槌趾は，中足趾節関節の背側の亜脱臼に起因するZ型の変形である。診断は臨床的に行う。治療は，履物の修正および/または矯正器具による。
（足および足関節の疾患の概要も参照のこと。）
槌趾変形の通常の原因は，足の生体力学的異常および腱の拘縮をもたらす遺伝的素因による関節面のアライメント異常である。その他の原因としては，関節リウマチ（RA）のほか，シャルコー-マリー-トゥース病（遺伝性ニューロパチーを参照）などの神経疾患がある。第2趾が槌趾変形を発症する頻度の最も高い足趾である（槌趾の図を参照）。第2趾の槌趾は一般的に，第2中足骨が長いこと，およびバニオンを生じる過度に外転した母趾（外反母趾変形）による圧迫が原因で起こる。異常に長い足趾は槌趾変形を発症することが多い。槌趾変形では疼痛を伴う鶏眼が発生することが多い（特に第5趾の槌趾で）。反応性かつ外因性の滑液包が鶏眼の下にしばしば発生し，炎症を起こすことがある。
槌趾変形の症状としては，靴（特に靴のつま先部分が低くて幅が狭いもの）を履いているときの疼痛のほか，ときに中足骨痛がみられる。
槌趾変形の診断は臨床的に行う。関節を診察して，関節炎（例，RA―RAの診断を参照）が併存していないか確認する。
槌趾
槌趾（通常は第2趾，またはときに母趾以外の他の足趾）では固定化したZ型の変形が発生する。 |
槌趾変形の治療
幅の広いつま先部分，つま先用パッド，矯正器具，またはこれらの組合せ
つま先部分の幅が広い靴を履くべきである。薬局で販売されているつま先用パッドも，靴の足趾上の部分から罹患足趾を保護することで役に立つ。保存的な処置が無効な場合，変形の外科的矯正により症状が軽減されることが多い。随伴する中足骨痛がある場合，中足骨パッドおよび緩衝材付きの市販または処方された矯正装具が，疼痛の軽減に有用なことがある。
