(副腎機能の概要 副腎機能の概要 副腎は左右腎臓の頭側に位置し( 副腎の図を参照),以下の部分で構成される: 皮質 髄質 副腎皮質と副腎髄質は,それぞれ異なる内分泌機能を有する。 副腎皮質は以下のホルモンを産生する: さらに読む も参照のこと。)
二次性アルドステロン症は腎血流低下によって引き起こされ,これにより レニン-アンジオテンシン系 原発性アルドステロン症 が刺激され,結果としてアルドステロンの過剰分泌が生じる。腎血流低下の原因には以下のものがある:
腎動脈の閉塞性疾患(例,アテローム,狭窄)
腎血管収縮(加速型高血圧でみられる)
浮腫性疾患(例, 心不全 心不全 心不全は心室機能障害により生じる症候群である。左室不全では息切れと疲労が生じ,右室不全では末梢および腹腔への体液貯留が生じる;左右の心室が同時に侵されることもあれば,個別に侵されることもある。最初の診断は臨床所見に基づいて行い,胸部X線,心エコー検査,および血漿ナトリウム利尿ペプチド濃度を裏付けとする。治療法としては,患者教育,利尿薬,ア... さらに読む , 腹水を伴う肝硬変 肝硬変 肝硬変は,正常な肝構築が広範に失われた 肝線維化の後期の病像である。肝硬変は,密な線維化組織に囲まれた再生結節を特徴とする。症状は何年も現れないことがあり,しばしば非特異的である(例,食欲不振,疲労,体重減少)。後期の臨床像には, 門脈圧亢進症, 腹水,代償不全に至った場合の 肝不全などがある。診断にはしばしば肝生検が必要となる。肝硬変は通常,不可逆的と考えられている。治療は支持療法である。... さらに読む ,腹水, ネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群では,糸球体疾患が原因で尿タンパク排泄量が3g/日を超え,これに浮腫および低アルブミン血症が伴う。小児でより多くみられ,原発性および続発性いずれの原因もある。診断は随時尿検体の尿タンパク/クレアチニン比測定または24時間蓄尿での尿タンパクの測定により,原因は病歴,身体診察,血清学的検査,腎生検に基づき診断される。予後および治療は原因によって異なる。 ( 糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む )
心不全では分泌は正常なことがあるが,肝血流量とアルドステロン代謝が低下するため,循環血中アルドステロンは高値となる。
二次性アルドステロン症の症状と徴候
症状は 原発性アルドステロン症 原発性アルドステロン症 原発性アルドステロン症は,副腎皮質の自律的なアルドステロン産生(過形成,腺腫,または癌腫による)により引き起こされるアルドステロン症である。症状および徴候には,発作性の筋力低下,血圧上昇,および低カリウム血症がある。診断の際には血漿アルドステロン値および血漿レニン活性の測定などを行う。治療は原因により異なる。腫瘍は可能であれば切除する;過形成では,スピロノラクトンまたは関連する薬物により血圧が正常化し,他の臨床症状が消失する場合がある。... さらに読む のそれと同様で,具体的には低カリウム性アルカローシスによる発作性の筋力低下,錯感覚,一過性麻痺,テタニーなどがある。多くの場合,唯一の症状は 高血圧 高血圧 高血圧とは,安静時の収縮期血圧(130mmHg以上),拡張期血圧(80mmHg以上),またはその両方が高値で維持されている状態である。原因不明の高血圧(本態性高血圧)が最も多くを占める。原因が判明する高血圧(二次性高血圧)は通常,睡眠時無呼吸症候群,慢性腎臓病,原発性アルドステロン症,糖尿病,または肥満に起因する。高血圧は重症となるか長期... さらに読む である。病因によっては末梢浮腫がみられることもある。
二次性アルドステロン症の診断
血清電解質濃度
血漿アルドステロン
血漿レニン活性(PRA)
高血圧と低カリウム血症がみられる患者では本症を疑う。
最初に行う臨床検査は,血漿アルドステロン値と血漿レニン活性(PRA)の測定である。理想的には,レニン-アンジオテンシン系に影響を及ぼす薬剤(例,サイアザイド系利尿薬,アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬,アンジオテンシン拮抗薬,β遮断薬)を4~6週間中止してから検査を行うべきである。アルドステロンおよび血漿レニン活性の上昇は,二次性アルドステロン症を示す。原発性アルドステロン症と二次性アルドステロン症の主な相違点は アルドステロン症の鑑別診断 アルドステロン症の鑑別診断 .の表に記載されている。
二次性アルドステロン症の治療
原因の治療
ときにアルドステロン拮抗薬
治療としては原因を是正する。高血圧は通常,スピロノラクトンなどの選択的アルドステロン拮抗薬でコントロールでき,スピロノラクトンは50mg,経口,1日1回から開始し,通常は維持量である約100mg,経口,1日1回まで1~3カ月かけて増量する。スピロノラクトンの代わりに,他のカリウム保持性利尿薬でもコントロール可能である。より特異的な薬剤として,エプレレノンを50mg,経口,1日1回から200mg,経口,1日2回までの用量で使用してもよいが,その理由はスピロノラクトンとは異なり,エプレレノンがアンドロゲン受容体を阻害(女性化乳房 女性化乳房 この写真には,男性患者の肥大した乳房組織が写っている。 女性化乳房とは,男性において乳腺組織が肥大する病態である。女性化乳房は,乳房の脂肪が増加するものの乳腺組織の肥大はみられない偽性女性化乳房と鑑別する必要がある。 乳児期および思春期にみられる男性乳房の腫大は正常である(生理的女性化乳房)。通常,腫大は一過性かつ両側性で,平滑でかつ硬く,乳輪下に対称性に分布する;乳房に圧痛を伴うこともある。思春期に発生する生理的女性化乳房は,通常は約... さらに読む の原因となる)しないことによる;低用量のスピロノラクトンが無効である場合は男性の長期治療において選択すべき薬剤である。
二次性アルドステロン症の要点
低カリウム血症のある高血圧患者では本症を疑う。
最初に行う検査として,血漿アルドステロン値と血漿レニン活性の測定などがある。
原発性アルドステロン症と異なり,血漿レニン活性は上昇している。
治療としては原因を是正する。
高血圧はアルドステロン拮抗薬でコントロールできる場合がある。