がんの続発症

執筆者:Robert Peter Gale, MD, PhD, DSC(hc), Imperial College London
レビュー/改訂 2020年 11月
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    がんは疼痛,体重減少,疲労,内臓の閉塞につながることがある。死亡は,典型的には飢餓衰弱と臓器不全の結果として生じる。ほとんどのがん死亡は,原発がんではなく転移巣に起因する。

    がん患者でみられる疼痛は,骨転移,神経または神経叢浸潤,腫瘍の腫瘤または滲出液による圧迫が原因であることが多い。がん治療においては,また生活の質を維持するためには,積極的な疼痛管理が不可欠である。

    胸水では,症状があればドレナージを行い,再貯留に対するモニタリングを行うべきである。滲出液が再び急速に貯留する場合は,胸腔ドレナージと硬化剤投与か,カテーテルドレナージの反復を考慮すべきである。

    脊髄圧迫は,椎骨に進展したがんによって引き起こされることがあり,即時の手術または放射線療法が必要となる。症状として,背部痛,下肢の錯感覚,腸管および膀胱の機能不全などがみられることがある。CTまたはMRIにより診断を確定する。

    下肢の静脈血栓症(静脈内の血栓)から肺塞栓症を来すことがあるが,これは膵癌,肺癌,その他の固形腫瘍の患者と脳腫瘍の患者でしばしばみられる。腫瘍から組織因子などの凝固促進物質が産生されて,過剰な血栓形成が生じるが,これは特に手術を受ける患者でよくみられる。

    がんによる代謝および免疫への影響としては,高カルシウム血症,高尿酸血症,ACTH産生増加,神経機能障害を引き起こす抗体の産生,溶血性貧血,その他の多くの腫瘍随伴症候群などがある。

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