遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)

(Tomaculous Neuropathy)

執筆者:Michael Rubin, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center
レビュー/改訂 2020年 12月
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遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(neuropathy with liability to pressure palsies:HNPP)では,圧および伸展に対して次第に神経の過敏性が亢進する。

末梢神経系疾患の概要も参照のこと。)

HNPPでは,末梢神経の髄鞘が脱落して,神経インパルスが正常に伝わらなくなる。通常,遺伝形式は常染色体優性である。80%の症例では,17番染色体短腕に位置する末梢性ミエリンタンパク質22遺伝子(PMP22)が1コピー足りないことに起因する。正常な機能の発現には,この遺伝子が2コピー必要である。

HNPPの発生率は,10万人当たり2~5例と推定される。

HNPPの症状と徴候

遺伝性圧脆弱性ニューロパチーの症状は通常,青年期または若年成人期に始まるが,あらゆる年齢で発症する可能性がある。

腓骨神経麻痺による下垂足,尺骨神経麻痺,および手根管症候群が一般に生じる。圧迫性麻痺は軽度のこともあれば重度のこともあり,持続時間も数分から数カ月に及ぶ。患部にしびれと筋力低下が生じる。

エピソード発生後,約半数の患者は完全回復し,残る患者でも症状は軽度である。

HNPPの診断

  • 電気診断検査

  • 遺伝子検査

以下のいずれかがある患者では,遺伝性圧脆弱性ニューロパチーを疑うべきである:

  • 再発性の圧迫性単神経障害

  • 原因不明の多発性単神経障害

  • 再発性の脱髄性多発神経障害(例,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー[CIDP])を示唆する症状

  • 手根管症候群の家族歴

電気診断検査および遺伝子検査が診断に役立つ;生検を要することはまれである。

HNPPの治療

  • 支持療法

遺伝性圧脆弱性ニューロパチーの治療としては,症状を惹起する活動を回避または修正する。手関節の副子および肘パッドは,圧を軽減し,再受傷を予防し,神経が徐々にミエリン修復を行うのを可能にする。

手術が適応になることはまれである。

HNPPの要点

  • 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(neuropathy with liability to pressure palsies:HNPP)は,通常は常染色体優性遺伝の形式をとる,まれな疾患である。

  • 患者に原因不明の末梢性単神経障害(例,腓骨神経または尺骨神経麻痺,手根管症候群)または繰り返す脱髄性多発神経障害と一致する症状がある場合は,HNPPを考慮する。

  • 電気診断検査と遺伝子検査を用いて診断する。

  • 症状を引き起こす活動を回避または修正するよう患者に助言し,必要に応じて手関節の副子および/または肘パッドを推奨する。

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