鉄中毒

執筆者:Larry E. Johnson, MD, PhD, University of Arkansas for Medical Sciences
レビュー/改訂 2020年 5月
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    鉄(Fe)はヘモグロビン,ミオグロビン,および体内の多数の酵素の成分である。主に動物性食品に含まれるヘム鉄は,平均的な食事中の鉄分の85%超を占める非ヘム鉄(例,植物および穀物に含まれる)よりもはるかに吸収がよい。しかし,非ヘム鉄は,動物性タンパク質およびビタミンCと一緒に摂取すると吸収が増大する。

    ミネラル欠乏症および中毒の概要も参照のこと。)

    鉄は以下のため体内に蓄積することがある:

    • 過剰量であるかまたは期間が長すぎる鉄剤療法

    • 繰り返しの輸血

    • 慢性アルコール中毒

    • 鉄剤の過量服薬

    鉄過剰はまた,鉄を大量に吸収しすぎる遺伝性の鉄過剰疾患(ヘモクロマトーシス)により生じることもある;これは致死的となる可能性はあるが容易に治療可能な遺伝性疾患である。ヘモクロマトーシスは100万人を超えるアメリカ人にみられる。

    鉄剤の過量摂取は有毒であり,嘔吐,下痢,ならびに腸管およびその他の臓器の損傷を引き起こす。

    鉄中毒の診断は鉄欠乏症の診断と同様である。

    鉄中毒の治療としては,鉄と結合し尿中に排泄されるデフェロキサミンを用いることが多い。

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