四肢と肩甲帯を完全に露出させてから,以下について視診すべきである:
萎縮
肥大
非対称な発達
線維束性収縮
筋強直
その他の不随意運動,例えば 舞踏運動 舞踏運動,アテトーゼ,およびヘミバリスム 舞踏運動は,主に遠位筋および顔面の,非律動的,発作的,急速,抑制不可能な不随意運動である;その動きは半意図的な行為に組み込まれ,不随意な動きが覆い隠されていることがある。アテトーゼ(緩徐な舞踏運動)は,遠位筋優位の,非律動的で緩徐な,身をよじりくねらせる運動であり,しばしば四肢近位部の肢位と交互に現れる。ヘミバリスムは片側性の急速,非律動的,抑制不可能で,腕および/または下肢近位の荒々しく投げ出すような運動である;まれに,そういった運動... さらに読む (短い痙攣様の運動),アテトーゼ(持続的でくねるような運動), ミオクローヌス ミオクローヌス ミオクローヌスは,単一の筋または筋群に生じる電気ショック様の短時間の筋収縮である。診断は臨床的に行い,ときに筋電図検査により確定する。治療には,可逆的な原因の是正や,必要な場合は,症状を和らげる経口薬がある。 ( 運動障害疾患および小脳疾患の概要も参照のこと。) ミオクローヌスは生理的なもの(良性)と病的なものに分類される( 1)。 生理的ミオクローヌスは入眠時および早期の睡眠相において生じることがある(睡眠時ミオクローヌスと呼ばれる)... さらに読む (電気ショック様の筋収縮)など
患者をリラックスさせ,四肢を他動的に屈曲および伸展させることで,筋緊張に関する情報が得られる。
萎縮は筋量の減少により示されるが,両側性の萎縮や大きな筋または深層の筋の萎縮は,進行しないと目立たないことがある。高齢者では,筋量の減少がよくみられる。
肥大は,ある筋が別の筋の筋力低下を代償するために仕事量が増加することで生じる;仮性肥大は,筋肉組織が過剰な結合組織または非機能性物質(例,アミロイド)によって置換されることで生じる。
線維束性収縮(不規則で短時間の細かい筋収縮が皮下に認められる)は比較的よくみられる。線維束性収縮は正常な筋(特に高齢者の腓腹部の筋)に起こることもあるが,多くの場合下位運動ニューロンの病変(例,神経の変性または損傷,神経再生)を示唆する。
筋強直(持続性筋収縮後または筋を直接叩打した後の弛緩の遅延)は筋強直性ジストロフィーを示唆し,握った手を素早く開けないという現象としてみられることもある。
抵抗増大に続く弛緩(折りたたみナイフ現象)および痙縮は,上位運動ニューロンの病変を示唆する。
鉛管様筋強剛(可動域全体にわたる一様な筋硬直)は,しばしば歯車現象を伴い,基底核障害を示唆する。
(筋力の評価方法 筋力の評価 患者による筋力低下の訴えは,疲労,巧緻運動障害,真の 筋力低下の3つの可能性がある。したがって,正確な局在,発症時期,増悪または軽快因子,合併する症候などを含め,症状の細かな特徴を把握しなければならない。 四肢を視診して,筋力低下(脱力がある肢を伸展させると下垂する),振戦,その他の不随意運動がないか確認する。 特定の筋群の筋力は抵抗を加えて検査し,右側と左側を比較する。ただし,疼痛があると筋力検査の際に患者が全力を出せない場合がある。... さらに読む および 神経学的診察に関する序論 神経学的診察に関する序論 神経学的診察は,診察室に入ってくる患者を注意深く観察することから始まり,観察は病歴聴取の間も継続する。機能面の障害が明確になるように,患者への介助は最小限に留めるべきである。姿勢や歩容とともに,患者が診察台に移動する際の速さ,対称性,および協調運動を注意深く観察する。また患者の物腰,服装,および応答から,患者の気分および社会的適応について... さらに読む も参照のこと。)