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乳酸アシドーシス

執筆者:

James L. Lewis III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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代謝性アシドーシス 代謝性アシドーシス 代謝性アシドーシスは重炭酸イオン(HCO3−)の一次性の減少で,通常は二酸化炭素分圧(Pco2)の代償性の低下を伴う;pHは著明に低下するか,またはわずかに正常範囲を下回る。代謝性アシドーシスは,血清中の未測定陰イオンの有無に基づいて高アニオンギャップまたはアニオンギャップ正常に分類される。原因には,ケトン体および乳酸の蓄積,腎不全,薬物または毒素の摂取(高アニオンギャップ),消化管または腎からのHCO3−喪失(アニオンギャップ正常)な... さらに読む 酸塩基の調節 酸塩基の調節 代謝過程では酸,およびより少量の塩基が持続的に産生される。水素イオン(H+)は特に反応性が高い;これは負電荷をもつタンパク質に接着し,高濃度ではタンパク質全体の電荷,構造,機能を変えてしまうこともある。細胞の機能を維持するために,生体は血中H+濃度を狭い範囲内に維持する精巧な機序を備えており,その範囲は典型的には37~43nmol/L(p... さらに読む ,および酸塩基平衡障害 酸塩基平衡障害 酸塩基平衡障害は,二酸化炭素分圧(Pco2)または血清中の重炭酸イオン(HCO3−)濃度が病的に変化した状態であり,その結果,典型的には動脈血のpHが異常値を示す。 アシデミアは血清pHが7.35未満の状態である。 アルカレミアは血清pHが7.45を上回ることである。 アシドーシスは酸の蓄積またはアルカリの欠乏を引き起こす生理的過程を指す。 アルカローシスはアルカリの蓄積または酸の欠乏を引き起こす生理的過程を指す。 さらに読む も参照のこと。)

乳酸はグルコース代謝およびアミノ酸代謝の正常な副産物である。乳酸アシドーシスには,主に以下に挙げる2種類の病型がある:

  • A型乳酸アシドーシス

  • B型乳酸アシドーシス

d-乳酸アシドーシス(d-乳酸脳症[d-lactate encephalopathy])は,乳酸アシドーシスのまれな病型である。

A型乳酸アシドーシス

最も重篤な病型であるA型乳酸アシドーシスは,酸素欠乏時に嫌気性解糖でATPを産生するときの副産物として,虚血組織に乳酸が過剰に産生されることで生じる。過剰産生は,典型的には循環血液量減少性ショック,心原性ショック,または敗血症性ショックにおいて全身の組織灌流が低下しているときに生じ,肝臓への灌流が不十分で乳酸代謝が低下することによって悪化する。肺疾患による一次性低酸素症および種々の異常ヘモグロビン症に伴って生じることもある。

B型乳酸アシドーシス

B型乳酸アシドーシスは全体的な組織灌流が正常(したがってATP産生も正常)な状態で生じ,予後はさほど悪くない。

原因としては,局所組織の低酸素症(例,運動,痙攣,低体温性のシバリングによる激しい筋肉使用),特定の全身性および先天性疾患,がん,ならびに特定の薬物または毒素の摂取などがある(Professional.see table 代謝性アシドーシスの原因 代謝性アシドーシスの原因 代謝性アシドーシスは重炭酸イオン(HCO3−)の一次性の減少で,通常は二酸化炭素分圧(Pco2)の代償性の低下を伴う;pHは著明に低下するか,またはわずかに正常範囲を下回る。代謝性アシドーシスは,血清中の未測定陰イオンの有無に基づいて高アニオンギャップまたはアニオンギャップ正常に分類される。原因には,ケトン体および乳酸の蓄積,腎不全,薬物または毒素の摂取(高アニオンギャップ),消化管または腎からのHCO3−喪失(アニオンギャップ正常)な... さらに読む )。原因薬には,ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬ならびにビグアナイド系薬剤のフェンホルミンおよび(より程度は低いが)メトホルミンなどがある;フェンホルミンは大半の国で市場から回収されているが,中国からは依然として入手可能である(漢方薬の一成分としてのフェンホルミンを含む)。肝機能不全またはチアミン欠損症により代謝が低下する場合がある。

d-乳酸アシドーシス

d-乳酸アシドーシスは乳酸アシドーシスのまれな病型であり,空回腸バイパスのある患者または腸切除後患者の結腸で生じる細菌性炭水化物代謝の産物,d-乳酸が全身性に吸収される。ヒト乳酸脱水素酵素はl-乳酸しか代謝できないため,d-乳酸は循環血液中に存続する。

症状と徴候

乳酸アシドーシスの症状および徴候は基礎にある原因(例,A型ではショック,B型では毒素の摂取)によるものが優勢である。炭水化物の過剰摂取に続いて発生する錯乱,運動失調,言語不明瞭などの神経症状は,d-乳酸アシドーシスの特徴である。

診断

  • 動脈血ガスおよび血清電解質

  • アニオンギャップおよびデルタギャップの算出

  • 血中乳酸濃度

d-乳酸アシドーシスでは,重炭酸イオン(HCO3)濃度の低下から予測されるよりもアニオンギャップは小さく,尿浸透圧ギャップ(尿浸透圧の計算値と測定値との差)が存在する可能性がある。乳酸に対する典型的な臨床検査はd-乳酸への感度が低い。特異的d-乳酸濃度検査が利用でき,腸の問題など複数の原因を有する可能性のある患者で,アシドーシスの原因を明らかにするために必要になることがある。

治療

  • 原因の治療

A型およびB型の乳酸アシドーシスの治療は,その他の代謝性アシドーシスの治療 治療 代謝性アシドーシスは重炭酸イオン(HCO3−)の一次性の減少で,通常は二酸化炭素分圧(Pco2)の代償性の低下を伴う;pHは著明に低下するか,またはわずかに正常範囲を下回る。代謝性アシドーシスは,血清中の未測定陰イオンの有無に基づいて高アニオンギャップまたはアニオンギャップ正常に分類される。原因には,ケトン体および乳酸の蓄積,腎不全,薬物または毒素の摂取(高アニオンギャップ),消化管または腎からのHCO3−喪失(アニオンギャップ正常)な... さらに読む と同様である。原因の治療が最も重要である。不十分な組織灌流を治療する際,昇圧薬は組織の虚血を悪化させる恐れがあるため,可能であれば省略すべきである。重炭酸の投与は高アニオンギャップ性アシドーシスでは危険な可能性があるが,pH < 7.00であり,目標pHが ≤ 7.10の場合は考慮されることがある。

d-乳酸アシドーシスにおける治療では,輸液,炭水化物制限のほか,ときに短腸症候群に対して経口抗菌薬(例,メトロニダゾール),重度のアシドーシスに対して重炭酸が用いられる。

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