生物学的活性のある3価クロム(Cr)のうち1~3%のみが吸収される。正常の血漿中濃度は0.05~0.50μg/L(1.0~9.6nmol/L)である。しかしながら,クロムを必須(必要な)微量元素とみなすべきかどうかは明らかでない(1 参考文献 生物学的活性のある3価クロム(Cr)のうち1~3%のみが吸収される。正常の血漿中濃度は0.05~0.50μg/L(1.0~9.6nmol/L)である。しかしながら,クロムを必須(必要な)微量元素とみなすべきかどうかは明らかでない( 1)。 クロムはインスリン活性を高めるが,ピコリン酸クロムの補給が 糖尿病に有益かどうかは分かっていない。糖尿病専門医に使用を管理してもらわない限り,糖尿病患者はクロムのサプリメントを摂取すべきでない。クロム... さらに読む )。
クロムはインスリン活性を高めるが,ピコリン酸クロムの補給が 糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリン,経口血糖... さらに読む に有益かどうかは分かっていない。糖尿病専門医に使用を管理してもらわない限り,糖尿病患者はクロムのサプリメントを摂取すべきでない。クロムのサプリメントで筋肉のサイズや強さは増加しない。
長期にわたる完全静脈栄養を受けている患者で,クロム欠乏症がまれに生じることがある。症状は3価クロム150~250mgに反応する。
(ミネラル欠乏症および中毒の概要 ミネラルの概要 ヒトには6種類の多量ミネラル(マクロミネラル)がグラム単位で必要である。 4種類の 陽イオン:ナトリウム,カリウム,カルシウム,およびマグネシウム 付随する2種類の 陰イオン:塩化物イオンとリン 1日当たりの必要量は0.3~2.0gである。骨,筋肉,心臓,および脳の機能が,これらの多量ミネラルに依存している。... さらに読む も参照のこと。)
参考文献
1.Vincent JB: New evidence against chromium as an essential trace element. J Nutr 147(12):2212–2219, 2017.doi:10.3945/jn.117.255901.