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慢性の感染性関節炎

執筆者:

Steven Schmitt

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

レビュー/改訂 2020年 9月
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慢性の感染性関節炎は数週にわたって発生し,通常は抗酸菌,真菌,または病原性の低い細菌に起因する。

慢性の感染性関節炎は感染性関節炎の5%を占める。健常者に発生することがあるが,以下を有する患者などではリスクが高い:

考えられる原因の例としては, 結核菌(Mycobacterium tuberculosis) 結核 結核は,しばしば初感染から一定期間の潜伏期を経て発症する慢性進行性の抗酸菌感染症である。結核は肺を侵すことが最も多い。症状としては,湿性咳嗽,発熱,体重減少,倦怠感などがある。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。... さらに読む 結核 M. marinum 非結核性抗酸菌感染症 ときに結核菌以外の抗酸菌がヒトに感染することがある。それらの菌(非結核性抗酸菌と呼ばれる)は一般的に土壌中や水中に存在し,ヒトにおいては結核菌(Mycobacterium tuberculosis)よりもはるかに病原性が低い。これらの菌による感染症は,非定型環境性非結核性抗酸菌感染症と呼ばれてきた。 これらの菌に曝露して感染しても疾患の発症につがなることはほとんどなく,疾患の発生には通常局所または全身性の宿主防御機構の障害... さらに読む M. kansasii 非結核性抗酸菌感染症 ときに結核菌以外の抗酸菌がヒトに感染することがある。それらの菌(非結核性抗酸菌と呼ばれる)は一般的に土壌中や水中に存在し,ヒトにおいては結核菌(Mycobacterium tuberculosis)よりもはるかに病原性が低い。これらの菌による感染症は,非定型環境性非結核性抗酸菌感染症と呼ばれてきた。 これらの菌に曝露して感染しても疾患の発症につがなることはほとんどなく,疾患の発生には通常局所または全身性の宿主防御機構の障害... さらに読む Candida属 カンジダ症(侵襲性) カンジダ症はCandida属真菌(最も頻度が高いのはC. albicans)による感染症であり,皮膚粘膜病変や真菌血症,ときに複数部位の病巣感染症として発症する。症状は感染部位に依存し,具体的には嚥下困難,皮膚粘膜病変,失明,腟症状(そう痒,灼熱感,分泌物),発熱,ショック,乏尿,腎機能停止,播種性血管内凝固症候群などがみられる。診断は,病理組織学的検査および本来は無菌の部位からの培養によって確定される。治療... さらに読む カンジダ症(侵襲性) Coccidioides immitis コクシジオイデス症 コクシジオイデス症は,真菌のCoccidioides immitisおよびC. posadasiiが引き起こす肺または血行播種性感染症であり,通常は無症候性または自然に消退する良性の急性呼吸器感染症として生じる。これらの微生物は,ときに播種して他の組織に局所病変を形成する。症状がみられる場合は,下気道感染症か軽度の非特異的な播種性感染症を呈する。診断は臨床的および疫学的特徴から疑い,胸部X線,培養,および血清... さらに読む コクシジオイデス症 Histoplasma capsulatum ヒストプラズマ症 ヒストプラズマ症は,Histoplasma capsulatumにより引き起こされる肺および播種性感染症であり,しばしば慢性に経過し,無症状の初感染に続いて発症するのが通常である。症状は,肺炎症状または非特異的慢性疾患症状である。診断は,喀痰中もしくは組織中の菌の同定,または特異的な血清および尿中抗原検査による。治療が必要な場合は,アムホテリシンBまたはアゾール系薬剤を使用する。... さらに読む ヒストプラズマ症 Cryptococcus neoformans クリプトコッカス症 クリプトコッカス症は,莢膜を有する酵母のCryptococcus neoformansまたはC. gattiiで汚染された土壌の吸入により,罹患する肺感染症または播種性感染症である。症状は肺炎,髄膜炎の症状,または皮膚,骨,内臓の病変である。診断は臨床的および顕微鏡的に行い,培養または固定した組織の染色により確定する。治療は(必要な場合),アゾール系薬剤,アムホテリシンB,にフルシトシンを併用または併用しない... さらに読む クリプトコッカス症 Blastomyces dermatitidis ブラストミセス症 ブラストミセス症は,二相性真菌であるBlastomyces dermatitidisの胞子を吸入することで発生する肺感染症であり,ときに真菌が血行性に拡大して肺外感染症を引き起こす。症状は肺炎によるものか,複数臓器(最も頻度が高いのは皮膚)への播種によるものである。診断は臨床所見,胸部X線,またはその両方により行い,検査室での真菌の同定により確定される。治療はイトラコナゾール,フルコナゾール,またはアムホテリシンBによる。... さらに読む ブラストミセス症 Sporothrix schenckii スポロトリクム症 スポロトリクム症は,腐生性の糸状菌であるSporothrix schenckiiにより引き起こされる皮膚感染症である。肺病変および血行性播種はまれである。症状は皮膚結節で,リンパ行性に拡大し,自壊して膿瘍や潰瘍になる。診断は培養により行う。治療はイトラコナゾールまたはアムホテリシンBによる。 ( 真菌感染症の概要も参照のこと。) Sporothrix schenckiiはバラまたはメギの茂み,ミズゴケ,および... さらに読む スポロトリクム症 Aspergillus fumigatus アスペルギルス症 アスペルギルス症は,環境中に遍在する糸状菌であるAspergillus属真菌の胞子を吸入することで生じる日和見感染症であり,胞子は発芽して成長し,菌糸になって血管内に入り,侵襲性疾患では出血性壊死および梗塞を引き起こす。喘息,肺炎,副鼻腔炎,または急速進行性の全身疾患の症状を呈する可能性がある。診断は主に臨床的に行うが,画像検査,病理組織学的検査,ならびに検体の染色および培養が参考となる場合がある。治療はボリコナゾール,ア... さらに読む アスペルギルス症 Actinomyces israelii 放線菌症 放線菌症は,放線菌(Actinomyces israelii)やその他のActinomyces属細菌によって引き起こされる限局性または血行性の慢性嫌気性菌感染症である。所見は複数の瘻管を伴う局所膿瘍,結核様肺炎,および軽度の全身症状である。診断は典型的な外観と検査室での同定による。治療は長期間の抗菌薬投与および手術による。 ( 嫌気性細菌の概要も参照のこと。)... さらに読む 放線菌症 Brucella属 ブルセラ症 ブルセラ症は,グラム陰性細菌であるBrucella属細菌により引き起こされる。症状は急性熱性疾患として始まり,局所的な徴候はほとんどまたは全くみられず,進行して慢性化すると発熱,脱力,発汗,および漠然とした疼きや痛みの再発を繰り返すようになる。診断は培養(通常は血液培養)による。至適な治療には通常は2剤の抗菌薬(ドキシサイクリンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールとゲンタマイシン,ストレプトマイシン,またはリファン... さらに読む がある。

慢性の感染性関節炎では,滑膜が増殖することがあり,関節軟骨および軟骨下骨を侵食することがある。発症は緩徐であることが多く,関節部位は徐々に腫脹し,軽度の熱感があり,発赤は軽微であるかまたは全くなく,うずく痛みがある(軽度のこともある)。通常は単一の関節が侵される。

ルーチンの検査だけでなく,滑液または滑膜組織の真菌および抗酸菌培養をすべきである。分子生物学的検査も有用となる場合があり,特に抗酸菌の検出に役立つことが多い。

抗酸菌性および真菌性の関節の感染症には長期の治療が必要である。抗酸菌感染症は,感受性試験の結果に基づき複数の抗菌薬で治療することが多い。

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