の病期に応じて著しく異なる。IA期で治療を受ける患者の期待余命は,菌状息肉症のない同様の人々のそれと同程度である。ある研究では,II期患者(皮膚病変が体表面10%以上)の10年相対生存率が67%であったのに対し,IV期患者(全身性紅皮症)では41%であった(1)。
予後に関する参考文献
1.Zackheim HS, Amin S, Kashani-Sabet M, McMillan A: Prognosis in cutaneous T-cell lymphoma by skin stage: long-term survival in 489 patients.J Am Acad Dermatol 1999 Mar;40(3):418-25. doi: 10.1016/s0190-9622(99)70491-3
より詳細な情報
医師向けの情報と患者向けの支援および情報を提供している英語資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
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